オフのチーム作り:阪神タイガース前編

阪神タイガースは、昨シーズンセ・リーグ2位。

中日ドラゴンズが優勝を決めた10/10に、実質的なオフシーズン入りとなったと言えよう。

来シーズン以降に向けた、セ・リーグ優勝・日本一を目指して、今シーズン見られた問題点を解消し、弱点を補強していく必要がある。

もちろんチーム作りとは、選手を揃えるだけのことではないが、オフに最もめまぐるしく動くのは、チームのメンバー(首脳陣・選手・スタッフ)ということになる。

2006シーズン、阪神が優勝できなかったのは、中日より弱かったからだ。

では、なぜか弱かったのか。監督の采配もしくは選手の能力が劣っていたのだろう。

選手の能力が、劣っている部分について補強しなくてはならないし、能力を十分発揮できなかったのであれば、その問題を解消しなくてはならない。

キャンプを控え、2007シーズンに臨む阪神のチームメンバーについて、おさらいしたい。

投手陣から:

今シーズン、先発の役を担ったのは、以下の投手(カッコ内は、イニング数と先発回数)

井川(209, 29)、福原(155, 23)、下柳(151, 25)、安藤(129, 20)、江草(97, 12)、杉山(91, 14)、オクスプリング(77, 15)、ダーウィン(74, 3)、能見(47, 2)、中村泰(10, 2)、岩田(3, 1)

年間通してローテを守ったと言っていいのは・・・井川・福原・下柳・安藤でしょうか。

安藤は、中継ぎとの併用にも耐え、終盤戦の追い込みに大きく貢献したと言う点でも大きな存在でした。

誤算は杉山でしょうか。期待が大きかっただけに、出遅れたのも、その後のシーズンの成績(4勝4敗)も残念な結果に終わった。

それを補うのは、江草かと思われた。

事実4月の成績は3勝1敗。その1敗も打線の援護なく完投負け、という内容。

しかし、結局シーズンで5勝しかできなかった。

これは、久保田の離脱に伴い、セットアッパーが手薄になったことも関連がある。

岡田監督も「先発で結果を残していた江草を後ろに回さざるを得ない事情が苦しかった」と述べていた。

いずれにせよ、江草は先発として、充分な成績は残せなかった。

苦しい投手起用のしわ寄せが、7月前後の先発に表されている。

先発回数の少ない投手のうち、ダーウィンの三回は6/28、7/9、7/16、中村泰の二回は7/12、7/29、能見の二回は8/12と8/16。

彼らの先発時のチーム成績は3勝4敗で、最低限何とかしてくれた、という反面、中日との3.5差を思うと歯がゆい。

特に、能見の8/12中日戦は、先制点をもらいながら二回持たずにKO、挙げ句中日にマジック点灯、と悪い意味で忘れられない試合となってしまった。

リリーフ陣は、ジェフが開幕に間に合わず、久保田の骨折による離脱もあり、藤川の負担が大きくなってしまった。そのことが、首痛による藤川の離脱を誘発したのはもちろん、安藤・江草のスクランブル登板を呼ぶ。

結果的に、藤川がクローザーに回ったことで、7-8回の安定感が激減し、逆転負けを食うシーンも多かった。

さて、来シーズンに向けて

選手の出入りで最も大きいのは、井川投手の移籍。

投球回数、特に8完投というタフさを埋め合わせるのは並大抵のことではなく、必然的にピッチングスタッフ全体にかかる負担は大きくなる。

まずは、福原・下柳・安藤は少なくとも現状維持でお願いしたい。

安藤は、先発に専念させたいところだ。

先発のコマ数としては、久保田の先発転向が濃厚である。

彼は、クローザーとしては不安定な面もあったが、器用なタイプであり、バッティングを生かす意味でも、転向には賛成。但しはじめからセットでお願いします。

少なくとも先発15回は期待したい。また、今季の安藤のようなスクランブル登板にも対応して頂きたい。

新外国人としては、ボーグルソンとジャンを獲得。ボーグルソンは先発一本で、ジャンは今年のダーウィンのような使われ方になるのではないだろうか。

ボーグルソンには先発15回を期待したい。

ドラフトでは、希望枠で小嶋を獲得。来年度の戦力としては未知数だが、一度や二度は先発に絡めるように成長してもらいたい。

現有戦力では、杉山がローテの核となってもらいたい、彼が裏の軸で回ってもらわないと困る。江草・能見も含めて、この辺りの選手の出来如何で、チーム成績は大きく変化するだろう。

杉山には先発20回以上、投球回数150回以上、をお願いしたい。

また、昨年ドラフトの希望枠入団の岩田は、わずか1試合登板に終わったが、今年は開幕一軍を果たしてもらいたい。「新戦力」ではないが、今年なかった戦力としては、彼が最も確実で有望だ。

リリーフ陣はJFKの幻想をいったん取り払って、柔軟な起用が必要となる年だ。これは、選手側ではなく、起用する側の問題でもあるが・・・

想定されるメンバーは、もちろんジェフ・藤川と、先述のジャン・江草・能見。それに加えて、桟原・橋本・金澤・吉野の中から、誰か上がってこないと足りない。さもないと、今年も安藤や久保田のスクランブル発進が必要だ。

ジェフ-藤川を固定するのは良いとして、その前、あるいは間、と自在に投手を起用する必要がある。なにせ「8完投」の投手が不在になるのだ。一年間、6-9回をどう乗り切るか、常に考えなければならない。

そして何より、全選手がいつも元気で故障なく一軍にいるとは限らないことを、肝に銘じなくてはならない。

昨年、JFKはいずれもチーム離脱しているのだから、そうした事態は起こってしまったらアクシデントだ、とあきらめるのでなく、想定した選手育成・起用を図ってもらいたい。

投手起用の硬直化は、トラブル発生時にうまく乗り切ると言う点で、問題がある。

外国人投手は、うまく回しながらの起用になるだろうが、日本人投手は、ワンポイント起用も含めて、高度な投手起用をお願いします、監督。

イマドキ、勝利の方程式、はないでしょ。

以上、阪神タイガースの投手編、でした。