2012/6/16 J#14 ガンバ大阪vs浦和「チーム状態の差をわざわざ見せつける采配で敗戦」

中断期間中に石垣島でキャンプを張って、おくればせながらフィジカル強化。特効薬にはなりえないが、シーズン終盤に効いてくると信じるしかない。

代表戦直後と言うことで遠藤と今野をベンチに置いて、最終ラインは中澤とジョンヤ。右サイドは引き続き内田。鳥栖には効かなかったが浦和のサイド突破を封じる意味でも、センターでの3バック的守備でも、内田が最適という判断か。中盤は明神と寺田のダブルボランチ。倉田と二川が二列目で、パウリーニョ、佐藤の2トップ。

開始早々、イチかバチか(?)の藤春のサイド突破でクロス、CKと立て続けにチャンスを作る。パウリーニョのミドルがバーを叩かずズドンと入っていたらまた違う展開になっていたはずだが。倉田がドリブルで持ち込んだり、遠藤抜きでの鮮やかなパス交換で浦和守備陣を左右に振ったり、パウリーニョのコースを狙ったシュートがGKに弾かれたり、試合開始からしばらくはガンバの時間帯。飛ばして入ったのか、石垣島の効果か、とにかくゴールがないとこのままだと辛いな、と思っていた矢先、パウリーニョのクロスに合わせた佐藤が頭で決める。先制。

浦和戦になるとスイッチが入るな、と思って安心していたが、得点をとった後に攻守にルーズになるのもガンバの平常運転。柏木の縦パスを原口に通されてサクッとワンチャンスで振り出しにされる。まあ中澤とジョンヤでどうにかできるシーンではなかった。

その後しばらく膠着状態となったが、前半終了間際に浦和の中盤がやや間延び。倉田と二川のポジションチェンジで浦和が混乱したか、立て続けにチャンスが到来する。パウリーニョのシュートはGKが脚一本でセーブ、佐藤のヘッドはポスト、跳ね返りのパウリーニョのドフリーシュートは枠外・・・。

お互いのチーム状態からすると、正直予想以上に戦った前半だったが、スコアは1-1。

後半開始から、二川が下がって遠藤投入。二川に問題はなかったはずだが、遠藤を時間限定で入れることが決定していたならこうだったのかな。寺田を上げて目先を変えようということだったのかもしれないが、この交代はボランチとしての遠藤の不出来、二列目としての寺田の限界、その双方で致命的な交代となってしまった。

風雨が非常に強まってきて、お互いボール扱いが困難な状況に助けられたのはおそらくガンバの方。オープンな展開でピッチ状況が良ければボコボコにされていたかもしれぬ。

浦和はテクニカルな選手を下げて、縦へのスピードとダイレクトプレーに切り替えるが、ガンバは遠藤を中心にスローダウン。木村には凡ミス(ゴールキックを原口に当ててあやうくゴール)もあったが、左を切り裂かれてドンピシャのシュートをスーパーセーブしてくれたところもあり、なんとか凌ぐ。

しばらくは、浦和が早い攻撃を仕掛けるも、フィニッシュまでいかず。ガンバはボールを持っても可能性を感じず、アリバイ的にシュートを打って帰ってくる、という時間帯が続く。

後半30分には倉田を下げて横谷を入れることで、ガンバもダイレクトプレーが多くなる。パウリーニョや横谷のミドルは相手GKの好守に阻まれたが惜しいプレーだった。

とはいえポイントでガンバのゴールチャンスはあるものの、二川・倉田を欠いて中盤を飛ばした形で相手の攻撃にさらされることが増える。特に寺田と遠藤の出来が非常に悪く、9人、あるいは相手が13人でプレーしているかのような圧力をかけられ続ける。公式記録を見る限り、なんとかシュートは打たせずに20分あまり守備陣は頑張ったが、ついにアディショナルタイムに放たれたシュートがネットを揺らして、鳥栖戦に続く「サヨナラ負け」。

