世界陸上大阪2007 第一日:火はつかず

開会式の、織田裕二に毒気を抜かれ、どうしていいかわからない観客に、火をつけるのは誰か。この大会の成否にも関わることだったが、結論から言って、初日は、点火しなかった。

特に興味のあった種目だけピックアップ。

女子800m(予選)

予選から、レベルの高いレースが続き、見応えがあった。ロシア勢の強さと、ムトラの健在ぶりに、目を奪われたのと、ケニアのジョブコスゲイは相当強そうだ、という認識。800mまで持って行くか、ケニア

男子400mH(予選)

メダルはともかく、ダブル入賞を期待した種目。為末は、一台目を倒した後スタートから飛ばしていったが、失速。なにもそこまで、という前半の飛ばし方は、オリンピックでもやってしまった慢心なのかと思ったが、どうも調子が良くなかったようだ。陸上ではこればかりは何とも仕方ないとも思うが、プロ選手としては失格かな。ファンへのアピールはテレビだけでやるものじゃない。

その後を受けた成迫は、スタート前ガチガチに緊張。身体がこわばって、力みがありあり。ああ、負の連鎖、と思ったが、突破してくれた。

女子10000m

マラソン転向とも言われる福士に、最後のトラックレースでの入賞を期待したが、ならず。アフリカまで行って合宿を張ったと言うが、慎重さというか、落ち着きのなさというか、根本的な性格の部分で成長が見られなかった。世界選手権5000で入賞、10000でメダルをとった千葉さんの当時と世界との差を比べてもポテンシャルの違いがさほどあるとは思えないが、我慢の能力の差だろうか。ペースの上げ下げで互いを揺さぶる世界のトップとは違い、福士がペースを出入りさせても、誰も反応しないので自分だけが消耗しているのは、毎回同じことの繰り返しだ。集団の中でペースを下げる過程で抜かれるときに押されて転倒。不運ではなく、あれは自業自得。また、そうとう頻繁に給水をとっていたが、それならインにこだわる必要はなかった。

先頭から離された後も入賞圏内で走ってはいたが、他の選手がラストに備えている中、単なるターゲットにされてしまった。惜しくない、差の大きい10位だった。本人はそんなこと気にしていないみたいだったが、やはりミスの余地の少ないトラックレースより、挽回がきくマラソンレースの方が、向いているという総合的な判断は賢明だ。

それより、絹川、脇田はナイスレースじゃないかな。地元開催と言うことで、暑いレースを乗り切れたのかもしれないけど、若い二人が前向きにいかせる経験を積んだことは、喜ばしい。