2012/3/17 ガンバ大阪vsセレッソ大阪 「ダービーどころではないわ」

 長居陸上競技場アウェイゴール裏で観戦。

 先週同様、試合直前に雨が上がり、水を含んであまりよくないピッチ。先週の出来ならばむしろ悪条件の方が今のガンバには向いているのではないかとさえ思う。スターターは佐々木をベンチに下げてパウリーニョが二列目、インスンヨルがラフィーニャとペアを組む以外は、前節と変わらず。

 昨年までと比べ両チームとも縦への意識が強く、スピーディな試合となる。とはいえ90分間ハイボールを上げっぱなしだった神戸戦に比べるとボール回しなりサイドアタックなりでしっかり時間をかけるところもあり、これならばザル守備でも三失点はないかな、と思っていた矢先、カウンターへの対応でミスをしたガンバが先に失点。藤春が中で守備をさせられてる状況も問題だが、パスを出されるところで今野が仕事をできなかった方が問題。

 失点はしたが落ち着いてボールを回すガンバと、やや受けに回ったセレッソ。久々にガンバのパス回しが機能したところで、バイタルエリアでFKをもらう。遠藤を見て相手GKは左による。右に速いボールはないという読みだろうが、蹴ったのはパウリーニョ。またも飛び道具が炸裂して1-1に。

 そのままセレッソが修正できずにカウンター一本となり、ガンバがじっくりと攻めながらも効果的なシュートには至らないまま前半終了。パウリーニョがSHというよりは中に詰めてくるので3トップ気味、なんならスンヨルが下がってボールを受けるのでパウリーニョと並び気味で、相手守備は混乱したのかもしれないが、肝心なラフィーニャが潰されていたのと、藤春が相手DFの前を横切るプレーしかできないので危険なシーンは作れなかった。一方で、相手の清武がほとんど地蔵で、攻撃はひたすら外国人頼みだったのもガンバには幸いした。

 後半もアタマからガンバペースではあるが、回してもゴールの気配がない、という悪い時のガンバ。回せるだけでも前節よりマシだよね、という空気が充満する。少なくとも守備時間が減ることで失点リスクは減るよなあ、と改めて実感。遠藤のFKもCKもどうもピンボケで、相手へのプレゼントパスもしばしば。守備では今野が素晴らしい守備もありつつ、一対一では置いていかれることも。パウリーニョが忍び寄ってボールをかっさらうのが何回もあって救われた。

 後半25分にスンヨルを下げて倉田を投入、パウリーニョに上がれという指示だったが、あまりポジションは変わらず。シュートはきっちりブロックされるか、コースを消されて無理くりのチャレンジばかり。相手ゴールへまともなシュートが飛んだ記憶がない。

 セレッソはカウンター一本で、セットプレーでもDFをビッタリ自陣に引かしている。攻めあぐねているともいえるし、安全圏で試合をしているともいえる。

 後半30分に二川を下げるというまたしても信じられない采配。接触はあったがまだ元気だったし、ボールを操っていた唯一の選手がこれで消された。代わりに入った阿部はとにかくプレーが軽くて、ひとりダービーの舞台で浮足立っており、、右サイドからしばしば相手の形を作られるようになる。

 ボールも回せなくなり、両チームカウンターの打ち合いとなるが、ラフィーニャパウリーニョ、倉田に通ったパスも、結局最終的には対応されてしまいゴールは脅かせず。

 どちらかというとセレッソが終始ゴール前で展開していたが、背走する今野に当たったり、こぼれたボールが運良くガンバの選手の前につながったり、偶然の幸運でしのいでいた。

 アディショナルタイムにあろうことかパウリーニョを下げて佐藤を投入したところで、簡単なボールロストから攻め込まれるも、いったんは対応してクリアかと思ったところで中で倒されて(明神?)左サイドをつかれる。時間をかけられず、簡単に上げられて中の選手に頭で決められて万事休す。1-2で敗戦。

