2018/2/24 J1#1 ガンバ大阪vs名古屋「長谷川からクルピへ、未勝利のバトン」

どんなに危機の臭いがしていても、開幕戦はワクワクして気持ちが高ぶってくる。開幕するまではすべてのチームのサポーターに平等に与えられた権利だ。昨年からずっと勝てていないチームにも、心機一転、なにか福音が伝わるのではないか、そういう何の根拠もない気持ちは、前半早々の遠藤のゴールでいったん現実のものとして僕らの目の前に降りてきた。結局は逆転され、一度は追いついたけれども結局は勝ちきられたこの試合、全然連携してボールを運べないな、とか守備がザルのままだな、とかだけでなく、それでもなにか点を取って前向きにサッカーをできているという喜びのようなものを感じることができたから、あんなにニコニコして帰ることができたのではないだろうか。

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[山内社長、上野山常務以下によるお出迎え]

東口:厳しいシュートは素晴らしいプレーで止められるが、だからこそ、2失点目のようなこぼれ球とか、3失点目のようなシーンは、ゴールで構える以外の動きができるようになってもいいんじゃないかと思った。まあGKコーチ代わって練習もいろいろやってるようなので、期待。もう少し
オジェソク:ウィジョとの右サイドでのコンビは抜群で、何度も打開できていた。前でプレーする機会も多く、クロスも多かったかな。無限のスタミナで70分のクロスから長沢のゴールを生んだ。よくできました
三浦:ファビオに助けられ続けたが、そのファビオとポジションかぶしちゃって失点を呼んだ。単独ではジョーを結構抑えていたけど、うまく体を入れられたりして、混乱を作られたのは相手が上手だった証拠。TMでは封印してたロングフィードがこの日は解禁されたようで、アクセントになってた。もう少し
ファビオ:2ボランチと藤春をカバーしながら、三浦もケアするという大変さが報われない試合となってしまった。今野復帰までこの感じでしょうか。できました
藤春:深い位置からの遠藤の頭めがけたクロス、狙い澄ました強烈ミドル、どちらもタイミングが正直すぎたけど、積極的なプレーは好印象。後半は少しガス欠気味だったか、縦へのボールに反応できないシーンもあった。できました
福田:高校生プレーヤーが開幕スタメン。ポジショニングは非凡で、前への仕掛けもよかった。同年代でできたことができない局面で、工夫が問われるシーンもあったけど、「ルーキーにしては」という色眼鏡だけでなく、市丸を活かすシステムとしては良いコンビなんだと思った。できました
市丸:しばらくは市丸道場が続くんだと思った。硬軟織り交ぜたパスセンスはさすが、要所での非凡な観察眼も感じたけど、強度不足かな。とにかくプレー時間を伸ばそう。もう少し
ファンウィジョ:右角からのカーブをかけたシュートはTMでも決めた得意ゾーンで、この日も惜しかった。4本のシュートがいずれも自分で行く姿勢だったからこそ、それ以外のプレーでも相手DFに脅威を与えた。よくできました
遠藤:2列目でオープニングゴールも含めて大活躍。セットプレーの精度はちょっとあれだけど、「納得して辞める」が実現できそうな気がした。よくできました
倉田:サイドラインで相当頑張ってボール回収するなど、気合いは感じたし、それが功を奏した1点目だったけど、サイドで献身性を発揮するあまり、エリア内での危険なプレーでは目立てなかった。ゴールを脅かしてこその10番、と期待。できました
長沢:前プレ守備を免除されたら試合中消えたな・・・とか思ってたら、パス交換に絡んだりしながらうまく打開して見せたり、最後は絶妙なスラしのヘディングも決めた。20ゴールへ向けて順調な滑り出し。よくできました
矢島:展開もよくなかったけど、攻めなきゃいけない中で、起点にもリンクにも推進力にもなれなかったのは残念。新戦力として連携醸成までの猶予はあるけど、それは若手も同じだから。もう少し
中村:右サイドでの打開、思い切りの良いシュート、期待を持たせるのに充分だった。どのくらいガンバにいて貢献してくれるのだろうか。よくできました
泉澤:短い時間だったがなんとか追いつこうという中での打開力とゴールへ向かう勢いを見せてくれた。最後はあの形でしか可能性がなかったと思う。よくできました

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[プレーはともかくメニュー開発の点で「天才三浦」と認定された]

2017/4/16 J1#7 ガンバ大阪vsC大阪 「ハイライト映えはしませんがマネジメントで勝点1」

ミッドウィークにACLアウェイ中国で惨敗して帰ってきてのアウェイ大阪ダービー。久々の大阪ダービーと言うことで気持ちを切り替えたいところ。

チーム状況から言えば、広島戦以上に苦戦しそうなものだったが、ユン監督のチームらしくなく、走力を抑え気味にして守備のセットを重視された前半。足が止まる30分まではともかく、それ以降、さほどボコられることこそないが、得点の可能性というか崩す形は全く見えないまま。この時点で230分間無得点。

