2015/4/3 J1#4 ガンバ大阪vs名古屋「チケット収入を犠牲にした金曜日の代償」

日本代表の監督がハリルホジッチさんに代わったお披露目試合で藤春をフル出場させ、宇佐美には代表初ゴールの場を提供してくれた。その直後の試合ということもあって二人のモチベーションには期待。さらにハリルホジッチさんの万博来場情報も。

ACLアウェイへの移動を考えて、金曜開催の万博。試合が始まるまでは強い雨だったが、始まるとおさまっていき、芝が乾くとともに試合もガンバ側に好転していった。

前半は、名古屋がパスをつないでくる。つないでくるというのはたぶん彼らのやり方ではなくて、高い位置から快速永井か、坊主川又にあわせるボールを入れたいはずなんだけど、低い位置でDFラインを構えることで縦に抜けるスペースを与えない。で、前に入れるか、その前の段階で、すっかり復調した様子の今野が、ボールを分断。

逆にガンバの方が、サイドに素早くボールを出して、高い位置でクロスをあげて帰ってくる、ということを繰り返していた。全体を押し上げずに我慢している以上、このやり方はやむを得ないし、多少は自陣に押し込まれる時間も増えた。

ただ両サイドとも攻め上がったときに人数が少ないので選択肢が少なく、SBとSHのコンビネーションがイマイチなことが致命的となってしまう。藤春・倉田も、米倉・阿部も、ちょっと呼吸が合わないな、というところを宇佐美が良くサポートに駆けつけてた。

それが実ったのが、前半のゴールシーンだったかも。クロス気味に上げた低いボールは相手DFにもあたってネットへ吸い込まれた。雨の日はこういうのもあるよね。

後半は、開始早々阿部が縦のパス交換で前に持ち込んだボールを、深い位置のスペースに出したところを、米倉が追いついて折り返す。宇佐美がきれいに叩き込んで2-0。

ところがこのあとが良くない。

展開が落ち着いて阿部・倉田が少しポジションを下げる。意図したものというより、心理的に安全を期したのか。で、中に絞ってしまいがちになり、結果、相手から見たらワイドにスペースが使える。そこへ持ち込んでの早い攻撃に晒されてしまった。

55分、名古屋のカウンターで小屋松が走り込んできたが、東口がエリアの外まで飛び出してきてボールを受ける。小屋松は藤春もケアしてたし岩下も追いついてたのでどっちかに出せば問題なかったのだが、後ろからダッシュしてきた川又が目に入ったのか、ボールをロストしてしまう。逆のサイドながら完全に倒したかな、と思ったけど、あとでビデオを確認したら腕は広げたけど、幸い川又が東口に乗っかって倒れた格好になってた。どちらかに体を入れて腕が引っ掛かってたら、退場だったでしょうね。

ただ、これをきっかけに東口のプレーがきわめて不安定になる。

開き直った名古屋のワーワーサッカーに押されて、攻め込まれるシーンが続いた62分、CKを岩下とトゥーリオが競ったこぼれ球に、東口が飛び込んでしまって、永井にガードされてそのままぽっかり空いたゴールに永井が押し込んで2-1に。倉田と米倉がとっさに反応してがんばったけどね。

その直後にも、止め切れない小屋松を今野が手で引き倒して与えたFKから、ゴール前で完全フリーになられた矢野にへディングを叩きつけられるが、これは東口が間一髪はじき出す。もう、完全に入ったと思いました。ドンピシャでしたもの。

このあと倉田を大森に交代。守備で走力を費やしていた倉田を変えて大丈夫かしら、と思ったがこれが正解でした。前でボールを受けて早い攻撃をしかける大森からチャンスが生まれる。そのタイミングで名古屋が小屋松を下げてくれたことも、中盤の展開を楽にしてくれた。

阿部に代えてリンスを投入したことで、前線のリズムも変わり、すでにそのころにはトゥーリオも前に行っていなくなってた名古屋の守備。

エリア内で自由にパス交換ができるようになったのが3点目につながった。

パトリックが前に持ち上がって、左の大森にパス。守備ラインはみんなパトリックにみとれていて対応が遅れる。さらに縦に藤春を走らせてエリア内深い位置からマイナスのクロス。リンスが走り込んで逆で受ける。宇佐美も大森もフリー待っていたけど、ニアのパトリックを選択、も競り合いでこぼれる。それに後ろから走り込んできた今野が楢崎の手をかすめてズドン。3-1で勝負あり。

