12/2 Jリーグ G大阪vs浦和 ただ攻めるだけ、三点目がとれずに。

色々書きたいことはあったのだが、この試合(とシーズン)を総括せずに、記事は書けない気がした。

で、一ヶ月ほどたって、ようやくこの試合についてコメントを書く気が沸いてきた。

Jリーグのチャンピオンになるには、ガンバは浦和に3点差以上で勝たなければ、優勝できない、という状況だった。

状況を応じて戦術を練り、試合に望まなければならない。それは、最後のこの一試合に凝縮されているように捉えられがちだが、もちろんそうではない。

甲府戦や東京戦で、もっと正しい選択肢はなかったのか。そこまで遡らなくとも、チャンピオンシップの行方が見えてきた終盤戦、なぜ、福岡戦で勝ちきるための戦術を取れなかったのか。

終戦まで、優勝の可能性を残したとはいえ、ガンバは、リーグ戦に対する責任を、果たしたとはいえないだろう。

そして、この試合でも、十分な盛り上げ役になることはできなかった。

この日のガンバは、リスクを負っての攻撃、というよりは、最終ラインから中盤へと押し上げていく、いつものスタイルは崩さない。

三点より、まず一点というのはわかる。浦和は、いつもより、さらに慎重で、ドン引き。にもかかわらず、セカンドボールもガンバが支配し、波状攻撃・・・となるのは、たまにしか見られなかった。

相手のシステムによらず、とにかくボールを丁寧に戻すプレーが多い。それでリズムが出るかというと、手数が多くなっても、これといったアイデアのあるプレーは生まれず、結局単調な攻撃の繰り返し。浦和の混乱を招いていたのはシジクレイのドリブルと攻撃参加のみ。

序盤は、相手エリアを中心にかなりのボール支配率にもかかわらず、シュートはほとんど記憶にない。流れが相手に行くかと思いきや、三点差で負けなければ良い浦和は、何もしてこない。

ボールポゼッションだけみれば圧倒的な時間帯が続く中、21分にゴール前の混戦でマグノアウベスが先制ゴールを決める。これだけ攻め続けて21分で1ゴールか、というのが正直な気分。最高のシナリオでも、4-1という結末しか想像できなかった。

一点では、相手のシステムは何も変わらず、ガンバは引き続きボールポゼッションし続ける。しかし、シュートまで至らない。最終のパスやクロスまでいたらない、と言う点で、浦和の守備意識は高く、そして固い。

6万のサポーターはこんなサッカーが見たいのか、とも思うが、リアリズムというのはこんなものだ。

そして、お決まりの連携ミスからカウンターで、失点。ポンテとワシントンの連携でなかよく1点ずつ。

シーズンはこの時点で終了した。

後半は、トゥーリオからのボールをワシントンが頭で決めて三点目。ガンバ守備陣の意識の低さが出たプレー。前半引いていたからといって、攻撃参加がないとでも思ったか。

トゥーリオをフリーでプレーさせ続けた結果、決定的な仕事をされた。想像力も意思疎通もかけたプレー。DFだけでなく、GK、守備参加するフィールドプレイヤーすべてに猛省を願いたい。

皮肉にも、痛んでいたシジクレイが交代し、前田が入ってから、少しボール周りが良くなり、シュートシーンが増えるが、浦和守備陣はとにかくシュートコースを消す、ボールにわずかでも触る、という基本プレーでゴールを許さない。

何度か守備機会でのミスはあったが、この日のガンバは、最後まで、決してあきらめたプレーをせずに、攻め続けた。それは、感動的であった。そして、浦和はそれを上回る固さをみせ、試合に勝ち、チャンピオンとなった。

ガンバの試合運び、特に広範ここ何試合かで見せた歯がゆさはなかった。シュートを打ち、枠を捉え、入らないのだから、相手をたたえるしかない。前半、一点取ってから、カサにかかりすぎたのかもしれない。

シュート15本、得点2。被シュート9本、失点3。

年間通してシュート数555本(16.3/試合)で80ゴール(2.4/試合)被シュート数349本(10.2/試合)で失点48(1.4/試合)。

攻撃面の評価は難しいが、シュート数が1位であることはまあ評価してよい。ゴール数1位(84)の川崎は、シュート496本なので、比較すると効率がよろしくはないが、ガンバより効率がいいのは、あと磐田(68ゴール/シュート428本)くらいなので、まあJの中では低いほうではない。最終戦も、ほぼこの数字どおりの攻撃力を見せた。

一方の守備。シュートを打たれた本数は年間平均どおりだが、相手が確実に決められ場合、言い換えれば、そういう局面を作られる展開になった場合、負けているのだ。

前半戦、川崎でやられてから、この試合で年間5試合目の2-3負けである。

負け方はいろいろ、先に3-0とされたり、2-2から決勝点を決められたり、2-0から逆転されたり。

しかし、これまでは、あと1点がとれずに、という試合運びの中で負けていた。

だが浦和戦は、そうではない。あと、4点が必要な状況だったのだ。

それでも、シーズンの行方だけではなく、目の前の試合を勝ってもらいたい、ものだ。それと同じ相似比で、勝敗にかかわらず良いプレーを見たい、ものだ。

勝てなかったが、いや勝てなかった以上、満足とはいえないが、選手のいいプレーを見ることができて、幸せだった。

浦和のサポーターに、あれだけ長時間、ブーイングしかさせなかったことも、一ガンバサポーターとしては、やや溜飲の下がる思いではある。だが、チャンピオンシップでは、負けた。

やっているサッカーはどっちが楽しいか、ということは、結局見る側の満足度によるだけのことだ。

もちろん、勝たなければ意味がない。だが、勝った上で、魅せるサッカーが、プロならこの先求められよう。

浦和のサポーターも、今年は、とにかく優勝してほしい、そのためには長時間のブーイングも厭わない、ということだろう。だが、目はきっと肥えてくる。

それは、ガンバのサポーターも同じ。

攻撃的なサッカーは、見ていて僕達を楽しませてくれる。

ありがとう。それは分かった。

次は、勝ってほしい。