後半、まったくなにも起きそうもないところで、なんとなく密集してボールの押し合いになったルーズなシーンを、突然トップスピードだった藤春が駆け込んで先制。セレッソの守備はスピードのギャップに錯覚を感じた印象。陣形をそろえてからの個人間の連携に問題がありそうだったのを狙っていたのか。

その後はクロスあげられ放題スタイルで、ゴールに迫られる。後半27分に同点にされると、足も頭も止まってしまったような感じ。ただ、その後の時間帯は圧倒的劣勢だったにもかかわらず、簡単に逆転されなかったのが良かった。

ヤットさんを後半39分までひっぱって、泉澤を入れた直後に逆転されたが、その時点では割とボールがうまく運べるようになっていた。逆転で相手が浮き足立ったのもあるかもしれないが。試合終了間際の同点ゴールは、キッカー井手口の低いボールに虚を突かれ、藤春がミートできなかった狙った浮き球パスで時間とスペースを生み出したことが重なった。

2-2のドローはチーム状態から言えば御の字。60分-75分の支配率がセレッソ65.5%とされていた時間によく我慢して、最後の15分はガンバ57.4%にまで盛り返した。長谷川さんの采配はいろいろ言われることもあるけど、初瀬を下げてからのファビオの怪我など、アクシデント含みの難しい状況にも対応しながら、運動量のインパクトが活きる時間帯に最善手を打つなど、トータルでのマネジメントは優れているな、と思う。印象が良くないのも事実なのだが。

東口:気合いが空回りして悪い方へ向かう日だった。良いセーブもあったが、相手の2点目は苦手な振られ方をして決められたので、しっかり分析されているのは明らか。弱点を改善できていないことが問題。枠内被シュート4なら2失点は失態と(期待を込めて)言いたい。もう少し

三浦:1失点目、杉本にぶち抜かれた、というならまだ仕方ないが、あのふんわりしたアリバイ的な位置取りは何だったのか。ファビオの交代で少しメンタル的にも弱まったか。それにしても3バックに対応するどころかどんどん劣化している気がする。もう少し

ファビオ:61分負傷交代。杉本・山村ともにほとんど仕事をさせていなかっただけに悔やまれる。よくできました

金:復帰即先発。ときどき縦にチャレンジしようとするが、セレッソの丁寧な組織に全く歯が立たず。ファビオと二人でならFW抑えられたが、丹羽になってからはやられたい放題。それでも最後まで立っていたのは偉い。できました

初瀬:試合の入りは良かったし、ランニングシュートは勢いを感じさせたが、あとは連戦の他の選手と同じようにペースダウン。55分に早々に交代。頭も体も若さをもっと出していって欲しいし、今日はターンオーバー以上の意義は見いだせなかった。できました

藤春:サイドの攻防は見応えがあった。5バック気味に押し下げられる時間もありつつ、それでも長い距離を走り続けてチャンスを演出。両チーム最多のスプリント(28回)も。ゴールはACLでやられたのを狙っていたとのこと。よくできました

遠藤:ソウザと山口を相手にらしいプレーはできなかったが、この辺のキープレーヤーを引きつけたのは事実で、それがIH起用の目的だったし、だから最後まで引っ張ったんだろうと推測。もちろんこの辺を背負っても難なくチャンス演出してた頃を考えると寂しいが、監督の期待する役割は果たした。できました

井手口:アンカー起用には驚いたし、向いてないなと思った。広範囲にボールを刈り取りに行くいつものプレーで、ポジションをおろそかにするシーンもしばしばあり、その辺を指示されると今度はらしさが消えてしまった。もう少し

倉田:劇的同点ゴールはさすがというかあそこでふかさない技術力だと思うけど、ヤットさんに引っ張ってもらって生まれたスペースを埋めに来た相手の組織に怖じ気づいている感じで、チャレンジしていこうという雰囲気は感じなかった。ちゃんとサッカーをする相手にコンプレックスが生じているのかな・・・。できました

長沢:守備の人でした。おかげでなんとなく前に運んだボールを失って、大ピンチを生み出されることは防いでくれるのだけども、本業しっかりお願いします。もう少し

赤﨑:初先発。連携がまだの分、思い切ったプレーで打開を期待したけども、シュートはなし。1点目で密集の一員としてお互いのパスワークを乱すことには貢献。展開上交代できなかったけども、優先順位は下がっていきそう。もう少し

