2008.10.28 高橋尚子:これからも「走り」のプロとして

高橋尚子選手が、現役引退、という一報を聞いた。

今日の午後、記者会見だそうだ。

有森のように、走り続けることで、伝えられることもある。

山下のように、指導者として女性だからできることもある。

高橋さんなら、どちらも高いレベルで、できただろう。

(どちらも選ばないのかもしれないが)

この先、どういう選択をするにしろ、一線の選手として、区切りをつける、という彼女の決断に敬意を表して、これまでの彼女の実績に拍手を送りたい。

彼女の場合、一線からの引退表明は、非常に大事である。

プロのアスリートとして、支援してくれている人(と会社)に対しての、説明責任である。

それを果たした上で、たとえば地雷を撲滅するために走りたい、という意志に対して、また継続して支援してくれる人は現れるかもしれない。新たなスポンサーが生まれるかもしれない。

その辺の線引きを、きちんとする姿に、彼女のプロ魂というか責任感を感じることができて、嬉しい。

先駆者が、体現してくれないと、後に続く人の障害にもなりかねないから。

(これで午後の記者会見が全然違うものだったりして)

彼女の、プロランナーとしてのありようについては、たびたび疑問を呈してきた。

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プロランナーとして、もっと意義深く、もっと長く走り続けられるような選択肢もあっただろうし、もっとインパクトを与えられたのではないかと、今でも思う。

北京後の、ゲブレシラシエを見ると、口惜しい感さえ生じてくる。

その点については残念だ。

でも、プロしての、「矜恃」を、引き際に見せてくれる。

できれば、これからも走り続けて欲しい。小さな市民マラソンにドンドン参加することで、ランニングの裾野を広げて欲しい。

できれば、優秀なアスリートを誕生させて欲しい。そしてプロアスリートとしてのノウハウも伝えて欲しい。

できれば、日本における「プロランナー」の文化を、醸成させていってほしいのだ。

ありきたりな「お疲れ様」ではなくて、今日から、期待したい。

期待されつづけるのが「プロ」だと思うから。