2013/4/14 J2#8 ガンバ大阪vs山形「なんでポゼッションしてこないんだよ、がたまにハマります」

順位、得点数でガンバより上に立つ山形アウェイをどうしのげるか、ビビりながらのテレビ観戦。

スタメンは3試合連続で同一。

GK藤ヶ谷

DF加地西野岩下藤春

DMF今野遠藤

OMF二川家長

FWレアンドロ倉田

試合開始直後は、オープンな展開で、ボールを奪った側がフィニッシュまで持ち込む、というドツキ合い。

ガンバは、いつもよりも後ろに人数を残して、比較的少ない人数で前に運んでいっており、フォローが少ない分ボールロストも多いが、守備に人数が残っていることから、カウンターなどの危ない場面は少ない。

あまりポゼッションにはこだわらず、誰かに当ててセカンドを拾いに行っていたが、徐々に前プレをかわされることを恐れた山形が下がりはじめ、有意にボールを回せるようになる。

9分、倉田がエリアに侵入してシュートを試みるが、DFにカットされる。こぼれ球を二川が拾い、レアンドロへ。ヘッドで合わせるも惜しくもセーブされる。

12分には、西野の縦フィードをレアンドロが受けて、倉田へ。追い越して行った遠藤へパスを送るがシュートへは至らず。

だがこのように、少ない人数でロストを恐れずに確実に前へ運ぶ姿勢は、山形DFの当初のプランとは大きく異なっていたはずだ。

17分、山形最終ラインの緩慢なパス交換を楽々と奪ったレアンドロのシュート。GKにセーブされるも素早くフィニッシュに持ち込む展開。この場面も左に倉田がいるだけだが、それで充分。

ただその直後には、人数をかけてもザルなガンバの守備を披露。藤春、二川と振り切られて、西野が簡単にスライディングにいったところをかわされて、シュート打ち切られるが枠外。

20分、レアンドロと倉田でもちこんで、藤春に戻して早いクロスを試みるが、クリア、CK。

密集をあざ笑うかのように、いったん外の二川へ。ショートと言うには距離があり、それをまた遠藤に戻す。DFを外に大きくつりだして、クロス。手前で西野、センターに岩下、奥には今野。誰にあってもおかしくなかったが、一番勢いよく飛びこんだ岩下がヘッドで決めて先制。

山形は人数がいながらマークが緩んだ。

25分、二川に出たボール、センターにドリブルで持ち込む、右家長に釣られている相手を見て、左レアンドロにスルーパス。素早いシュートをGKが弾き、家長が詰めるが、押さえられる。

思ったよりも少ない人数で効率的に攻め込んでくるガンバに対して、山形はレアンドロ、二川、倉田、家長、誰を抑えに行っていいのか分からず、というより、マークの余った選手の役割がなく、結果的に粗い守備になってしまう。

26分、ガンバはこの試合始めて人数かけて攻める。二川が左藤春にはたき、走りこんだ遠藤へ。縦には倉田レアンドロ家長がいたが、うまくつながらず。

機を見てこうした攻撃を織り交ぜることで、相手のラインも下げれるし重心もさがる。

31分。今野が加わってさらに厚みを増す。人数がかかる局面ではサイドからのクロスが有効。藤春のクロスには中に3人+うしろから2人走りこむ準備ができていた。しかしクリアされてしまう。

35分、レアンドロがサイドでDF振り切ってキープ、駆けあがった今野がレアンドロにスルーパス。持ち込んでDFかわしたところ、GKに詰められるがボールがこぼれる。詰めた倉田のシュートは密集で跳ね返される。

37分、ゴール前ボールカットした藤春がドリブルで持ちあがり、レアンドロへ。パスアンドゴーでそのままゴール前に縦パスを受け取ってエリアへ。シュートコースは塞がれるも、きっちりCK奪う。このあたりうまくなった。距離も走ったあとだし。

40分、今野のボールカットから駆け上がったシーンでは、レアンドロにあてて二川に戻した時点で、今野は戻る。藤春も上がらず。無理はしない。うまいマネジメントができている。

ショートカウンターとポゼッションを織り交ぜてホームチームを圧倒した前半。

山形は想定とは違う形で守り慣れてない印象で、準備不足の点が多い。ガンバの得点シーンはその象徴だった。

後半は風下に立ったガンバ、ハイボールが押し戻される。縦パスも少しスピードが落ちて、走ったレアンドロより後ろに。

山形も距離感がとれないようで、しばらく両チームとも中盤での連携を欠いてボールをロストし続けてた。

53分、中盤でボール奪取してようやく前に向けたところ、倉田がスペースのある左へパス。前に出せばいいのに、やや戻し気味で、藤春が止まってしまい、ペースダウン。

さらに左サイドでゴリゴリ突破を図った倉田を山形がファールで止める。しかし遠藤のFKはファーへ。

クリアされてもしばらくキープ。かなり時間と人数をかけた攻めだったが、実を結ばず。

しばらくはガンバのリズムを作ろうとアンカーに徹する遠藤。自分で上がる気なく、右の家長へパス。家長は縦の倉田に出してそのまま走りこむ。ワンタッチでの倉田からのパスはやや伸びてしまったが、あそこでないと通らない、良いボール、GKに取らせた。ここでは右にレアンドロがいるだけの前3人での攻撃に対して、山形は6人が守備。

