2012/5/6 J#10 ガンバ大阪vs大宮「これが残留力か!」

大宮にてアウェイ観戦。

鹿島戦後のACLアウェイでついに藤ヶ谷外しを断行し、木村がスタメンGKに。

それで気合いが入ったわけでもないが、試合開始の6時間以上前に到着してしまい、暑い中ビールを飲みながら、隣接する野球場にて高校野球を観戦しながら待機。

ところが徐々に雲行きが怪しくなり、とうとう雨。ただの雨ではなく、雷を伴う豪雨で、試合開始が遅れることに。スタンドから席裏に待避させられて、ギュウギュウ詰めのなかで一時間ほど待つ。子供が迷子になったり、空きスペースに誘導したり、大宮の運営さんは大活躍でした。

結局予定通り一時間の遅れで試合開始。

前半は、ホームの大宮を圧倒しボールを支配。相手へのプレスも効いて、ほとんど何もさせない。遠藤武井のボランチが仕事をするまでもなく、寺田倉田が二列目でボールを奪ってチャンスを連発。佐藤をポストに阿部が決定的なチャンスで倒されたり、倉田のミドルがバーを叩いて直下に落ちたり、阿部と倉田が前線で粘って相手を引きつけた上で寺田がシュートしたり、どれも最後のワンプレーで決めきれない「だけ」だった。実際にはそれこそが問題だったわけだが。

一方の大宮はパスミスも多く、ガンバに気押されてカウンターにも持ち込めず、下平一人が奮闘して辛うじてガンバ陣内に持ち込んでいるような状況だった。

前半スコアレスではあったが、さすがにこれだけ圧倒していれば大丈夫だろうとまったく楽観的な気分で後半へ。

大宮はターゲットになるべきラファエルを活かす展開に持ち込めなかったため、より縦へのスピードが生きる長谷川を投入。ガンバの最終ラインがやや下がったか、間延びしてしまってギャップを狙われる。下平のクロスを相手の外国人に合わせられ、こぼれ球をやられたかと思ったが、かろうじて凌ぐ。

後半5分に遠藤がドリブルで持ち込んでシュート。GKが弾いてDFがもたついて交錯したボールに詰め切れない。後半10分には下平との競り合いから寺田が上げたクロスを佐藤がパーフェクトに合わせたと思ったが、枠を捉えず。

形は良いが決めきれない中で、徐々に大宮のボール保持率も上がってくる中で、倉田を下げて明神を投入。遠藤を二列目に上げた。大宮はマーカーを下げてあっさり対応。さらに阿部を下げて佐々木を投入。これで二列目が三人で佐藤ワントップとなるが、これと言った形は佐々木がクロスをあげて遠藤がヘディングを試みた一回きり。で、遠藤がセンターでもたつく、時間がかかって佐々木は縦へのスピードを活かせない、という悪い面が目に付く。藤春と遠藤のコンビも悪く、阿部がいれば、と思わざるを得ない。

そんな中で、相手のスピードを殺した大きめ・ゆるめの縦ポンにヨーイドンで攻守が駆け込み、相手に決められて先制を許す。後半30分のことだった。あとでみたら相手のお見合いにおつきあいしたような感じ。もったいないが集中が切れていた時間帯。

ワンチャンス、というほど後半は圧倒していたわけでもなく、明神を投入したのも守備の修正の意識があったんだろうが、中盤の間延び間は解消されず、最終ラインとGKの不安定な連携も残ったままで、決められてしまった。ゴールが決まったのには運の悪さもあったが、決定力の違いも明確だった。

そこからは完全に試合を殺されてしまった。寺田に代えてラフィーニャを投入も効果なく。

ラフィーニャの動きも良かったわけではないが、完全に集中力を欠いてボールをつなげず、走れなくなったガンバの選手に対して、守るんだといういう強い意志を持った大宮が何もさせなかった、という終わり方だった。

