2015/4/7 ACL#4 ガンバ大阪-ブリーラム 「日本勢ブリーラムにて初勝利」

暑期のタイに乗り込みアウェイ戦。

ブリーラムは2012年に現在のチーム形態になってから、2013年にはベスト8に進出するなど、ガンバがアジアの舞台から遠ざかっている間に、ACL常連となったチーム。ここまでACLでは7勝9敗8分け。うちホームでは5勝4敗3分け、とホームでやや数字が良い。Jチームはこれまでブリーラムアウェイでは1敗2分けと勝てていない。

初勝利を挙げた名古屋戦からの変更点は、ACL今節出場停止のパトリックの代役にリンス、また足首に不安のある岩下に代えて西野を起用。ベンチにはジョンヤ、堂安が繰り上がった。

試合前の暑さに比して、試合中は風もあり猛暑と言うほどでもないが、まだ春の便りを聞き始めたばかりの日本から来るとやはり動きが鈍る。ブリーラムのラッシュに曝されて、モタモタと下がる間に、西野が負傷。早々にジョンヤが交代で投入されるが、マークをどうするとかの確認の必要もなく、CKは東口の頭を超えてファーサイドのネットに吸い込まれる。ハイボール・・というよりはループに近いボールを機関車バックしちゃってバランス崩すのをたまに見るけど、この日は蹴ったティーラトン選手が素晴らしかったという他ない。

なおホーム戦でもスーパーなFK決められた選手。もっといえば、この直前のタイ国内のリーグ戦でもどえらいFK決めてたので、観客のボルテージは最高潮。

この状況下で、乗りやすいタイ人(まあ多国籍だけど)にゲームをコントロールするのは容易ではない。

もしかしてアウェイの大歓声がなかったら、試合は静かに沈められていたかもしれない。

だが相手が勢いに乗せられて前に出てくる分、ほんのわずかなギャップを狙うだけの元気が、前半にはまだあった。

ブリーラムの守備は球際の判断力と、パスコースの読みが冴えていてなかなかチャンスを演出できない。

それでも阿部を中心にして、倉田・リンスと細かくパスをつなぎながら、エリア内でようやく倉田がドリブルで仕掛けることができ、それをパスアンドゴーで中に割って入っていた中央のリンスにパス。リンスはそのままゴールに向かって真っ過ぐシュート。いつもの超絶技巧とはまた違って、いや、それまでにさんざんリンスに対応していた守備陣からこそ意表を突くダイレクトなプレーだったのかもしれない。起死回生の同点弾。

直後には、宇佐美が右の米倉を走らせて、中の阿部へクロス、あわせただけで逆転!というシーンがあったが、これは阿部がオフサイドポジションブリーラム守備陣が意気消沈したところを、手早くゴールに迫ったシーンだっただけに惜しかった。

選手交代もなく後半に突入すると、ブリーラムは息を吹き返し、運動量が激減したガンバは防戦一方となる。

今野がボールを回収しても、つなぐ先がない。体力を絞り出すように阿部倉田がチェイスしても、サイドやボランチと距離がありすぎてついていけず、たちまちピンチに逆戻り。苦しい時間帯だった。流れるようなパスワークから、サイドへ開いてクロス、そこに複数人がエリアに飛び込んでくる迫力に、ただやられっぱなしだった。

61分には、顔色の悪い阿部に代えて赤嶺を投入。前でリンスとの連携に苦しむ宇佐美をワイドに開かせる。

今季どんな相手とやっても後半に訪れるこのサンドバッグ状態。東口がこらえてくれたことで、ホームのブリーラムにもようやく脚が止まる時間が訪れる。

それを待っていたとも思えないが、77分にバテバテの倉田に代えて大森を投入。

この辺でようやく試合展開としてはイーブンに戻せた。

どちらも動きが少なくボールだけが動ためにロストの応酬という感じだけど。

84分にはゴール前に縦に入れられたボールに2人がフリーで反応。慌てた米倉がゴール前で1人引き倒したが、こぼれ球をシュートされて失点・・とおもいきや謎のオフサイド判定。PKを見逃してのゴール、でもおかしくないプレーだったが命拾いした。

87分、相手のカウンターを前線からの守備でとりかえし、左ワイドに開いていた宇佐美から、米倉に対角のパス。右サイドを駆け上がった米倉がワンタッチでクロス中にを入れると、さらに後ろから駆け込んできた大森が走り込んで逆転ゴール!

