2013/4/28 J2#11 ガンバ大阪vs鳥取「低パフォーマンが生み出した三方一両損的な結末」

前節、富山アウェイを4-0快勝してホームに帰ってきた。

万博ゴール裏で観戦。

例年通り、大阪府の少年サッカー大会の開会式でSB席がカオス。

GK藤ヶ谷

DF加地丹羽岩下藤春

DMF今野遠藤

OMF二川家長

FWレアンドロ倉田

トレーニング中の怪我で大事を取ってベンチスタートの西野に代わって丹羽が3節横浜FC戦以来(CBでは今季初)のスタメン。

鳥取とはここまでプレシーズンマッチも何試合かやっていたので、力もある程度理解した上で、さすがに守備を固めてカウンターで来るだろう、ということへの対策だったのかもしれない。

果たして、鳥取はガッチリ守備を固めて、ガンバはその前でポゼッション、という展開だが、週三試合の疲れは一週間ではとれなかったか、ガンバの選手の動きがきわめて鈍い。

というより、相手が下がっているのをいいことに、楽をしている印象。

鳥取も、今野と遠藤のところくらいまでプレスをかけに来るが、それ以上は釣られず控えている。遅攻では穴が見つけられず、裏へのチャレンジはパスの出し手の方のミスが目立って、惜しいシーンも作れない。

ドリブルでゴリゴリ行ってゴールを脅かそうか、という意欲も感じられないまま、シュートも遠藤がFKを狙ったのと、二川から前ガラ空きの加地へ通したサイドチェンジをエリア内から「そこまで外すかね」ってくらい派手に遠くに飛ばした、2本だけで前半終了。

後半、人数をかけないながらも、シュート意識を高めてきた鳥取に、ガンバは守備ラインがズルズル下がってしまう。そんなに何本もシュート打たれるかね、ってなくらい波状攻撃を浴びたシーンは何とか体を張って守った。

そして57分、とうとう均衡を破られる。

前半から再三狙われていたサイドバックの裏に出されたボールを、綺麗にクロスを上げられて、綺麗に頭で決められる。スペースのあるところから、最短でゴールへ向かう、カウンターのお手本。

丹羽が横にはいたんだけど、スピードをもって飛び込まれたインパクトの瞬間にまったく圧力をかけられていなかった。

これがなんと、5試合ぶりの失点。

ますます守備意識が高まる鳥取に対して、一向にペースが上がらないガンバ。

ようやく(!)業を煮やした監督が、今季はじめて攻撃のスイッチを入れる。

65分、家長と二川に代えて、阿部と川西を投入。二枚替えということで攻撃へのメッセージは明白。

これで、倉田を一列下げて藤春と左の関係を作りやすくなって、阿部が右でアジリティを発揮できて、川西が縦への推進力を持ったことでレアンドロへのマークが分散した。

交代で入った直後、阿部がドリブルで持ち上がって崩し、川西にパス。川西のシュートはミスキックになってしまったが、鳥取の守備にようやくほころびを招く、フレッシュな二人の動きだった。

一方で、両ボランチの動きはイマイチで、SBの裏は最後までケアしきれず、何度もピンチを招く。

68分には左サイドから突っ込まれてシュートを浴び、74分にはFKをバーに当てられるなど。

しかし75分、マークも分散して運動量も落ちてきた鳥取の守備に、加地が謎のふんわりクロスをゴール前に放り込むと、相手DFが対応を誤って空振り。レアンドロの足下に転がったボールをなんなくゴールに叩き込んで同点。

勢いに乗って、その直後、左からレアンドロが持ち込んで、ゴール前に上げたクロス、DFクリアしきれず流れた先に川西が飛び込むも、届かず。触ればゴール、だったのだが・・・。

87分には、中央からレアンドロが右サイド深くにボールを送り、加地が追いついたが、切れ込んだところをDFに対応されるが、こぼれたボールに阿部がシュート、GKに弾かれる。

