2007日本シリーズ第二戦 日本ハムvs中日:「らしい」野球のエッセンス

8-1で中日の勝利。

先発中田は8回を投げ後続の投手の登板機会も作った。ホームランは李と森野の2ラン2本、セギノールのソロ1本。中日の安打数は8本だが、日本ハムは与四球7で自滅。

しかし、こうしたデータが示すほど一方的な展開ではなく、レベルの高い試合だと感じた。と同時に、総合的にあらゆる点で中日の優位性がみられた。強者対さらなる強者。

中田の出来も含めて投手力はいわずもがなであるが、中日の攻撃面でのストロングポイントが普通に出た試合となった。

「いつも通り」「ドラゴンズらしい」ことを、スムーズにできるというのも立派な要点である。

二戦まで、ハムバッテリーはウッズを完全に攻略しており、ドラゴンズバッテリーは、セギノールを抑え切れていない。しかし、ウッズの出来に依存しない得点力を見せつける中日、と言う構図はやはりはっきりしている。

さらに、初回のようにそつのない機動力を絡めた攻撃はもちろん、細かい野球で主導権を握った後は、効果的な追加点をホームランで奪う能力もある。

特に、球場サイズなどを含めて、セのバッテリーは、ホームランを食わない配球というのが、徹底している。対してパのバッテリーは比較的おおらかである。

広い外野、俊足外野手+適切な守備体系で、対応しているが、失点や被本塁打数をみてもそうだが、ウッズ以外に札幌ドームでそうそうホームラン打たれないだろう、という考えを打ち砕いた中日打線は、お見事である。

このシリーズの勝敗は、中日のこうした攻撃を、日ハム投手陣が何試合抑えられるか、という点だけがポイントといえる(予想参照)。

第一戦でダルビッシュが抑えたのは、まさにその1試合だ。日ハムが中日の攻撃を抑えるとしたらもう1試合あるかどうか(と予想した)。つまり少なくとも1試合は、日ハム打撃陣が打ち勝つ試合がないと、日ハムのシリーズ制覇の目はない。

もちろん中日の先発陣が常に川上や中田のようなピッチングをするとは限らない。力の差がある投手もいるし調子の善し悪しもあるだろう。だから日ハムの方が大量点を挙げる可能性が(いくら低調だからと言って)ないわけではない。いや大いにある。しかしとった得点以上とられては負けである。

第二戦の中日の得点の積み重ね方は、まさに「らしい」野球の真骨頂。

先制・または逆転の後、欲しい時に効果的な追加点、迫られても逆転はさせない。

第二戦の展開上(というより中田の出来から)、試合自体は、藤井の押し出し四球(4点目)の時点でほぼ決していたと言えるだろう。

しかし、その後2ラン二本で6点、8点、という点の重ね方が、データ通りの中日の試合巧者ぶりを、証明している。

そのことが今後の日ハムに、少なからずの影響を与える可能性があるだろう。

6-1となっていなかったら、6回無死一塁・田中の打席でもう少し動けたかもしれない。8-1でなければ9回の満塁のシーンは、もう少し緊迫感のある場面となっただろう。

そういえば日ハムには「打っても一緒や!」の名言を吐いた某OBがいましたね・・・。球場にも来ていたようです。

さて、次戦以降、中日の断然の強さを認識した上で、日本ハムがひっくり返すうえでは、常識で測れないような突拍子もないプレーとラッキーボーイの出現が必要だ。

安藤統氏いわく、「こうなると、状況に左右されないバッティングのできる選手がいない、っていうのは大きいね」であるが、新庄は帰ってこない。

中日野球のレベルの高さを、誇示した第二戦であった。

だが、いつもそうそううまく事が運ぶとは限らないのが、野球だ。

第三戦も、レベルの高い野球を堪能しよう。