世界陸上大阪2007 第二日:感動は押しつけでは生まれない

昨日も多かったが、今日も観客席はすし詰め。チーム関係者の席もギュウギュウ詰めなのはいいのか?記者席空いてるみたいだから解放しろよ。

あと、観客が振り返ってみていたのがテレビのブースであることを認識。織田と中井のコンビ見てどうすんねんと思っていたが、噂ではカール・ルイスがいたとか。しまった。

女子400m(予選)

丹野が、なんと予選通過。大舞台に照準がピタリの52秒13は見事。もちろん悠々の通過ではないが、可能性を拾えるレベル。力を発揮できた、という満足感が伝わってきた。福島万歳。準決勝では、どんなに置いて行かれても、自分の走りを。

男子400mH(準決勝)

成迫が一組に登場。場内はなんというか為末の仇討ちというか妙なムード。しかし、本人には昨日のような固さは見られず、スタートからスピードに乗ったダイナミックなハードリング。ノーミスじゃないの?とも思えるレースだったが・・・。ゴール前五人が一線となる非常に濃いレースで、48秒44の好タイムにもかかわらず、二着プラス二のところを五着・・・・。

残念。結局タイム的にもこの組が抜けていた。一人で決勝まで行ってはじめて為末と肩を並べられると思ったが。このまま為末が引退してしまうと、少し時間がかかるかな。

男子100m(準決勝・決勝)

準決勝に進出した朝原。予選では10秒1台を連発し、決勝進出はともかく同じようなタイムで走ってくれれば、と期待したが・・・フライングをかまされて、少しスタートに出遅れ。隣レーンのパウエルが気になった訳でもなかろうが、やはり意気込みが力みになってしまったか。10秒35で敗退。しかし、本人の充足感は伝わってきた。お疲れ様。

決勝は、パウエルが好スタートも、中盤伸びず、ゲイがぶち抜いて優勝。アトキンスが二位で、パウエルはなかなかタイトル取れないね、の三位。向かい風で、新記録は出なかったがそれでも9秒85。世界新は200mに期待。

テレビがどういう報道したのか分からないけど、たぶん絶叫したんだろうな。でも、ゲイのゴール後も、ルーチンというか、単なる撮影会で、なんていうかこう本能的な喜びの爆発もなく、盛り上がりはそれほどでもなかった。それよりも、感動が広がったのは、七種競技。以下に。

七種競技

スウェーデンのクリュフトが自己記録更新の7032点で優勝。日本の中田も無事に完走。

あたりまえだが、個別の競技で歓声が沸くほどの記録が出るわけではないし、スタジアムでは、記録を得点に換算して順位の変動が手に取るように分かるわけでもない(場内FMではそのくらいやってよ)。しかし、拍手と歓声から、観客はみんな陸上を知っている人なんだなあ、という暖かい気持ちと、じんわりとした感動が広がった。

クリュフトは、痛めた脇腹をしきりに抑えていたが、それでもジャンプや投擲の後に、激しいガッツポーズをしてしまう。そういうところに抑えられない人間の本能を感じることができ、自己を極限に追い込んでいる状況を知ることができる。過度なあおりや、絶叫は必要ない。

それは、運動会でゴールの遅れた子に対する拍手と同じで、一種の母性本能で感動するんだと、言う人もいたが・・・違うと思うんだけどなあ。