世界陸上2007大阪 第八日:感じられる「壁」と「不完全」をリレーで発散

競技場につくのが少し遅れたが、超満員のお客さんが入って、座席に着くのが困難なほど。昨日までは見えた観客席の空席がほとんどない。非常に良いムードだ。水郷横、簿宇高のピットを横から見る席で観戦。選手団IDのドイツ人が先に来て座っていたが・・・すまんねえ。でも今日は空きないって。かなり涼しく、湿度が低いので、ようやく好記録を期待できそう。

女子5000m

今季世界記録(14分16秒!)を出しているエチオピアのデファが優勝候補の筆頭か。同じレースでケニアのチェルイヨットも世界記録を更新する自己ベストを出しているが、レース内容は完敗している。オリンピックで勝ってもなお「ディババのスパーリングパートナー」などと呼ばれるデファは、まだ獲っていない世界陸上のタイトルを強く願っているはず。

10000mで2位に入ったアベイレゲッセも、乗っているという点では期待できるが、5000mと10000mの両方出場は今のレベルでは相当厳しい。(ディババヘルシンキで二冠を達成しているが)例えば今回のようなスケジュールの場合、5000mが本命の選手は先に実施される10000mにはエントリーしないだろう。そういうことからも、福士が入賞するとは思ってないけど、でも良いレースをしてほしい。

レースは例によって福士が前に。キロ3分5秒くらいのペースで、序盤の牽制としては早くも遅くもない。こういう福士のレース戦略というのは、よく分からないのだが、後ろでの有力選手にとっては、脚をためつつスパートの機会をうかがううえで、もっとも適したペースなのではないか。3000m過ぎまで絶好のターゲットにされた福士は、劇的なペースアップをされる前に、お役ご免とばかりに集団の後ろに回される。ほんの少ししかペースは上がっていないので、距離的に大きな差はつかないが、「あなたの出番ではない」という意思のある集団がと実力の差をはっきり見せられる。

後ろで耐えて、ペースアップとともに、上がっていくぐらいの展開が出来れば良かったが、やはりノーチャンスだった。

ディファは3000m以降の集団トップの後ろについて絶好の位置をキープ。譲られるようにトップに立っても、集団を崩さずにコントロールしたまま最終周回へ。ラスト200からの段違いの加速で、トップのままゴールへ駆け込んだ。チェルイヨットは食い下がったが、並ぶには至らず二着。三着以降は大混戦となったが、ケニアのチェロノ、キベトがアベイレゲッセをかわし、2-4位をケニア勢が占めた。

結果だけ見ると、入賞ラインが15分3秒だから、福士にとっては自己ベストに近い走りが求められたわけで、あのレース展開ではそれは酷だと言えるかもしれない。でも、キベトは自己新を出して4位だし、福士にとって壁を破るほどの走りが出来なかったのも事実。限界を感じてのマラソン転向は、分からなくはないが、トラックでその壁を越えてほしい。それからでも遅くないのではないか。というより、今から北京のマラソンを狙うとしたら準備期間が少ない。北京までトラックで挑戦してほしくなった。

男子棒高跳び

澤野なき棒高跳び。僕も、この日に、この席を選んだのは、澤野のメダルを期待してだったので、それはまあ残念。周辺の席でもその話題持ちきり(特に後ろのでかい望遠レンズのおじさん達)。とはいえ、興味が失せたわけではない。5m86のチャレンジャーが9人も残っていて、非常に期待(6mジャンプが見たかった)した。エドモントン(6m05)、パリ(5m90)、ヘルシンキ(5m81)と徐々に優勝記録が下がっていってるのも何だかなあというかんじだったので、少なくともヘルシンキを超えて、さあ盛り上がっていくぞ、となったのだが・・・。5m86を超えたのは、ウォーカーとメニルのみ。パスした選手も含めて6人が5m91にチャレンジしたが、誰も超えられずに、試技数での決着と相成る。

不完全燃焼の目立つ競技が多いが、その最たるものとなってしまった。ああ、記録チャレンジが見たかったなあ、と。

男子4x400mR予選

金丸が400mで負傷し、出場できなくなったことから、苦戦が予想はされるが、でも最終日の盛り上がりという点で、開催国は決勝進出しなくてはいけない。三着プラス二の準決勝、実際にはプラスでどうかな、というところだろう。

二組に日本が登場したレースは、一走の山口がやや出遅れたか、直線に入って伸びなかった。しかし二走の石塚がよく頑張った。金丸の同期ライバルがまさかのクローズアップ。勢いはさすがで、後半直線も良く伸びて、望みを繋ぐ。三走が成迫。ここは心配だったが、疲れもある中よくがんばった。四走の佐藤が少し後ろへ回ってしまい、詰まるシーンも見られた。直線に入って抜いてくれるのを期待したが・・・4位でフィニッシュ。

スタジアムは、非常に微妙な雰囲気。着順では取られないので、プラス狙いだがタイムも前組と変わらず、むしろ少し遅いくらいか。ざわざわ。

二組の結果が出る前に、一組の結果が掲示板に。一組四着の英国、五着のドミニカの横には、プラスでの通過を示す、小文字のqが・・・。スタジアムを支配する、これまたガックリというか、あーまたやってもうた感。残念だが、明日は客観的に見るしかないね。

金丸がいたらどうだったか分からないけど、チーム競技なんだからそういうこともある。全体で力をつけなきゃいかんということだね。アテネのことは忘れて、またがんばってほしい。

男子4x100mR

予選通過タイムはアジア記録を大幅に更新して3位の日本。明日のリレー種目への進出が出来なかった以上、今大会トラック最終種目の様相。まずは無事にゴールを、そしてどこかにアクシデントがあればメダルの可能性もあるか。

スタートは塚原が抜群だった。ほとんどトップで(あまり他のチームも見えてないが)末續へ。末續も伸びのある走りで見劣りしない。高平のコーナリングも良く、朝原に渡るまではメダルも・・・と期待されたが、バトンがスムーズに行かず少しロス(したように見えた)、直線に入った時点で5位。追い上げるものの、どのチームも非常に良い走りで、そのままゴール。

トップのアメリカが37秒78は仕方ないにしても、2位ジャマイカが国記録の37秒89、ドイツ、ブラジルまで38秒を切っては、ちょっとレベルが高すぎる。ここに来て良いコンディションで競技に臨めて、一気に爆発したということだろうか?

日本もアジア記録を更新する38秒03。アクシデントはポーランド、ナイジェリアと日本より下位のチームで起こった。リレーは難しい競技なので、連続して入賞し続けること自体、賞賛に値するはずだ。しかもスプリント。

誉めたって~。