2009/5/16 ガンバ大阪vs浦和「ジャブってこんなに軽いのね」

ガンバにとって、今季最初の山、浦和・鹿島の二連戦を迎えた。ガンバにとっては久々に、ようやく試合が一週間空いた訳だが、緩んでしまったか、レアンドロとルーカスが中間でリタイアしており体調が不安。休養充分の浦和とアウェイで対戦ならば、まずはドロー狙いが妥当だろう。

ガンバは4バックが固定。山口中澤のCBで、下平の左サイド、橋本の右サイド。明神遠藤のボランチ。前はルーカス、佐々木。チョジェジンとレアンドロの2トップ。とりあえずブラジルコンビはスタメンで出てきた。

試合は開始直後から、両チーム手探り状態。圧力をかけて押し込んでくる昨年までの浦和のスタイルではない。手探りのままガンバゴール前に運ばれ、チョコチョコとボールを回して、隙を探して、耐えきれずに枠外のシュートを放ってくれる。しばらくはこれの繰り返し。

やろうとしていることは分かるが、ガンバの悪いときと同じく、連動性がないので、ゴールまで届かない。そしてもう一つ、裏を狙われるよりも、断然守備が安定していて、安心してみられる。似たスタイルのチームに対しては対応しやすい、守りやすい、ってことだね。そして守られやすいってことだけど。

8分のCKのシーン。田中マルクスが上がってきて、ひたすらボールを集める。最後にクロスが頭に通ったが、ジャストヒットはしない。ああ、パワープレイも一応用意されてるんだね、というバランス感覚。これはガンバにはない浦和の強みだろう。

ガンバの初シュートは16分。下平がサイドからレアンドロにスルーパスを通す。ドリブルで持ち込んでシュートも、身体を寄せられ枠にはいかない。

21分にはゴール前遠藤が抜け出しそうになるが、中途半端なボールしか出せない。クリアボールを拾って、佐々木がゴールに迫るが、シュートはブロックされる。こぼれ球も佐々木が拾って、再度ボールを送り込もうとするも、クリアされ届かず。

浦和の守備は特に個の能力を生かしており相変わらず堅牢。守備的な選手はしっかりと残って、少ない人数で攻撃を組み立てるスタイルも、昨年まで同様である。こじ開けるのは容易ではない。ただ、ゴールへ迫る戦略については変化の過程にあることは十分理解できた。それは以前のような(ガンバにとっての)怖さを持ってはいない代わりに、以前のように簡単にボールをロスしない。

守備陣の高い個の力、引いて守るスタイルに加えて、ポゼッションを高めると言うのだから、失点リスクはきわめて下げることができるというわけだ。

注目の浦和の若手、山田はボール扱いが非常にクレバー。ポジショニングも走力も高い。連戦の疲れが抜けないガンバの選手が止まって見える。原口の方がまだいなせるから楽そうだ。

お互いほとんど中盤でのボールカットに終始する展開。相手が持ったらブーイングというのが浦和サポのお約束だったが、ブーイングが始まるとすぐに浦和がカット、応援歌を歌おうにも、すぐにガンバがカット、と続くため、これまでの浦和アウェイにはない、静かなムードがスタジアムに漂っていた。

33分、ガンバは山口がエリアライン付近で相手選手を倒してしまい、FKを献上。阿部のキックは壁を越えない。

36分、エジミウソンのパスに反応した山田直がゴール前でドンピシャで抜け出すも、シュートが精度を欠いてポストを直撃。ナイス播戸!