雨の中、相手の戦術の切り替えに対応できず、前半の押している展開をイメージとして持ったまま、選手交代で勢いを自らそいで、負けてしまった。もっとも、「後半対応できない」は他のチームもよく知るところだろうから、単に90分のマネジメントで負けたと言うことでしょうけどね。結果は劇的だが、点を取れなかった攻撃陣、取れないように選手を代えていったベンチ、に問題があった。

採点

木村:果敢な飛び出しは視界の悪い雨の中では影を潜め、シュートを打たせない守備陣に助けられていた。せめて少ないシュートは防いで欲しかったが、欲張り過ぎか。もう少し

内田:守備はよくやっていた。ただ相手サイドバックとの駆け引きでポジションを上げても、脅威になるとは限らない。1失点目とかまさに「不在」だった。本職ではないけど、こなせないとチャンスはつかめない。できました

中澤:個人としても守備の組織としてもよくやっていた。ただ、守備陣のリーダーとして、GKとの関係、ボランチも含めた連携、という点では物足りない。まあそれどころじゃないのはわかるけどね。できました

金:縦への突破を懸命に止めていたのはよかった。ピッチ条件さえ良ければ、ドリブルでの持ち上がりで相手を困らせるシーンももっと見られたと思う。よくできました

藤春:浦和といえばガンバの左サイドにキリキリ舞というのが定番だが、前半はその通りだったが後半みごとに消えていた。単なる飛ばしすぎ。もう少し

寺田:ボランチとしては及第点。ボランチからの攻め上がりといい、守備といい、今季一番イキイキしていた。後半、二列目に上がってからは落第。消えるどころか相手を助けていた。それでも最後までプレーさせられていたのが不思議。もう少し

明神:前半から相手をよく潰していたし、周りの運動量が落ちてからも孤軍奮闘したが、いかんせん援軍がなさすぎた。監督とよく話し合って(説教して)もらいたい。よくできました

二川:前半キレキレで相手も困ってたのは明らかなのに、なぜ前半で交代したのかな。まあ、残ってれば運動量激減してたかもしれないし結果論なんだけど、二川がいなくなって相手は楽になったと思う。代わって入った遠藤の残念な出来を加味するとなお。いや、結果論なんだけど。でも今季何度も同じようなこと言ってる気がするし、そろそろ二川のプレイタイム伸ばしても良いんじゃないの。よくできました

倉田:プレイ中は、もっと藤春とうまくスペースを見つけあえよ!とか、スペース持ち込めよ!とか文句ばかり言ってしまうのだけど、いなくなると倉田でおさまってた部分が急に問題になってきて偉大さに気づく。二川がいなくなった後は、倉田さえ抑えちまえば、ってな浦和の守備に苦労していたけど、だからといって交代しても良いことはない。できました

パウリーニョ:連動はしてなかったけど、ガンバの攻撃で唯一手がつけられない感じだった。打ちまくったミドルは決して空砲じゃなかった。ただ下がった相手の守備をうまくつけなかっただけ。よくできました

佐藤:ゴールはみごとだったけど、あれだけお膳立てされていたらエリアでもうちょっと仕事してくれても良いんじゃないの。シュート少ないのはともかくとして。2点目が取れなかったのは佐藤のせいだけじゃないけど、FWなんだから頼られてんだよ。できました

遠藤:W杯予選に色々置いてきたかね。いちいちパスの受け手として絶妙な位置取りをする分、その後の危険なとられ方につながったり、時間ばかりかかって攻撃の選択肢が減るなど。正直一人少ない方がマシだった。ウチでは最近「遠藤の遅延行為」と呼んでます。もう少し

横谷:監督の指令はどうだったのか知らないけど、フィニッシュを打っていく姿勢はよかったし、惜しいのもあった。でも、もうちょっと動かないと、相手にとっては設置型のシュートマシンと同じで、特に困る風でもなかった。相手を走らせたり、ケアさせたりというのが途中交代の選手には期待されてるはずなんだが。特に、失点シーンの起点は、横谷の不用意なヒールパスからだったのを見逃してないぞ。しっかりつながずトリックに走る必要があった状況や時間帯だったか、よく考えて。もう少し

イスンヨル:出場時間は短いが、決定的に仕事をしなかった。傍観者が一人ピッチにいた。もう少し