宇佐美は最後まで惜しいシュートを連発。さらには守備ラインの前まで戻ってボールチェイスに参加するなど、ハリルホジッチさんの効果をバリバリに披露してくれました。

FC東京戦のように追いつかれなかったことは、選手のコンディションが上がってきた証左でしょうかね。それで監督のオプションも増えたということにしておきましょう。

雨の平日ナイターでお客さんの入りは11,000人ちょっと。

去年は同じ時期の鹿島戦(やや雨)が約13,000人。一昨年(J2)の時はヴェルディ戦(雨)が10,000人。

昇格初年度とか三冠効果とか、それぞれ集客にからむ要素はあるだろう。天気はしゃあないけど、金曜にずらしてお客さんが2,000人減った、ということを考えると、それを犠牲にしてまで臨むACLアウェイなんですよ。銭の花を散らすだけということがないように期待したい。

<採点>

東口:ハリルホジッチが「全員使う」と言ったのに最後まで出場機会がなかったことで、自分が実在しないのではないかという哲学的な悩みを持ったとか。動きすぎて不安定になったのは代表逆効果ということにしましょうか。矢野のヘッドと永井のミドルを弾いたことでかろうじて同点とはさせなかった。永井のやつは、パンチしたボールを矢野が正確にあわせてたらダメやったろうけどね。。。もう少し

米倉:すばらしい。無駄走りが少なく、しかもゴールへ向かうため相手が困惑。まさに2年前のフクアリで歯ぎしりさせられた、それでした。よくできました

丹羽:永井はかなり抑えたけど、サイドに釣られることもしばしば。不安定な時間帯をもう少し落ち着かせてほしかった。できました

岩下:失点シーンではトゥーリオを倒したことをアピールされてました。ゴール入ってなかったらPKだったかな。主審からは見えない位置だったけど。ただ、カバーリングにミスはなく、そつのない守備をしていた。できたら矢野が中に入ってきたときに、もう少し助けてあげても・・。できました

藤春:とりあえず入れとけ~だったクロスが、縦に自信を持って走ることで力強くなった。倉田から自立することで、前に無数の道が開けた。よくできました

今野:危ないシーンを減らせたのはボールを回収力。クリアさえうまくいかない時間帯にも、獅子奮迅のボール奪取をみせていた。ドリブルでスペースを埋めていくのは、非常に効果的だったし、何度か見せていたラストパスの意欲が最後に報われた。目標の年間5ゴール、ぜひ達成を。よくできました

遠藤:代表外れたのでまた絶好調モードかな、と思いきや、パッとしなかった。これまでの代表への貢献に敬意を表されてる場合ちゃうで。しかし、守備タスクを宇佐美に助けてもらう日が来るとは・・・。もう少し

阿部:得点につながるシーンの起点だけでなく、良いシュートも放ってくれた。後半は少し消極的になったところで、さっと交代させられた。まあ連戦なのでね、これもターンオーバー。よくできました

倉田:エリアに切れ込むまでの速さと、自分でシュートを打つのをあきらめる速さが、混在していた。だから決定機にボールが回ってこないのでは。ガンバっぽいところを突破してほしい。リンス見習おう。できました

宇佐美:あのシュートがうまくて良く走る方はどこからいらしたのかしら、宇佐美に似てるようでしたけど。90分、スーパーでした。もっととれそうだったのが怖い。よくできました

パトリック:しっかりボールをおさめて、名古屋ディフェンスの注意をひきつけた。トゥーリオとなにか話してたけど、だいぶイラつかせてましたね。ただフィニッシュの粗さよ。よくできました

大森:ワイドに開いて前に持ち込む、監督の修正意図を見事に体現。ゲームコントロールの肝でした。よくできました

リンス:単なる阿部の代わりだけでなく、追い越して前で仕事をすることで、相手の守備をエリアに押し込めた。よくできました

小椋:復調の気配があるのかな。短時間でも早くフィットしてくれることが重要。シーズン最後には重要なピースに。出場時間短く、採点なし