ここからの時間帯、山形はボールを奪うごとに設定するハイラインが自己目的化してしまって、すぐボールをロストするので、ガンバの決定機が続くことになった。

58分には家長が距離のある縦パス、倉田が反応して左隅からクロスもレアンドロの前でカットされる。

その直後、相手陣内で、遠藤のミスパスが相手にわたるも、その前にいた今野がすばやく奪い返して、前の二川へ、二川がおしゃれパスでフリーの家長へ。意表を突かれたDFを前に、右脚で鋭いシュートを放つもわずかに枠外。後半初シュート。左だけ切っときゃ大丈夫、という相手をあざ笑うかのような強烈さだった。

続けて左サイド、藤春が自陣で奪ってから、サイドでパス交換をしながらスルスルとあがっていき、最後はクロス。家長が右で受けてもう一度加地へと展開を試みるも、あわず。しかし今日の藤春は底から相手エリアまで仕事を完遂できているので、変なピンチも少ない。

60分、二川が潰れて、倉田が受けたボール、レアンドロへと送り、あとはGKを交わすだけのイージーボールを、レアンドロ決め切れず。前節に続き・・・。

61分、倉田から縦へループパスが左に張ったレアンドロへ。そのままセンターへ持ち込んでシュートも、これは正面。右の家長を使うには、少し難しかったので良い判断。

ここでようやくガンバの波状攻撃がやんで、山形の時間帯になるかと思ったが、ブロックを作るガンバに対して、手前のパス交換でミスをして続けない山形。

風上でボールが走ってしまうのか、前半からかなり走らされているので早くもバテているのか、イージーミスが多い印象。

山形も普段は「攻撃的」を標榜しているので、いわゆる格下としての戦い、というのはできないのだろう。つまりワンチャンスを決めてくるようなプレーは得意ではないように思えた。

70分、自陣でボールを奪った藤春がそのまま縦にドリブル、追いかける山形守備陣もレアンドロや倉田を置き去りにしてGKと一対一、シュートは股を抜くも、惜しくも決まらず。この日の藤春は本当にキレていた。得たCKはファーの今野を狙うがシュートはあてるだけ。

レアンドロoutで平井in。

79分、突風が吹きつける中、風上の山形のボールが流れ気味に。しかし安定したブロックを形成してほとんどピンチにならない。とはいえ、最終ラインが処理するシーンは増えてきている。

二川out阿部in。

81分、倉田が縦で粘る、家長が阿部を走らせる、その時平井はすべて後ろでチェイスしているだけで、ダイアゴナルランはしていない。

守備ブロックを形成している以上、ワントップの平井が前で果たす役割は、奪って縦に出されたボールを受けることなのだが、まったく動かず、自分が縦に出ていけないようなボールに反応することしかできていない。

山形はボールを奪ってもブロックを崩すだけの連動性がもうない。距離のあるところから長いクロスかシュートを打つしかない感じだが、精度を欠いている。FKも特に隠しているプレーもない様子で、簡単にボールを返してくれる。しかし1点リードではいかにも心もとない。たまらず再度平井を下げ内田を投入。なんとかクローズに成功した。

前半のショートカウンター多発は、まず守備をしっかりという意志統一の表れだったと思うが、それが結実した今季完封勝ち。

しかも山形の守備の混乱を招いたことで、結果的に攻め込む時間が長くなった。

ポゼッションの高まった後半、選手交代とともに不安定な戦いぶりを吐露してしまったあたり、まだまだ改善の余地は大きいですけどね。

採点

藤ヶ谷:相手の攻撃機は少なかったが、しっかりとピンチはしのいだ。味方とのパス交換の方がずっと怖かった。よくできました

加地:「なんだよそれ」なバックパスが少なかったことからも、やりやすかったことは窺えた。でも余計なイエローをもらうなどアレ?てなプレーも散見された。できました

西野:フィードは勉強中、ゴールは狙う意識が相手の高さへの恐怖を生む、守備は安定。今日は格好の相手でした。できました

岩下:誰が決めてもおかしくないシーンでゴールを決めるのはやっぱ顔ですかね。西野への個人レッスンにも最適な先生だった。よくできました

藤春:効果的なサイドアタックの起点となるだけでなく、ゴールへ向かう姿勢に相手はズルズルと下がるだけだった。裏を狙ってくるような選手と対峙しなかったこともあるけど。よくできました

今野:ボランチとしての適性の高さを再認識。バランサーとしても危機管理能力も攻め上がりのセンスも。よくできました

遠藤:ショートコーナーからのキックは久々に素晴らしかった。代表で岡崎相手によくやる、縦にそれっとボールを出して走らせるのも効果的だった。よくできました

家長:少ない人数での攻撃の中で、珍しく縦横無尽に走り、ポストやショートカウンターの出所として、八面六臂の活躍だった。MOM。よくできました

二川:ショートコーナーを受けに行ったシーン以外ではあまり目立たず。決定的な仕事も少なかったし、交代後も二川ロストの影響を感じなかった。もう少し

倉田:最後まで走り続けた。怖さのないパス交換を劇的に変える縦への意識とドリブルチャレンジ。よくできました

レアンドロ:決定的なシーン決めてくれたらもう少し楽だったんだけどなあ。でもそうしたら完封できなかったかもなあ。遠藤のロングボールに懸命にインターバルした姿に免じて。できました

平井:あの運動量ならアップ要らなくね?役割は演じてほしかった。もう少し

阿部:倉田の運動量を少しでも下げるべく奮闘したが、時間帯的に頼られすぎて、相手も対応しやすかった模様。平井を使うべき存在だったかもね。できました

内田:出場時間短く、採点なし