堂安:サイドで全くなにもできず、裏を狙われ続けただけだった。ボールをつなぐなり運ぶなり、苦しいときの自分のバリューを理解してプレーしてくれないと、好きなところでしか良いプレーできません、という先輩のようになっていく。もう少し

丹羽:まったく準備ができていないのが明らかだった。個人技でピンチをしのいだところもあったけど、三浦ともジョンヤともうまくコミュニケーションとれないで、一人でサッカーやるつもりなのかな。もう少し

泉澤:動きが合わなくても、遠慮せずどんどん仕掛けて欲しい。そうでないと、周辺の足が止まった選手の助けにならないし、起用する点も見いだせなくなる。もう少し

今季出場時間の分布(フル出場に対する%)

ファビオの交代で、早くも今季のフルタイム出場の選手はいなくなった。

2017/4/7 J1#6 ガンバ大阪vs広島 「『勝ちたいんや!』に負けた」

中断明けの前節新潟戦を逆転勝利し、ミッドウィークの試合もなしで迎えた試合。スタジアムで観戦。

広島はこの試合まで未勝利の状況。加えて青山も不在で、展開を捨てて守備の強度を上げようという意識があった。ガンバから見ると狙いどころがなくて苦労もしたが、今季よくある「持たされて悶絶」、という展開はかろうじて避けられた。両軍コンパクトな布陣で、狭いところでボールを奪い合う中で、短い手数で前へ運べるガンバの方に向いている時間帯もあったが、パスだとか滑るだとかのミスで思うような迫力は出せない。あちゃー、で再度仕切り直しということを繰り返しているうちに、スッコンとミドルの跳ね返りを押し込まれて失点。あとは守備専念されてしまえば崩すのは容易なチームではない。それでもなんとか1点と期待したが、試合を通じてミスが多いままで、工夫もなく、アジリティにも欠けるなど、いいところなく試合終了。広島さんは最後まで集中力を切らさず、気迫に満ちた守備でした。勝点3に対する執念とかモチベーションを感じましたけど、良い守備をしている相手だからこそ得点を決めないといけないのにバリエーションがない、という今季の課題をまたも突きつけられました。

採点です。

東口:ノーミス。近場のシュートは問題なく対応したし、失点シーンもバーをたたいたミドルにはしっかり反応。よくできました

丹羽:ジョンヤの怪我で今季初スタメン。気合い入れて上がってもジェソクとかぶって邪魔をするだけだったり、足下でつなごうとするあまりのミスも散見。戦術理解の点でスタメン外れていることをよく理解できました。対人はよく封じてはいたが、正直そこまでの相手ではなかったことに助けられた。できました

ファビオ:遠藤とのギャップを長いボールで狙われていたけどよく対応した。最終盤は前線に。決まりはしなかったけど、パワープレーの迫力が増していることを実感。よくできました

三浦:丹羽出場のあおりで左へ。フィードの本数・精度は激減(感覚)。守備対応は概ね問題なかったけど、失点シーンでもう少し工藤に寄せられていれば、という淡い期待も。できました

オジェソク:例によって対面の清水への大ブーイングで広島が苦慮する中で淡々と封じていた。問題は外を使って攻撃する展開で、前も使えないし中にも入れないのでこの日は無力だった。3バックのWBとしては不完全燃焼。堂安と戦術的な交代。できました

藤春:布陣的にあれだけ自由にできたのに効果的なプレーを生み出せなかった。ちょっと傷めたという話もあったけど。無得点の一因を担った。もう少し

井手口:インサイドハーフとしての役割はまだまだ勉強中、という感じ。適所でのボール奪取はさすがだけど、攻め上がって帰ってくるタイミングとかに困って思い切りの良さが消えていた。できました

遠藤:攻守に狙われた。相手のタイトな守備に硬軟織り交ぜてチャレンジを試みるも、しっかり潰されていた。交代やむなしだけど1週間空いてもこんなに覇気がないとは心配。もう少し

倉田:はじめのチャンスを決め切れていたらと思うけど、その後はチャレンジ自体が少なかった。遠藤さんの介護から解放されてからは推進力取り戻したけど、すでに広島がしっかり蓋を閉めた後だった。藤春を連れて上がる工夫が欲しかった。できました

アデミウソン:カウンターのスタート時にはどよめきを起こすけど、持ち込むまでに至らず。この辺は広島の守備を褒めるべきかもしれない。今季はシュート23本で4ゴールという決定率なので、シュート1本ではね・・・。もう少し

長沢:ボールはよく収まった。うまく分断されたから機能しなかったけども、なかなか個人では限界がある。前線での守備タスクもほとんどなかったし、赤﨑とかとはまた違う関係性でできたらよかったのにね。できました