採点

木村:試合を通してほとんどプレー機会はなかったからこそ、失点シーンはスーパーセーブを見せて欲しかったが、それは欲張り過ぎか。できました

丹羽:下平とのマッチアップも負けてはいない印象だったが、早い段階から中央に放り込んでくるのは防ぎきれなかった。逆に裏をとる際にはパス交換でボールを奪われこそしなかったが、時間がかかってしまって、決定的な仕事はできず。大きなミスをしない、というだけでは及第点にはたどりつかない。もう少し

中澤:まだラインコントロールが不安定。裏をとられる不安とGKとの連携の不安でズルズル下がってしまった上でに、密集からのこぼれ球を押し込まれた失点シーンはその集大成ともいえた。もう少し

今野:ゴチャゴチャしたら今野が何とかしてくれるのでは、との淡い期待は、遠い反対側のゴールでかき消された。それより中澤とのコンビはそんなに難しいかね・・・。もう少し

藤春:この日のピッチでもっとも自由にやれていたエリアのはずだが、より難しい右サイドに人が集まることで、左は最後まで効果的に使われなかった。思い切って打ったミドルがせめてもの抵抗。できました

武井:前半はボランチ要らずの楽展開。後半はここぞという相手の圧力に屈して、挙げ句の果てに失点。そういった時間帯にいかに効果的なプレーで相手を切るかと、チームに集中力を取り戻させるかが、求められている役割だが、この日は単なる一人。もう少し

遠藤:ボランチでスタートしたが攻守に懸命に走りきった。ポジションをわざわざ上げなくとも、ボランチのまま攻め上がっていた方が相手にとって脅威だったのではないか。難を言えば藤春をもう少し上手に使って。スピードを殺してしまってる。よくできました

寺田:サイドを制して攻撃参加はいつになく見応えがあった。ゴールにつながるプレーに絡んでいけば結果はついてくる。よくできました

倉田:前半圧倒した立役者ではあったが、飛ばして入った代償は大きかった。今日の早期交代は展開もあってやむを得ない。あれだけの運動量を90分続けられるテクニシャン、に成長して欲しい。できました

阿部:セカンドトップで何度もゴールを脅かした。決めきれないのがおかしいくらいだったが・・・。遠藤と阿部が両立する時間帯をもう少し長くしたかった。よくできました

佐藤:ポストプにしてもチェイスにしても、よく奮闘した。ラフィーニャとも悪くない感じだったが、どんピシャヘッドは決めていかないとFWだからね・・・。できました

明神:倉田に代わって明神が入ることで、確かに守備は安定したのだが、攻撃面での脅威が欠けたことで相手が前に出やすくなって、失点に繋がった。個人的にミスはなかったのだが、倉田を失ったこと(+遠藤を上げたこと)以上の効果がこの日の明神にはなかった。できました

佐々木:縦にスピードを活かすほどスペースを与えていない相手守備陣に対して、サイドでモタモタするだけで終わってしまった。混乱を招くような使われ方をしていないのも気の毒ではあるが、起用機会が少ない中で違いを作っていかないと。もう少し

ラフィーニャ:ノーチャンス、とあきらめるほど悪くはなかったのだが、相手守備陣の密集を突破できず。もう少し

おまけ・松波監督:リスク管理と思い切った攻めの間で揺れるのはわかるけど、守備のバランスを図りながらの交代をしながら、直後に失点。「こんなはずでは」、という思いだろうけど、もうやり直せない。ただ遠藤を上げるだけでは相手を混乱させられないし、工夫が必要だった。倉田を下げたことも痛かったが、残していても前半並みのパフォーマンスは期待できなかったかもしれない。阿部はもう少し長くピッチに置いても良かったかもしれない。投入は佐々木じゃなかったかもしれない。すべてはタラレバになってしまうが、打つ手がうまくいかなかったから負ける試合ばかりではないと信じて色々試して欲しい。もう少し