その直後、レアンドロがボールを持って突然崩れる。自爆。体調が悪い中でプレーをしていると変な体勢になりがち。負傷退場で、リアル播戸の投入。中盤に誰か入れてルーカスを上げるなどして、相手を混乱させるのも良いかと思ったが、監督は中盤でのボール支配合戦につきあうことで、時間を消費することを選択したか。

前半は下平にお約束のイエローが出るなどあったが佐々木の強引なシュートで終了。

後半は選手交代なくスタート。佐々木の強引なシュートを皮切りに開始早々からガンバ攻勢。47分には、FKから播戸へ、播戸が横へはたいて明神がボレー。バウンドしてGKの頭を越したが、バーに跳ね返される。

そこからのカウンターを下平が止める。悪質ではないが、一瞬二枚目出るかとドキリ。

FKはまたも田中マルクスが外してくれる。

時間帯としては、浦和が少し引いてガンバがパスを回せていたが、とにかく運動量が少なく、連動性がない。このままポゼッションとってタイムアップを待つ気か、というぐらいのキレのなさ。

遠藤がいつもよりワンテンポプレーが遅く、たびたびボールを失う。55分にはイエローをもらってしまう。

57分には、ゴール前のクロス、チョジェジンが合わせるも、浦和DFの寄せで体勢が厳しく、GKの正面へ力ないボール。

60分、チョジェジンに出たボールに反応するも、細貝に体を入れられうまく対応されてしまう。

この辺りの時間帯、播戸はひたすら駆け上がるだけでなく、うまく掻き乱して、パスを出すスペースを生み出しているが、その後決定的なシーンに持ち込ませない対応の堅さが、さすが浦和だ。

63分、若い方の山田が遠藤を倒して、たぶんその後何か言ったかやったかでイエローが出る。

そろそろゴール欲しいな、という時間。スポットとエリアの中間くらいで、ちょっと距離はあるFKだが、ショートレンジでつなごうとする浮き球、アイデアが通じず痛恨のカウンターを食らう。

その山田、力が入ったかシュートを浮かせてしまい、外側からバーに弾かれる。元々ああいう顔なのかもしれないが、イエローで不服そうにしていたのが、直後のプレーでガンバを助けることになったような気がした。

66分には、下平に代えて安田を投入。下平は控えめながらビルドアップもよかったし、安田に代えてきたのは完全に前のめりの合図だろう。

だが、その安田、しばらくは空回りの印象。攻め込もうにも中盤でユニットを組んでくれる元気な人がいない。守る方は、止めきれずエジミウソンに持って行かれたりした。

82分にはこの日最大のピンチ。概ね脚の止まった浦和に安心しすぎた中澤が、不用意なバックパス。交代で入ったばかりのフレッシュな高原に狙われる。藤ヶ谷が先にクリアするも、高原に当たってしまい、ボールは転々とゴールへ・・・しかし変な変化でそれて事なきを得た。

84分、めいっぱい走りきった播戸に代えて山崎を投入。播戸は40分インなので、昨年の佐々木以来の久々の途中出場途中交代だ。

本当はこの辺でもう少しポジションチェンジで攪乱して欲しかったんだが、リーグ戦アウェイで、勝点1を目の前にしてバクチをする必要もないか。ただ、佐々木が足をつったりしていたので、山崎を二列目に入れても良かったかな。

スタミナ切れした浦和相手に、最後は惜しいシーンもあったが、山崎が倒れてしまい、生かせず。

スコアレスドローで勝点1を獲得。

ショートパスをつないでくるスタイルで、今年は勝点を積んできているようだったので、浦和にとっては、通用しないのは拍子抜けだったかもしれないが、やはり同じスタイルの相手というのは、相当実力差がない限り守りやすいということだろう。ただ、守備のバランスを崩している試合も見たので、今日は後ろに重心を置いていたいつもと違うスタイルだったのかもしれない。

違う視点からみれば、ガンバの攻撃だって守りやすい、という捉えられ方がされているんじゃないか。

浦和はいろんな攻撃オプションがある(発動するかどうかは別にして)。ガンバには、今のスタイルしかない。やはり軽いのかな。飽きられてるのかな。そんな不安が沸いてくる0-0だった。

ガンバからすると、やっぱり堅い浦和、という再認識。最後のほんのわずかな違いなのだがブロック、寄せ、粘りが効いていた。

連動しないときにはレアンドロ頼み、という今年の悪いガンバにおいて、レアンドロを早々に欠いてしまったことで打てる手はあまり多くなかったのかもしれない。同じように集中のできないゲーム、神戸でざっくりやられたことから比べれば、よかった。