堂安:交代のファーストチョイスというところに状態の良さとベンチの期待度の高まりを感じたが、裏切る形となった。高い位置からのプレーだったけども消極的だった。もう少し

泉澤:素晴らしい推進力でゴールへ向かって可能性を感じた。状況も時間帯も思い切り行かなきゃいけない中でも、なかなかダイレクトにいかないガンバの中では良い意味で異質。遠藤がいなくなり、井手口がポジション下げたこともあったかもしれないけど、じゃあ最初からそれで行こうよ、と思わせてくれるプレー。よくできました

赤崎:劣勢で相手を執拗に追い込む姿は浦和戦と同じだったが、時間が伸びた分だけもう少し工夫が欲しかった。得意とするような相手守備を混乱させる駆け引きの時間が与えられるまで辛抱か。できました

90分あたりの走行距離とスプリント回数(J1第6節まで)

出場時間の短い選手のインパクトが大きいが、この試合に限れば交代出場選手の距離・スプリント回数ともに伸びていない。

これは優位性を発揮させない広島の守備セットが巧かったからだと考えられる。うまく嵌められてしまった証。

2017/3/19 J1#4 ガンバ大阪vs浦和「渋みもありドタバタもありの、ナショナル新喜劇」

週半ばのACLではまたも敗戦を喫して迎えたホーム浦和戦は、吹田スタジアムのゴール裏で観戦。まだまだ手探り状態の3バック+アンカーのシステムで臨むには不安のある相手。しかも前節、東口が大久保さんの膝で頬を折って欠場するのも不安倍増の材料。また、藤春の代わりにオジェソクが左に入る。

前半は柏木の曲芸で肝を冷やしたり、ジョンヤの凡ミスで心臓が止まったりしたけど、藤ヶ谷さんには阿形・吽形ならぬ謎のシールドがついており、かろうじて失点は免れる。キックオフ直後はガンバのフィードがはまりそうな形もあったけど、ターゲットが少ないので簡単に対応されてしまった。一方で、浦和の方は例によって細かいパス交換にこだわるあまり、プレスでそれをさせてもらえないと段々いらついてくるという、ラファエルシルバが入ってもやはりここ数年と同じ形を見せて前半は終了。

後半に入ると、ガンバのチェックにボールが引っかかる回数が増えてくる。先制点もその形から。倉田がボールをもってドリブルで持ち込み、オジェソクへ。期待していなかったクロスがスーッと人数の多いところにあげられたが、それを今野がキレイに合わせて先制。これで浦和のモチベーションががくんと下がった上に、関根を下げてくれる謎采配でぐっと楽に。

しかし好事魔多し。藤ヶ谷が傷んで治療。一度はプレー再開するが、やはり続行は不可能と言うことで突然のGK交代。今季四番手GKだった田尻が、東口の負傷、鈴木の低パフォーマンス(ACL)、そして藤ヶ谷の負傷で、ピッチに立つことに。阿部との1対1を止めるなど、落ち着いたプレーで乗り切りかけていたが、ラッシュをかけ続ける浦和の圧力に、最後は屈してしまいPK献上。残念ながら1-1のドローで試合終了。

試合終了後は田尻の涙に対してゴール裏から拍手が送られるという異例の展開。

噛み合わせが悪そうなので、浦和相手だけは442で臨むんじゃないかとも考えていたのだけど、ボールを持たされて困る、という心配がない相手だけに、やはり合理的な選択だったのかもしれない。またしても評論家諸氏からの「レベルの高いゲーム」との賞賛を戴くことになったが、そろそろ次のステップに行かないと、35000人近いお客さんがみんな玄人好みの試合を求めてるわけではないのでね。

藤ヶ谷:フィードや連携ではアレレ、というところもあったが、DFの裏切り行為にもあいながら、ポストやバーが守ってくれた。後半は素晴らしいシュートストップも見せたけど、勝負所での負傷は、サブへの負担も戦術的交代の消滅という点でも残念。できました

三浦:浦和の細かい繋ぎに翻弄されるかと思いきや、概ね冷静に対応。ただ、フィードを入れるような余裕はなかった。できました

ファビオ:ギャップを狙ってくる浦和のアタッカーとの駆け引きに注意深く対応できていた。興絽の動きはかなり研究したのでしょう。よくできました

金:どえらいミスから決定機を演出したけども失点にはつながらず。ただしその影響でフワフワした時間帯が長かった。後半は立て直したけども、ジェソクや今野に助けられた感が強い。もう少し