このまま試合は終了、ブリーラムでの日本チーム初勝利を収めた。

これで、ACLの予選リーグ敗退はとりあえず免れた。

相手監督には「チャンスを外してるとこういうことが起こる。ACLはそれを許してくれるほど甘くない。ガンバは後半のたった一回のチャンスを決めた」と言われたが、そう言われても納得。守備だって粘り強く組織的に守っておさえたわけではなく、相手にやりたい放題されながら、フィニッシュの精度に救われた。

相手の攻め疲れを待ってのスイッチオン、というバクチはもうやめて欲しいものだけど、連戦で、メンバーも苦労して、難しい相手。贅沢は言うまい。

暑さも日本の夏ほどではなかったが、やはり体が慣れていないとギャップに苦しむものだ。

<採点>

東口:プレースキックの名手という情報は持っていたんだろうか、という疑念は残るが、雨あられと打たれたシュートをよく防いだ。決定機を外してくれたのは、いいポジショニングのおかげということにしよう。よくできました

米倉:ひとり疲労感とは別世界で上下動を繰り返していた。無尽蔵のスタミナで、最後は正確な折り返しを大森に供給。守備でも相手のフィジカルに負けない千葉ヤンキー魂で張り合った。個人的MOM。よくできました

丹羽:気合いは入っていたけどもツルツル抜かれては置いてけぼりにされてた。ジョンヤの世話どころではなかった。もう少し

西野:怪我から回復しようやく信頼を得てきたところで無念の離脱。五輪は消えたか・・。出場時間短く、採点なし

藤春:押し込まれて守備で走らされることが多かった。前ではサポートも少なかったしね。できました

今野:緊急投入されたジョンヤのお守りと、集中力を欠いた遠藤を狙われた後のボール回収に大忙しだった。獅子奮迅の活躍ではあったが孤立無援。弁慶ばりの壮絶な最期を予感させたが、勝って良かった。よくできました

遠藤:動けないのはいつも通り、パスミスやボールロストが多いのもたまにあることだが、この日は判断ミスも相次いで、イレブンを疲弊のスパイラルに陥れた。後半に猛攻に曝された主要因。もう少し

阿部:険しい顔でプレーし続けたが、調子の悪さを如実に体現していた。多少の連携ミスを運動量で補うスタイルが、疲労と暑さで封印された。ミドルも見せ場がなかった。オフサイドとはいえネット揺らしたときは興奮したけど。もう少し

倉田:下がって守備することに追われた一方で、前でのチャレンジはほとんど見られなかった。同点ゴールのようなシーンを、サポートの有無にかかわらず一人で切り裂いて見せて欲しかった。調子も良いはずなのに勝ち味に遅いところが心配。できました

宇佐美:代表ブーストは一試合かよ・・・と落胆。粘り強い守備に手こずって、ワイドに開いて受けていたのが最後に実を結んだ。リンスとの相性にも難があるんだろうな。できました

リンス:こちらもブリーラムのしぶとく賢い守備に、超絶技巧を発揮する機会を与えられなかった。とはいえ1点目のシーンは普段スタメンを張ってないとは思えないほどの連携から生まれた。なんとか辛抱してリンスをトップコンディションで使えればガンバはさらに強くなる。よくできました

金:緊急事態での出場も、テクニカルなプレーも、アジアっぽく泥臭い守備でチャンスの芽を摘んだ。よくできました

赤嶺:途中出場だというのに消えてしまった。時間帯的にも相手の脚は止まりかけてたのに、遠慮したのか、2列目と一緒に下がったプレーに終始。もう少し

大森:ナビスコ決勝ばりの決勝弾。よくできました