9/27 阪神vs広島 なぜなぜ泣くの

阪神タイガースがよくやっている。

なにがって、首位争いのチーム同士の対戦成績がこれほど差があるのに(阪神5勝・中日13勝)、9月も最終週になって、まだ「最後の天王山!」とかいう記事が、スポーツ新聞に出てきちゃったりするのである。

良くやっていると言ってあげなければ。

子供の頃は、野球が10月までやっているなんて、知らなかった。

10月になると、当時の子供にはよく分からないチーム(パ・リーグです)と、たいてい巨人が試合をして、どっちかが胴上げしていた。

それは、僕の好きな阪神タイガースとは関係のない野球だった。

大人になって、ようやくである。

10月に野球をやっている素晴らしさを知ったのは。

(1992年、最後にヤクルトに負けたのは、選手も10月まで野球をやると思っていなかったからだと、思っている)

昨日は井川が対広島戦で完投勝利を挙げた。

広島のメンバーを見て、ブラウン監督はそんなに落合が嫌いなのか、と驚いたが、どうもケガ人が多くて、まともなメンバーが組めないらしい。

分かりますよ。

阪神も、暗黒時代は、シーズンが佳境に入ってくると、ケガ人が増えたものです。

順位がほぼ確定してからは、活躍してもプラス査定に入ってこず、むしろ、ミスがあると減点対象になるだけ、だという査定システムの問題を、週間ベースボールで読んだ記憶があります。

もっとも、広島の場合は、もともと若手中心で、ベテランさんもさほどいらっしゃらなかったので、本当にケガかと思いますが。

井川のボールは低めに集まっていて、変化球のブレーキも良かったように見えた。

もちろん、この大事な時期に、中8日だからね。安藤や福原の奮闘を見れば、そのぐらい集中してやってくれてもいい。

エースが九月初勝利である。

点を取られた8回は三連打で無死満塁とされたが、内野ゴロの1点に抑えた。その回を除けば散発3安打。

相手メンバーに関わらず、良い投球だといえよう。

その井川が、最後の打者、倉をセンターフライで打ち取った後、涙を見せたらしい。

らしい、というのは、そのシーンは、ラジオで聞いていた。

試合には勝つと思ったが、岡田監督は、井川を九回も行かせると思わなかった。

9/13の広島戦は、三回で見切って代打を送っている。

井川が九回のマウンドに立った時、私は、一点くらいとられるだろう、とぼんやり思った。

今シーズンの井川は、そういうふがいない投球をしてきた。

そしてさらに、七連勝していて、首位争いをしているチームのファンに、そんなことを思われていると知ったら、井川は悲しいだろうな、と思った。

星野前監督に「あれはいかん」と言わしめた、安藤ザワザワ事件を思い出した。

あれは、2003年の日本シリーズ、第五戦。甲子園で八回表、当時セットアッパーの安藤が出てきたときに、球場をものすごいザワザワ感が包んだ。

どよめきといってもいい。えー。というか、オイオイ、というか。

私は、ダイエー応援団の上、レフトスタンドにいたのだが、敵味方ともに、リアクションに困る雰囲気。

(えーと、日本シリーズですよ、的な)

ちなみにこのシリーズは、第一戦、星野監督どうした、と言うほど安藤を引っ張って7回から3イニング,投げさせてサヨナラ負け。

そして、前日の第四戦も、押し出しで同点にされ、マウンドでお手玉して逆転された(試合は勝利)。

ファンは敏感である。

あの時、安藤かよ、と思ったのと同様に、昨日も、井川続投かよ、と思ったのだ。

だが、井川が泣いた時、選手も敏感であることを、忘れていたことに気がついた。

藤川は、お立ち台で、ファンに向かって、何のために投げているのか、分かって欲しい、と叫び、泣いた。

井川は、満員の観衆の中で、信頼されていないと感じ、それでも投げきって、泣いた。

誰にも認められない、つらさ、悔しさ、孤独感。

打たれても、打たれても、「試合を作ることはできました」と虚勢を張る井川は、強い、と思っていたが、彼も人間である。

甲子園で、多くの選手を、悔し泣きさせている、僕らなんて、何様なんだろう。

阪神を、愛していれば、選手を泣かせても良いのか。

僕らはそれに見合うだけ、阪神を、野球を愛しているのか。

問わねばならない。

とりあえず、そんな僕らを「イチバンや!」と言ってくれた、オマリー、ありがとう。