初瀬:宇賀神をぶち抜いてカタチは何度か作りかけるが、そこからがイマイチだった。チャレンジが少なかったのは、バランス崩したところを狙われることを恐れたベンチの指示だとは思うけども。24回のスプリントがどこで発揮されたのか、少々疑問だった。できました

倉田:中盤で長い距離を持たせてもらえたのが幸いで、持ち味を発揮できた。先制点のお膳立てだけでなく、カットインのうまさで何度かチャンスをつくった。ATのハンドは、シュートコースが開いた状態でブロックが間に合わなかったプレー。タイミングが違えば、やっぱりゴールだったと思うので、まあやむなし。よくできました

遠藤:ACLを見て浦和もマンマークつけてきたんだろうけど、柏木にはまだ荷が重かったのかな。脇を通すことで遠藤を動かしてギャップを作ろうという浦和の見立てを上回る(下回る?)動じなさだった。楽々とプレーしてはいたけど、2トップの問題があって、インサイドハーフへの短い配球がメインだった。よくできました

今野:中盤でのチェイスがメインタスクで、浦和のパスを何度も下げさせた。あれは頼もしかったし助かったなあ。その分、スプリント回数は激減し14回(倉田の半分)。なのにゴールシーンではしっかりあそこにいて槙野に競り勝った。よくできました

オジェソク:藤春に代わって左ウィングに。元気な関根君をよく抑えてくれただけでなく、ジョンヤのカバーも担当。先制点を生んだクロスも素晴らしかった。今季はアシスト何本か期待できそうですね。よくできました

アデミウソン:個人技で何度か沸かせるも、昨年のル杯決勝のようなことはそうそう起きない。長沢とも中盤とも連携不足で孤立しがちだった。もうちょい近いところでプレーしても良いのでは。もう少し

長沢:流れてボールを収める・・・も数回だけかな。ただ献身的な守備は相手GKの若干不安定な状態もあって

いらつかせるのに充分だった。できました

井手口:オジェソクに代わって入り、インサイドハーフに。突っ込むことはできても迷子になりがちで、効果的な仕事はできなかった。これでは出場時間が伸びないよ。もう少し

田尻:J1初出場が、緊急事態での登場。とはいえ、よく準備できており、すんなり試合に入れた。PKもコースをよんでいただけに惜しかったが。よくできました

赤崎:移籍後即出場。ATの投入で8回のスプリント。同点にして気勢の上がる浦和のビルドアップを丹念に追い込んで、なんとか勝点1確保の立役者に。よくできました

2017/3/5 J1#2 柏vsガンバ大阪「俺は戦術家じゃないんだよ!(ハイトーンボイスで)」

西野監督退任以降苦手にしている日立台でのアウェイ戦。平日開催が多かったけれども、今季は週末。

前節ホームのACLで歴史的惨敗を喫しつつも、この試合もメンバー的には同じ3バック布陣だったことから、長いシーズン戦う上では絶対に必要なオプションだという監督の強い意志を感じる。

試合が始まってみると、布陣は流動的で三浦がSB気味に開く変則4バックから、3バックで両ワイドが駆け上がるような切り替え。アグレッシブで早いチェックには、中3日でこれやってちゃ90分持たないでしょ、と心配していたけど、藤春からのクロスを長沢が頭で決めて早々に先制。その後はスリーセンターを堅持しながら、サイドの攻防で両陣を行き来する展開。どちらにも惜しいプレーはありつつ、お互い守備で少々ルーズなところもみせながらも、決めきれないまま前半終了。

後半は、開始早々にCKからこぼれたボールに対して追い切れず、バイタルでフリーにシュート打たれて同点。良いシュートでしたけど、甲府戦と同様、気持ちよく打たせるからああなる。頭が足を止めてしまう嫌な展開で、柏に押し込まれるが、東口がセーブしてくれている間に、下がりすぎの守備が徐々に前に持ち直してきて整備される。中盤でボールを奪えるようになると、押し込むシーンが増えた。再三サイドの勝負に勝ってフリーな攻め上がりを見せていた初瀬からの低いクロスを、長沢が守備をかわして足であわせて2点目。さらにはエリア脇でボールを受けたアデミウソンのゴールに向かってのスピードアップに、柏の守備が思わず足を出してしまってPK。アデミウソンが自分で決めて3-1。この時間帯は倉田と今野も攻めこんでいて、柏はエリアでパニックになることがしばしば。それがちょっと無理めの守備対応を呼んだか。

初瀬をジェソクに替えてからは3バック+2でしっかり蓋をしながら、堂安、高木のフレッシュさで空いてゴールを脅かした。

フォーメーションではなく、ディシプリンが大事で、どうやってアグレッシブにプレーするのか、という原点に短い時間でよく立ち返れたと思う。長谷川さんはそういう意味での優秀なモチベーター、あるいはカリスマ性のある監督だな、と改めて思った。もちろん、それに応えることのできる選手を用兵したことも素晴らしい。