時に監督が頑なにシステムの修正を拒否する試合では、コロッとやられてしまうケースが多いが、(そのくせ、崩されてはいなかった、と強がる)、今日はハナからバランスを崩さず賭けをしなかったという点が功を奏していたのかもしれない。

このあとは水曜にACLをはさんで鹿島戦。また連戦ウィークだが、その後はしばらくお休みだ。乗り切ってもらおう。

採点します

藤ヶ谷:高原に当たったボールが外れたのは、運だね。中澤と一緒にボーッとしてたその場面もまずいが、山田に抜け出されたシーンも、どうにも対応できずうろたえるだけだった。浦和が完成前で良かった(もう少し)

橋本:サイドでここまで良かったのははじめてかもしれない。攻撃に顔を出すことはほとんどなかったけど、旧時代のサイドバックとして遠藤のスペースを埋めるなど助け合いが効いていた。相手のパス交換のリズムに一番合っていた。(よくできました)

山口:守備では安定していた。山田にラインを突破されたのはしかたがない。彼は宝石だ。攻撃では最後の期待、ドンピシャヘッドを披露する機会すらなかったので仕方ない。(よくできました)

中澤:久々の大ポカ。故郷に錦を飾るつもりだったか。あのシチュエーション、時間帯的には緩んでも仕方なかったが、あなたと監督だけはボーッとできなかったはずだ。そろそろパクの出番か?(もう少し)

下平:サイドバックとして最低限のディレイはできていた。破壊的な浦和だったら、破壊されていただろうけど、優しくて良かった。ビルドアップでの貢献度は相手のSBにも負けてませんよ。それよりまったく可能性を感じない遠藤のFKをまた横取りしてください(できました)

明神:ボレーはワンバウンドを狙ったのか、そうじゃないのか。伝説のゴールが生まれなかった瞬間を見た思いです。やっぱり橋本明神の方がしっくり来るな、という時間帯がガンバの時間帯でした。(よくできました)

遠藤:動きが重い。済南の悪夢か、それとも気持ちは代表か。とりあえず目の前のプレーにもう少し集中してください。山田にイエローを呼んだシーンしか、特筆すべきものはない。(もう少し)

ルーカス:中盤でのボール支配ごっこ、楽しそうでしたね。でもゴールが生まれる気配は感じなかった。播戸と同時にトリックに走ってしまうと、対応する人が足りなくなるのでよく話し合っておいてね。(できました)

佐々木:買われてのフル出場でしたが、やはりスタミナ不足を露呈してしまいました。まあサイドの助けもなかったし、仕方がない部分もあったか。無理目でもシュートを打っていくのは、ガンバにはないリズムなので悪くはなかった。ただ、シュート数が少なすぎたので目立った(半分が佐々木)。(できました)

レアンドロ:どのみちいつものキレがなかったが、欠けてしまうと厳しい。体調自体も戻っていなかったのか。ぜひ怪我を治して早期の復帰を。(もう少し)

チョジェジン:レアンドロがいなくなってから、しばらくチョジェジンの時間帯があったけど、その後は浦和DFに抑え込まれてしまった。播戸とのコンビは悪くないけど、もう一人飛びこんでいける人がいたら良かったな。もちろん君のせいではない(できました)

播戸:浦和はイヤーな雰囲気を感じていたと思うけど、彼らの嫌がるエリアを(なぜか)避けて仕事をしていた。縦に二人並ぶときはたまには前に行ってみたらどうよ。ただ献身的な姿勢は相変わらず。安田と長時間プレーできなかったのが悔やまれる(できました)

安田:空回り。期待が大きすぎたか、でもなぜか相手監督から高評価(短いので採点なし)

山崎:ジョーカー。時間が短すぎた。ミネイロじゃあるまいし、あれが精一杯だよね(短いので採点なし)