10/7 阪神vs巨人 蜘蛛の糸

10/6の時点で首位中日のマジックが4、残り8試合、二位阪神とは3ゲーム差。阪神は残り5試合。

いくら阪神がなかなか負けない、といっても、中日もよく勝ってきたのだから、今シーズンのペナントの行方はあらかた決した、と言ってもいいのではないか。

阪神としても8月の四連敗と五連敗は痛かったが、これだけ9月以降勝ってきたのだから、もうそれを責めることはできない。私の興味は、10/12の甲子園での直接対決に移っている。

新聞などは、長嶋氏の「メークドラマ」を引き合いに出し、直接対決で奇跡を!などとあおるが、それは無責任だ。あの10.8との根本的な違いは、それが最終戦で勝った方が優勝、という図式か、そうでないか、だ。

確かに10/12は重要な直接対決といえるだろう。だがそれは、阪神にとっては、今シーズンやられっぱなしだった中日に一矢報いるという意味で、中日にとっては試合消化・マジック減らしという意味で、そしてよりによって優勝を争った相手チームの本拠地で胴上げできるかもしれない、という異なった意味合いがある。

 

そんな中で行われた10/7の試合だった。

 阪神は巨人と、中日は横浜と、どちらも二連戦の初戦。

 阪神は福原が、中日は吉見がどちらも6回無失点。

 スコアもどちらも2-0で試合終盤へ。

なんというシンクロだろう、と思った。今シーズンの終盤の、まるで水中での息の止め合いのような、マッチレースを象徴する、両チームの戦いぶりではないか。

私は勝手に、この二試合の流れは、今シーズンを決めるのだ、と決めつけた。

そしてこう考えた。「きっとこの試合は両方勝つだろう」「つまり優勝するのは中日だ」。

逆の言い方をすれば、試合を観戦する上で優勝の可能性をまだ捨てていない私が、そこにはいる。完全にこの文章の書き出しとは矛盾しているのはもちろん承知である。

そう決めてからの試合展開は、実に健康に悪いものだった。「両方勝つ」はずが、阪神は8回に高橋由に同点2ランを浴びてしまう。投手はウイリアムス。もう駄目だ。巨人は負けていても内海から林と勝ちパターンの投手でつないでいる。次は久保だ。打てない投手ではないが、巨人は勝つ気なのだ。中日マジック2か・・・

だが、その裏、事態は急転する。一死から赤星が出塁し関本が送る。二死二塁。このバントは久保を助けたんじゃないかと思ったが、そんなことはなかった。三遊間が空いたおかげで、シーツのセンター前ヒットが生まれ逆転。そして金本が2ラン。これで5-2となった。

藤川はピリッとせず、ボールが走っていないが、巨人打線ではどうしようもない。清水のソロだけに抑えてゲームセット。自慢のリリーフが打ち込まれた格好だが阪神は負けなかった。

一方の中日はどうだったか。こちらも8回に、横浜村田に、岡本が3ランを放たれ、なんと逆転負け。マジック2のはずが4で停滞することとなった。その間、ほんの10分足らずであった。

この二試合が、今シーズンを決める、なんて言うのは、私が勝手に決めたルールである。しかも、優勝できなかったときに落胆したくないから、多くの防護線を張っていた、その一環である。勝ったら、何の慰めにもならない(倒錯しています)。

現時点(10/8朝)での状況はこうだ。

首位中日のマジックが4、残り7試合、二位阪神とは2ゲーム差。阪神は残り4試合。

10/12がなぜ、奇跡の日とならないか。それは、10/12のあとも中日は3試合残し、阪神は2試合残している。10/12の前日まで中日が全敗し、阪神が全勝したとして、やっとゲーム差0である。10/12に阪神が勝ってもまだ中日は取り返せるのだ。その後、阪神が1勝1敗。中日が2勝1敗なら、中日は逆転優勝である。

私が、なにをむきになっているか、おわかりだろうか。

お釈迦様は、なぜ糸を切ったのだろうか。

溜息をつかれないように、謙虚に「その日」に臨むのも、ファン心理と考えられないだろうか。

選手の皆さんも、どうか、緊張の糸を切らないでほしい。

四番打者が「アンディがタイムリー打った後も、ほっとせずに、いつもより集中して打席に臨んだのが良かった」

というのだから。