東口:展開がルーズな時間帯、特に追いつかれてからの数分は本当に危なかったのをよく防いでくれた。今年も至近距離には反応が良いですね。相手もよく東口を研究してきていたと思うけど、クリスティアーノだけはそれに背いて東口の得意なボールを蹴ってくれて助かったね。よくできました

三浦:右SB気味のプレーと3CBとしてのプレーを柔軟に変えながらプレーしていた。外に張ることで、フィードの角度もかえられて選択肢が広がる。その辺はクレバーな反面、フィードは柏のラインコントロールに愚直に引っかかった。しかしクリスティアーノを抑えたことなど、惨敗の前試合からの修正を考えれば上出来。よくできました

ファビオ:真ん中に入って守備専でもないというのはちょっとよくわからなかったけど、物理的な距離が縮まった分三浦とのギャップが解消されたかも。ちょいちょい釣りだされて裏を狙われてたけど、大ピンチにならないよう布陣で防いだとしたらたいしたものです。できました

金:はじめは単なる長谷川さんの意固地かと思ったけども、前の試合とはまったく異なるプレーだった。スピードのあるFWの視線をうまく引きつけながら追い込んで、抜かれても中が準備できている状況をつくった。裏を狙われるのは仕方ないので、二人同時に抜かれない形を継続できればいいと思います。できました

藤春:4バックと5バックのアウトサイド、いずれも自由な駆け上がりは目を見張った。ラインをかいくぐろうというチャレンジは柏を困らせたし、切れ込んでのクロスは、アシストの場面以外も期待を持てるものだった。よくできました

初瀬:相手左アウトを徹底的に封じるチェック、持ってからの攻め上がり、勘の良いクロス、惜しいFKと、文句のつけようのない活躍。最後は、難しいボールを長沢に決めてもらって、アシストも記録。よくできました

倉田:超疲労の状態からインサイドハーフで生き返った。限定したタスクで守備の負担を減らし、リンクもできる。初瀬との関係性もすごくよかった。よくできました

遠藤:よっぽど腹が立っていたのか、球際を厳しくいく姿に驚いた。結構動きは少ないのだけど守備にスプリントを駆けられて相手が面食らったのか、驚くほど自由にしてくれた。できました

今野:インサイドがこれほどはまるとは。彼にDFをさせていた監督は節穴なんじゃないか。本当に楽しそうにプレーしながら、ピッチを制圧していた。ここ何年か、ルーズボールがすべて拾われていた日立台で、関東サポの鬱憤を晴らしてくれた。よくできました

アデミウソン:キレッキレのプレーがゴールには結びつかなくとも、実に献身的だ・・・と思っていたら、最後に帳尻PKをもらった。神様はいるんですね。よくできました

長沢:ボールが収まる、というのは実に大切なことで、ワイドに開いては足下の技術で柏の守備をてんてこ舞いにした。2つのゴールシーンはどちらも死角となった守備の選手を交わしてのもので、2点目は後輩思いの優しさがあふれでた。よくできました

堂安:短い時間ながら5本のスプリント、脚の止まった相手からゴールを奪う格好のチャンスもあったけど、封じられた。とにかく先発がみんなよすぎたからなかなかチャンスは回ってこないかもしれないけど、良いプレーを続けるしかないですね。よくできました

オジェソク:贅沢な守備固めではっきりと5バックになったけど、長いシーズン、初瀬ではしんどくなるときは必ず来る。そのときに簡単に米倉にポジションが譲られるのではなく、競争できると良いな、と思いました。できました

高木:実況の八塚さんが確認に時間がかかったけども、デビュー戦。まずはプレー時間を延ばしていきましょうね。シュートは好印象。出場時間短く採点なし

2017/3/2 ACL_GL#2ガンバ大阪vs済州「不入りに拍車をかける惨状」

J1開幕戦から中2日とはいえ、ホームで連戦できるというアドバンテージ。しかも相手の済州は甲府と同じく5バック。

ただ、鋭いカウンターで昨年はKリーグで70得点らしい。それに恐れをなしたか、ミラーを意識したか、ガンバも5バックの布陣。3バックであればオジェソクでなくても良いし、なんだろうなあ・・・。

慣れないシステムにオロオロしながら、ピッチで修正できるだけの習得はしておらず、ボールを前につなぐどころか、とにかくやられっぱなしのあげく、凡ミスで与えたFKを遠藤の頭で流し込むオウンゴール。そして、ゆっくりキープして前半終われば良いのに、それもできず突っかけていって失ってカウンターからあっという間の2失点。

