2012/6/30 J#16 ガンバ大阪vs柏「シーズンをひっくり返すほどの大逆転!の可能性を自ら断ち切ったベンチ」

またも雨の、万博ゴール裏で観戦。

鳥栖、浦和とまさに「逆転サヨナラ負け」を喫した後、アウェイ札幌で4-0解消、そして苦手の名古屋に2-0から追いついてのドローと、そろそろ調子も上がってきたかな、という状況。不安は札幌戦後に怪我で戦線離脱した木村に代わって藤ヶ谷がゴールマウスを守ること。

ACLが片付いた後、メキメキと調子を上げてきた柏を迎えてもなお、昨年までのまったく寄せ付けないイメージが支配していたのだが、それは一瞬で崩壊。

3分に、不動の右SBになりつつある内田のクリアミスを拾われ、スルスルとドリブルで持ち込まれてゴールを割られる。続けざまに7分、レドミさんが中盤からスルスルとドリブルで上がってきてそのままシュート。距離はあったのだが藤ヶ谷がきれいに弾いて、詰めてきた相手に易々とゴール献上。

どちらも起点はミスだが、誰が詰めるのか、誰がケアするのか曖昧なままで、シュートコースを塞ぎもせずにオロオロする守備陣が、立っているだけの藤ヶ谷に丸投げした、最悪の結果。

結局これは90分解消せず。

昨年までに柏の抑え方は身についていたはずなんだけど、穴であるサイドの守備力を突く能力も勇気もないメンバーでは、トリプルボランチで司令塔をいくら粘っこく抑えたって簡単に展開される。それでCBに工夫がなく、GKが藤ヶ谷では・・・。

15分の佐藤は、GKまでかわしているのにゴールを外す。20分の工藤のゴールをお手本にするんだな。

3-0になってようやく柏がペースダウンしてくれたおかげで、ガンバも多少は前へボールを運べるようになる。藤春のシュート、武井のミドルなど、相手のラインをある程度下げたところで、ゴールへのアプローチが増える。

内田の突破からのマイナスのクロスは、タイミングは素晴らしかったが誰も反応できず。35分に二川が個人技で競り合いに勝ってGKと最終ラインの間にあげた浮き球に遠藤がヘッドで合わせて1点。

さらに二川がサイドを駆け上がってあげたクロスに佐藤があわせるもヘディングが下手。それでも40分、倉田のミドルのこぼれ球を押し込んでようやくゴールで2点目。

前半は3失点した後、バランスを崩しながら攻めに出て2点を返した。

まだ1点ビハインドではあるが、大きく手を入れる必要があるとは思えなかったのだが、HTに内田を下げてパウリーニョを投入。内田は確かに試合開始直後が右サイドで臆病にはなっていたが、徐々に改善されてきていたし逆サイドの藤春よりはマシだった。

それを、2トップにして藤春はサイドハーフまであげての2バック、3ボランチか。

せっかくそこそこ守れていたのを、ボランチが最終ラインに吸収されがちになることで、相手の二列目もフリーになることが多くなり、そもそもスピードに対応できなかったCBコンビでは、フリーエリアが多くて簡単にボールを通される。シュートコースもガラ空き。

後半は防戦一方で、失点を重ねて、たまらず70分には3点ビハインドにかかわらず二川を下げて金正也を投入するおそまつ采配。2-6で敗戦。

仮におかしな交代がなかったとしても、後半失速は今季のデフォルトなのでメッタメタにされていたかもしれない。でも上げ潮の状況を自ら裁ち切り、ベンチがみごとに試合を壊した、なかなかプロではありえないようなゲームを見た。

採点

藤ヶ谷:電柱でももう少し止めそう。2失点目、3失点目は実におそまつだった。CBに丸投げされて気の毒な面もあったが、そもそもコーチングがないのでそんなことになる。残念ながら彼しかいない状況なのがクラブマネジメントの決定的な問題。もう少し

内田:最初の二失点分のミスを取り返そうと、その後は相手のサイドを押し込んで攻撃の芽を摘んでいたのだが、挽回の機会をベンチに奪われた。後半はサイドをプレゼントしていた状況を、悔しそうにみていた。ベンチにホワイトボード使って講義してやって欲しい。もう少し

中澤:気持ちと読みを上回るスピード不足、しかも度々今野のお邪魔を。もう少し

今野:一人では厳しい。相手は今野のいないところにボールを出せば良いだけだったからね。後半は明神が助けに来てくれたが、中澤よりはやりやすそうだった。できました

藤春:左サイド、バックでもハーフでもなにもできず。有名人相手に縦に走ることさえ怖かったのか。この日の選手側の最大の敗因。もう少し

明神:個人としては二列目を抑える仕事はこなせていたけど、ボランチの渋滞で結果的に相手は立て直しやすかったかな。しかたなく今野を助けに行くことで、武井と遠藤の仕事が増えたとき二人はなんで?って感じだったのが困ったもんでした。できました

武井:明神を超えるような昨年の勢いはどこへ。完全にお客さんになっていた。特に守備はもっと自分で考えようぜ。もう少し

遠藤:トリプルボランチで守備の役割がはっきりせず、明神が後ろをケアしてるのに前行っちゃったり、武井が対人に行けてないのに任せちゃったり、などチグハグだった。意思統一、とかの前に話をしようよ。ゴールはよかったけど。できました

二川:苦しい時間帯にも、ボランチから倉田、佐藤へと縦につなぐ役割を果たし、二列目で決定的な仕事も。金に代えられるような出来ではなかったし、行き当たりばったりの選手交代の犠牲者(戦術的交代なんて絶対言わせない)。よくできました

倉田:藤春が使えなくても一人で左を切り開き、雨のピッチで早いグラウンドのボールを効果的に操った。後半はトップ下でも躍動。二川とともに前で奮闘した。よくできました

佐藤:ボールをもらう良い動きはしていたし、献身的な守備はしていたんだけど、あれだけの決定機を作ってもらえて、決められない、シュートも打てない、じゃ厳しい。完璧なお膳立てがしてもらえるガンバのFWだけにね。もう少し

パウリーニョ:本人のせいではないがチームを失速させる交代で投入され、大した活躍ができないまま15分で負傷交代。もう少し

阿部:パウリーニョに代わってFWに入るも佐藤と二人でシャドウ的な動きに終始。ノーシュート。もう少し

金:ボランチに入ったんだと思うけど、結局明神・武井とともにCBに吸収されたまま。監督にボランチって何だと思ってるのか問いただしておいて。もう少し