ガンバ大阪2017シーズン展望(2)

前編を踏まえて2017シーズンを展望したいと思います(前置きが長い)。

W杯最終予選による中断が何回かありますので、それを挟む6フェーズに分けて考えたいと思います。

昨季、なぜか滑り込んだリーグ戦年間勝点4位と、鹿島・川崎の両チームのおかげで手にしたACLプレーオフは、キャンプの日程やメニューに難しさを加えました。短期的に心配したような怪我人についてはGKに続出しましたが(これはコーチの問題かと)、まあ最小限で抑えられたかと思います。長期的に体力的な面等で影響が出るかどうかはわかりません。まあ出るでしょうね。シーズンをフルで戦える体力という点で、平均年齢が低いことも割引材料になります。

ただ、実戦感覚という点でACLプレーオフをポジティブにとらえると、例年スロースタートなスタイルに、少し変化があるといいな、と思います。先日のACLグループステージの初戦で、比較的スッキリと勝ちきることができたのは、相手の状態が良くなかったこともありますが、それでも昨年はボコボコだったことを考えると、試行錯誤しながらという昨年の状況よりは少し進んだ形でシーズンインできるのではないでしょうか。

昨季限りでガンバを去った選手の昨年の出場時間は、多い順に阿部(2361分)、大森(2001分)、宇佐美(1954分)、パトリック(1650分)、岩下(1038分)などが主なところです(下図参照)。昨季のガンバの総プレー時間は4600分に及んでいますので、この中で最も多い阿部でも51%です。今シーズン採用されると考えられている4-3-3のアンカーシステムでは、阿部や大森の出場機会が激減することは目に見えていましたので、移籍したことを過剰にネガティブに捉えるより、新加入の泉澤、井出、あるいは藤本(昨季1011分)、堂安(昨季151分)をどのように柔軟に起用するか、を考えた方がよさそうです。SH的に起用する場合には井手口と交代するのか、倉田のポジションを下げるのか、遠藤を替えてボックスにするのか、ワントップにするのか。もちろんアンカーシステムに市丸がからんでくるとか、そういうことも期待したいですけど、序列としては今季はトップの出場をわずかでも勝ち取ることが第一目標でしょうか。誰かが離脱するような状況ではすぐにダブルボランチに戻すというのが、現実的で確実なオプションでしょうか。

最初の中断期間(3/19:4節)までには、アウェイの柏、大型補強のFC東京、昨年勝点74を積み上げた浦和、と厳しい相手が続きます。それに開幕戦はここ数年ずっと苦しんでいます。救いはその間のACLが続けてホーム開催、というくらいです。最初のフェーズ1でで4連敗だけは避けたい、せめて勝点2、欲を言えば4を積み上げたいところです。

5節(4/1)から次の中断(6/4:14節)までには、ACLの関係でホーム金曜開催が2回あります。昨年の金曜開催は2勝1敗とまずまずでしたが、お客さんが少ないことは否めません。GLもあって日程がタイトなこの期間にACLが3試合あり、さらに、仮にグループ突破できれば、ラウンド16の試合がH&A(5/24,5/31)で組み込まれます。ACLに力を注げばリーグ戦での多少の低空飛行はやむを得ない(と私は考えます)ですが、このフェーズ2でも勝点15は確保したいです(ここまで勝点17-19)。

15節(6/17)から18節(7/8)までの間はホームは1試合です。またレギュレーションの変わった天皇杯がここに入る予定です。神戸、仙台のアウェイは苦手にしており、高望みはできないですが、勝点6はなんとかお願いしたいですね(ここまで勝点23-25)。

このあとの中断期間に、遠藤アンカーシステムが成熟できるか、あるいはあきらめるか、いずれにしてもしっかりとした準備をすることが必要です。

それができれば、19節(7/29)から24節(8/26)までのフェーズ4は、ガンバの得意な夏シーズン。ACLの準々決勝が8/22に入ることを心配できれば良いのですが、大阪ダービー、最近勝てていない苦手の柏、同じく苦手のアウェイ鳥栖、あたりを突破して勝点13-14積み上げたいです。(ここまで勝点30-33)。

25節(9/9)から31節(10/29)はおよそ2ヶ月の間に7試合のみですが、ルヴァン杯の準々決勝が2試合、勝ち進めばさらに準決勝でもう2試合が追加されます。決勝の日時は未定です。加えて天皇杯のラウンド16と準々決勝もこの期間です。また、ACLで勝ち進んでいれば準々決勝のもう1試合、それに準決勝の2試合もこの期間です。すべて勝ち進んだとしても、トップメンバーでこなすのは不可能ですし、やめていただきたいところです。リーグ戦ではホーム4試合、アウェイは熊谷、カシマ、さいスタという関東3場所があります。勝点12、もしACL敗退しているようなら勝点15をお願いしたいところです(ここまで勝点42-48)。

最後のフェーズ6が32節(11/18)から34節(12/2)の3試合です。たいていシーズンのフィニッシュはきれいに決めるガンバですが、長年の懸案事項(鬼門とは呼ばない)の味スタが最終節、その他、なぜか激戦になる等々力、そして降格の瀬戸際にいるんじゃないかと予想される札幌とここであたります。11/18と11/25のACL決勝の心配をしてみたいものですが、現実的にはルヴァン杯の結果がどうだったかによってモチベーションが変わっている状況でしょう。三冠をとった2014もリーグ杯をとったことでブーストがかかりました。この3試合が勝点4で終わってしまうとおそらく4位以下~中位になるでしょう。勝点6とれると、3位をキープできる可能性が広がります(ここまで勝ち点46-54)。

割と悲観的に展望しておいて、それより結果がよければ喜ぶ、という方が精神衛生上よろしいので毎年そうしていますが、17チーム制になった2005年以降で最も勝点が少なかったのが(降格イヤーを除くと)2008年の勝点50です。つまりACL優勝の代償としてはこの予想値(46-54)くらいまでが許容できるのかな、と思います。コンディションや編成が悪い方に進めば-20%(勝点36-43)、逆に良い方に進めば+20%(勝点55-64)くらいの幅は持つと思います。悪い方は、コアとなる選手の長期離脱、あるいは緊急移籍、それに若手の疲労によるパフォーマンスの低下は特にフェーズ4以降心配です。そのためにも遠藤選手のコンディション維持(のためのプレー時間制限)は序盤から積極的に取り組んでもらいたいと思います。逆に良い方は、噂されているようなFW補強の成功、シーズン佳境でのパトリックの大復帰、などでしょうか。それでプラス20%は無理か・・・。

クラブは生き物。開幕時のままでずっと進むわけではないですし、場合によっては残留争いから優勝争いまで参加しかねないようなベースである覚悟を持って、シーズンインしたいと思います。