甲府戦で足首を負傷した井手口を下げるも、後半も5バックはおろか3センターも変えず、これはこの試合捨ててでもOJTでものにする気だな、と悟る。それでも長沢の頑張りで少し相手陣内でプレーできるようになったかな、のところから、早いカウンターをくらい、CK献上してショートからの失点、最後は東口がぽっかり空けたゴールにロングシュートを決められて失点。練習試合のように習熟重視のつもりかもしれないけど、試合で気持ちが切れた状態では、どれだけプレー時間積んでも経験にはならない。ミスをして以降糸の切れた凧のようにさまよっていた藤春と、利敵し続ける遠藤を下げてから、やっとまともになったけども、そこで初めて済州の守備はかなり堅くてそこからのカウンターのメニューが豊富だったんだね、ということを学習しました。拮抗した展開なら絶対もらえないPKを記念にもらって試合終了。ホームで1-4敗戦。

なによりも心配なのは8,211人しか入らなかったお客さん。J1開幕戦の21,284人も衝撃だけども、やはり明るい話題が少ないことは致命的。サッカーでも行ってみようかねのパイは小さいし、それが近隣に持って行かれることも考える必要がある。昨年のACLホーム初戦は14,000人以上入っているので実にその58%しか集客できていない。

新スタバブルはそのうち弾けるだろうとは思っていたけど、ちょっと早いし大きいですね。基本的にはこのくらいの減り方を想定して運営していかないといけないというのも辛い。ホーム3試合開催で、現在平均入場者数は12,548人。これも昨季の54%しか入っていない。この2試合のようなサッカーをしていては、さらに人は減るのではないでしょうか。

東口:謎のボールロストを乗り切ったと思ったら、直後にゴールマウスをぽっかり空けて失点。特に有効なフィードができてたわけでもないのに、失点が増えて感情的になる悪癖。途中までは良いプレーもあったのだが、いろいろ切れてよいポジションではない。もう少し

オジェソク:5バック念頭のポジショニングは単に窮屈になっただけで、ポジションを限定された分だけ余計に前のスペースを使われる羽目になった。苦労しながらも右サイドは精一杯食い止めた印象。できました

三浦:ファビオとのコンビもまだ発展途上だというのに、アジア相手に急造3バックまでやらされては、良さは出せない。ボールに引っ張られる悪癖は少なかったし、局面では奮闘したが、間を通されるのはおろか、股下まで狙われて少々メンタルに来たかも。糧にしてください。フィードを送る相手もいなかった。もう少し

金:どうやってチャンスをつかむかと思ったら、ストッパーで出場機会。へこたれなさは最後まで感じたけど、できたら波及させて欲しいな、と。できました

ファビオ:起点を作られ続けた。ボールがらみでの凡ミスはないけど、ボールは跳ね返せても劣勢の方はいかんともしがたい。いつもよりも近い藤春との距離感に戸惑いも。もう少し

藤春:余計なファウルを失点につなげたあたりから、活力を失った。早々に交代もやむなし。あの布陣では思い切って前に運んでもいいことはないし、どうするつもりだったのか監督に問うべき。もう少し

井手口:J開幕戦で痛めた足の状態の悪さは、すぐに伝わってきた。正しく自分の状況を伝えられないようでは、信頼は得られない。プロはチームのための準備が重要。もう少し

遠藤:「いまいちだなー」というのはあっても、ここまであからさまなミスを連発するのは珍しい。動けなくても相手を引きつけられるなんて、絶好のギャップなのに。4失点目につながったロストが象徴的だったけど、なんでそこまでプレーさせたのかといえば、そもそも井手口の起用の犠牲か。中2日はさすがに酷で、4連戦どうやって乗り切るつもりなんだろうか。もう少し

今野:おそらくベンチからの狙いの指示はあって、でも実際はまったく違ったのでしょう。狭いエリアで渋滞して機能不全となった守備ラインから、動かない遠藤井手口のお守り、走れない倉田の分まで前線へのリンク、とマルチタスクをこなした。よくできました

倉田:甲府戦は劣勢でもお休みをもらって、ここが重要な役割だったわけだけど、トップとしてはもちろん、リンクマンとしての仕事もできず、ただ寄せられて失うの繰り返し「フィジカルに問題があったのではないかというレベル」と試合後に嘲笑われたのは主に倉田のことだよ。後半開始からは井手口に代わってインサイドハーフに。泉澤が入ってきてやっと形が作れたけど、パッシブな10番では困る。もう少し