 ダービーは内容ではなくて勝利、という反面、今はそれどころじゃない、とにかく日進月歩で内容を改善していかなければいけない。監督が思っているサッカーとかもうどうでもよくて、今のメンバーでゴールへの最善のアプローチを見つけなきゃいけない。相手の出来の悪さ(三人が週中日に五輪予選を戦っていることを考えれば当然)というハンディをもらいつつ、結局この試合も流れの中での得点は取れなかったが、少しは可能性も感じられた。

 一方で監督の交代の下手さは大問題。二川を下げて相手に支配させたのも然りだが、最後の交代投入がアディショナルタイムの佐藤とは。ダービーを引き分けで良しとはしない、とか勝ちに行け、とかサポーター目線ではそうだが、開幕後のチームの現状と押されている展開を考えれば、守備的な選手を入れるべきだったのは明らか。戦略性のなさだけでなく、臨機応変な対応もできないことがつまびらかにされてしまった。

採点

藤ヶ谷:遠くて見えなかったが最後の失点のシーンで飛び出す判断はできないだろうか・・・。張り付いていても対応できないでしょうに。相手GKとの差がでかすぎて参ったが、今日のプレー全体は悪くなかった。DFとの連携もフィードも。できました

加地:右サイドで縦へのロングパスがそのままタッチラインを割ったときに、いよいよ衰えを感じた。ビルドアップではまだ問題なくできてはいたがフィニッシュにつながらない(あなたのせいじゃないけど)ので評価はできない。最後の失点シーンもね。もう少し

中澤:今野ではわちゃわちゃするシチュエーションでも、しっかりつなげる中澤の安定感は安心できた。一方で、やっちゃいけない超危険な場面で振り切られることもあった。できました

今野:ルーズボールが収まるのは読みの良さなんだろうが、ボールを奪えても、展開できずにすぐ相手に献上するのでは意味がない。中澤と今野のペアがアンタッチャブルなようでは複数失点はしばらく続きそう。攻撃では密集でゴチャゴチャする中での仕事を期待したがアタッカーからボールは回らず。もう少し

藤春:対応する脚の速さはさすがだが、対峙してからの置いていかれ方も早い。一失点目だけにかかわらず。攻撃面でも中盤からアタッキングサードまでは早くてもそこで緩めてDFの前でしかプレーできなかった。監督の指示?でも守ってるだけではポジション失うだけだよ。もう少し

明神:ミスも多いが積極的な上りはしばしば相手の脅威に。前節よりは今野との受け渡しもよかった。しかしミドルでもなんでも打って終わってくれないと、雰囲気だけになる。できました

遠藤:ほとんどセレッソがケアできない位置まで下がってボールをもらうが、意義のある攻撃までは結び付けられず。パス、プレイスキックともにミスが多いどころか相手のカウンターに直結。もう少し

二川:バイタルエリアでの仕掛けが積極的だったが、決定的なラストパスを出すことはできず。前線からのチェックは相手の攻撃を遅らせる充分な機能だった。なぜ代えられたのか不明。よくできました

パウリーニョ:弾丸FKは相手の裏をかいた。右CKも左(遠藤)のふがいなさと比べるとはるかに可能性を感じた。交代時に時間をかけてアウトしたのはピッチ内の状況をよくわかってたから。武井なり丹羽なりが入るべきシーンだったよね。よくできました

ラフィーニャ:確かに去年も、ゴールに向いた態勢でも、いちばん良いポジションに収まるまでもっさりしてるうちに相手に追いつかれてたよね。そえでも決めていた去年と、結局シュートさえできない今年。イグノの懐の深さがあってこそのラフィーニャだったのか。もう少し

倉田:スピードを発揮するチャンスはなく、オシャレ連携はつながらず、シュートはブロックされた。スタートからいければもう少し相手に混乱を生みだせただろう。できました

阿部:なぜチョイスされたのか不明。両チームの気迫がみなぎるピッチ内で一人だけ場違いだった。もう少し

佐藤:守るだけのあの時間で投入されてもね。出場時間短く、評価なし