9/23 G大阪vs川崎F 裏切っていないか

美しいサッカーという言葉がある。オシム氏もそのような言葉を使っていた(美しいサッカーは死んでしまった?とか)。

美しいサッカーは、客観的な立場であれば、楽しいサッカー、感嘆すべきプレーと置き換えることができるかもしれない。

しかし、(特定のチームを指しているわけではないが)、美しいサッカーをやっていれば負けてもよい、というのはプロサッカーとしては間違っていると思う。それは、客が入れば負けてもよい、という思想(@パナソニック)と同列ではないか。

指向に一定の理解はできる。しかし、勝つための、あるいは勝ち点を取るための本気のプレーができなければ、リーグ戦は成り立たない。

たとえば、R天がいくら弱いとしても、パ・リーグの球団は、楽天との対戦数20試合を勝利数として自動的に計算されるわけではない。であるならば、R天に対して、取りこぼしがないよう、各球団は戦わなければならない。それに対して、負けてもよいというメンタリティーで望むことは公正ではない。

勝ち数20をあげます、になってしまうのだ。たとえ金銭等の見返りがなくてもこれでは八百長である。

言いたいことは、どんなサッカー、というのも大事だが、勝つことを目指す、というのが最もプライオリティーが高くあるべきだ、と考える。

話を戻す。

ガンバのサッカーは美しいのか。

頻繁なポジションチェンジと硬軟まぜたパス交換、ポゼッションを高めて守備リスクを下げつつ、速度差をつけた波状攻撃。

あえて言えば、最終ラインでのシジクレイの不要で謎のパスと、宮本の決定的なクリアミスも含めて、息をつかせないサッカーをしてくれるチームである。

少なくともサポーターである私には、楽しいサッカーだ。

FC東京が原監督だった頃、誰かが「(面白いサッカーの必要性)様々なアミューズメントの選択肢がある東京で、誰がつまらないサッカーを見に行くか。見ていて楽しいサッカーをしないと、客も来ないし地域になんか根付かない」と語っていた。

これは関西でサッカーが今も根付かなかったこととも関係がありそうだ。

スポーツ文化が、阪神タイガースへの熱狂、高校野球への憧憬、に支配されている中で、誰がつまらないサッカーを見に行くか。

しかし、ガンバはどうだろう。

やっているサッカーは、面白いようだ。しかも、勝つ。4点・5点とって勝つことも珍しくない。

昨年はリーグ戦優勝もした。ナビスコ杯も準優勝。

今年も、リーグ戦首位争いである。

あまり好きではないが、個人のタレント性とメジャー度も結構高い。

比べても仕方がないが、

鳥谷にキャー、矢野にキャー、という阪神ギャルよりも、宮本にキャー、吉原(現大宮)にキャー、のガンバギャルの方が健全な気がする。

では、何が足りない?

過去にガンバが、大事な試合でころっと負けたりしてるから?

(たとえば2002年1st:ジュビロに5-4、2nd:鹿島に2-0でともに優勝戦線から脱落)

大阪ダービーが試合として盛り上がらないから?

それもあるかもしれない。期待を裏切られたときの失望は大きい。

しかし、もっと大きな理由は、タイガースが勝っているから、なんじゃないか。

西プロスポーツ界の大先輩である。弱くても

タイガースの暗黒時代に、ガンバが今のサッカーをできていれば、きっと楽しくて(美しい、とはまだいえない)、勝つサッカーで、関西のサッカー熱を盛り上げていたことだろう。

残念だが、ガンバは、勝ち続けるしかない。

阪神が暗黒時代に戻るまで

(僕は阪神ファンです)

王者然とするには、まだまだ早すぎるが、

それでも、挑戦者を跳ね返し、結果でも、中身でも、期待を裏切らないサッカーを続けていくしかない。

ガンバ対フロンターレは4-0と言う結果に終わった。

この試合は、壊れてしまったのではなく、フロンターレの選手たちが壊したのだ。

彼らが時折見せるファイトは、試合を壊す可能性のあるプレーでもあることを知る必要がある。

また、先日のコラムでも書いたように、彼らは、リーグ戦を捨ててしまったのだ。

その選択は間違いとはいえないが、二日で修正できるような戦略とダメージではないことは、確かであったと言うことだろう。

試合内容に触れることはあまり意味がないかもしれない。

退場者のでた後も、ガンバは攻撃のリズムを無理に強めなかった。

それはまるで、「川の水が徐々に増水し、堤防が決壊する瀬戸際」を見るようであった。とても静かなプレッシャーに感じられた。

ところで、もんじゃ焼きは具(粉?)で堤防を作って、だし汁を中に注ぐ(?)と聞く。

10人の相手に合わせてしまい、攻め手もリズムを失うことは、良くあるが、それはもんじゃが徐々に固まって、堤防(=守備)に絡め取られていく様によく似ている。

この日は、ガンバの攻撃陣も多彩であったが、

フロンターレもDFラインやGKがあれほどミスをするチームではないはずだ。

結局堤防は決壊し、試合は壊れてしまった。

ガンバに勝って欲しいという願いもあった反面、良い試合を見たいという思いもあったので残念だ。

一番の気がかりは、観戦した人を、またしても、裏切ってしまったのではないだろうか。

「勝てば良い」ですませられるのだろうか。