アデミウソン:遠藤も倉田も活きていない状況では、ドリブルにも対応は容易。チャレンジは最後までしてくれたし、PKはせめてもの意地。ゼロよりはずっといい。できました

長沢:後半アタマから故障気味の井手口に代わって入ったけど、こちらも状態は万全ではない。どうにもならない状況から、ボールの収まりどころは増えたので、ちょっとは期待できた。追い込みかけるほどの展開ではなかったので、守備意識は活かせず。できました

初瀬:元気のなくなった藤春に代わって、インサイドハーフの外のレーンにチャレンジ。なかなか自由にはさせてくれなかったけど遠目からクロスとか、周りで回すような展開でもなかったので、元気がよかった。遠藤が泉澤に代わって一気に支配力が増したけど、時すでに遅し。よくできました

泉澤:少ない時間ながら、ピッチに調律をもたらした。まともな指揮官ならば、システムではなく選手を回りに馴化させるプレータイムを確保してくれると思いたいですが・・・。よくできました

2017/2/26 J1#1 ガンバ大阪vs甲府「窒息寸前で水面へ」

吹田スタジアムにて観戦。連戦を同じメンバーで4-3-3で挑む。

甲府の5バック2ボランチで、ボールの出所を絡め取られて、粘っこく時間を使われた。連戦の疲労も今季初戦の甲府には織り込み済み。サイドに追い込みをかけにくい布陣で、外のコースでカウンターを狙われると、ディレイさせるすべがない。だとしたらセンターでしっかり守るしかないんだけども、新コンビのギャップを刺された。

猛攻というほど攻める時間はなかったけど、丁寧に守っていた甲府からやっとセットプレーが奪えるようになってきた最終盤、遠藤のFKを今野が決めて同点。現地ではATに入っていたことも気がついてなかったけども、ほどなく試合終了。

4連戦のうちの一試合をシステムの成熟に充てたチームが、用意周到に対策を練ってきたチームに狙い通りの試合をされたにも関わらず、勝点1を拾ったことを、ポジティブに捉えるのが妥当。

東口:危険なシーンはあまりなかったが、素晴らしいミドルを決められた。あの距離に弱い気もしているが、まあ責められない。早いフィードなどはかなり有効で敵もサポーターも間に合ってなかった。できました

オジェソク:積極的にあがるようになったのが今年の良いところ。ただ、失点シーンではそれがあだになった。今年はあそこを前で時間稼いでくれないから、SBが直に曝されるんだな、と理解できた。できました

三浦:観客をどよめかせるフィード、だけではなくて細かいつなぎも安心できた。ただ、CBの間を通されるとか、裏を狙われるとか、守備では修正が必要な場面も。若いのでそこはポジティブに。よくできました

ファビオ:一対一では負けてなかったと思うけど、失点シーンのようにボールに釣られる癖がある感じかな。もう少し

藤春:走行距離12.2km、24回のスプリントと、チームを引っ張った。アンカーシステムでは、SBが絞り、開き、チャンスメイクまで顔を出さないといけない。今年はおんぶに抱っこの試合が増えそう。よくできました

井手口:自重なのかポジションを気にしすぎなのか、顔見せ以上の上がりが見られなかった。状態が悪いのであれば起用するべきじゃないと思うけど。もう少し

遠藤:セットプレーで同点弾を演出したとはいえ、試合を通してボールを失いすぎた。相手に密着されたこともあるけど、そこで生じる数的なギャップを使えず。できました

今野:起死回生の同点ゴール。井手口に代わって攻撃参加も。よくできました

倉田:走りまくってリンクするだけの10番という辛いミッションに早くも黄信号か。交代もやむなし。フィジカルがあがってくるまで辛抱するしかない。もう少し

長沢:状態は思ったより深刻なのでしょうか。ファーストディフェンスで遅れることが、甲府の思惑にはまる要因となった。それがFW起用の選手の目的となってしまっていること自体は長沢のせいではない。できました

アデミウソン:いらだちや自己満足的なプレーも、一瞬で雰囲気を変えるだけのポテンシャルがあるから許容できる。どこからでもゴールを見据えているプレーには、今年も期待できそう。できました

堂安:倉田に代わってそのままトップ下に。あくまでも「この日の倉田よりは」期待が持てた。しかし甲府相手に違いを生み出せないようなら、出番は増えない。もう少し

泉澤:スリップ!ドリブルでエリア角から侵入するプレーには希望を持てたのに、残念。しかし去年と違って他の選手が滑っていなかったので、やはり道具の選択の問題なのだろうか。できました

初瀬:ほぼSH的に上がりっぱなしの状況だったけども、ポジション的に押し込むと言うよりも、全体的に下がってしまった甲府守備陣の前で手をこまねくだけにとどまった。後ろから作りながら前を伺うような時間は当面与えられないだろうから、この形でチャンスをつかむしか。もう少し