最後は傷んだ様子の岩下を下げて内田を投入。今野を下げて対応するが、岩下の様子が気になるところ。

結局、最後まで「攻めまくる」というよりはカウンターをケアしながら勝点1を大事に確保。

長いシーズン、チーム全体が低調なパフォーマンスを示す試合はあるだろうが、なんだかいかにも昨年J1から降格した理由が詰まっていたような難しさを感じてしまった。

このメンバーでは、悪い流れになったときに、アクセントがつけられない。倉田がいて、レアンドロがいたって、推進力を生み出せない。

なんといっても監督がスイッチを入れようとして、交代選手がそれに応えて、多少活性化できたことが収穫。

ただし、鳥取さんには悪いが、他の相手だったら勝点1で終えることは難しかっただろう。悪いリズムのときに対戦相手に恵まれたというのがめぐりあわせの幸運だったか。

もちろん、3連敗中の鳥取にとってはアウェイで勝点もぎとっていけたのは、最高にプランがはまった結果だといえるだろう。

万博のお客さんにはフラストレーションがたまりつつ、J2の難しさは浸透しただろうし、健太監督の守備意識にも慣れ始めた。それにサッカー少年にはテクニックに溺れずに走ろうね、という教訓にもなっただろう。

ところで、後半、ガンバゴール裏を背にして、ヤジを気にしてチラチラ振り向いていた鳥取GKの杉本君、ゴールは決められたけど、最後の阿部のシュートを弾いたのは見事でしたね。

でも、あの程度を気にしていたらダメよ。

採点

藤ヶ谷:前半から、クリアしきれないDF陣に何度もワチャワチャさせられた。ほとんどは藤ヶ谷の前の密集で解決していたけど・・・。相手の精度に助けられたけど、不動かつ不安な守護神だった。もう少し

加地:残念なシュートとか、結果的にはアシストになった首をひねるクロスとか、後々考えたら数少ないチャンスに絡んでいた。ゴールに向かっていかないと何も生まれない、ということを具現化した。よくできました

丹羽:無駄に手を上げてる暇があったら、ボールに向かえよ、って思いました。密集にいながら案外決定的なセーブもできず、失点シーンでも抵抗できなかった。もう少し

岩下:「攻撃のアクションが少ない」とのコメントは的を射ているが、そのためのビルドアップに関わっていないことへの自己批判かな。藤ヶ谷の前では良く仕事をしました。できました

藤春:突破をする機会に恵まれず、相手の守備ラインの前でボールを戻したりマゴマゴしてばかりだった。倉田が下がってきてから多少はマシになったけど。前でその出来では、後ろの不始末は相殺できない。裏のスペースを自在に使われた。もう少し

今野:ズルズル下がるラインの元凶。もちろんお留守になった両サイドの面倒を見なきゃいけなかったんだけどね。それが仕事だから、さ。もう少し

遠藤:大変お疲れのご様子。テンポを上げず、スローダウン、ボールロスト、で攻撃の芽を摘んでいた。週3日のプレーでは劣化が一段と際立った。もう少し

二川:見せかけのプレスに動揺するほど調子悪し。ミス連発でまともにプレーできず。もう少し

家長:不在だった。65分でも長すぎた。もう少し

倉田:ゴールの前で、ボールを大事にすることを優先していてはゴールは生まれないわね。二列目に下がって、多少自分を取り戻した。もう少し

レアンドロ:ゴールの場面は良く真ん中で我慢して待ってた。その他でも、レアンドロが起点にならざるを得ないシーンが多いのが問題だったか。よくできました

阿部:停滞していた前線に風を起こした。よくできました

川西:レアンドロに遠慮し過ぎず、シュート意識を持っていたのは良かった。結果さえ出ればね・・。できました

内田:岩下交代に伴ってボランチに入った。遠藤はいなかったので実質ワンボランチで、まあしっかりとボールを収めた。よくできました