4/28 UEFA CL 準決勝第一戦 バルセロナvsチェルシー「実をとったのは誰か」

ホームのバルセロナに乗り込んでなお、チェルシーは攻撃的だという主張を繰り返したヒディンク監督だったが、はかなくも彼が否定した「後ろを固めて待ったチャンス」さえも来ない試合となった。

いや、むしろ正しかったのは「バイエルンの二の舞になってはいけない」という発言の方だろう。

チェルシーの選手たちは、決して無駄でも過剰でもない的確なプレスをかけ続け、正確なチェックと最低限のファウルと、個々人の高い危機管理能力で、ピンチの芽を摘み取り続けたし、バルサはその隙を縫ってゴールを狙い続けた。

前半は、エトオの抜けだしからミドル、メッシーのダイレクトボレーなど、ちょっと余裕を持ちすぎで、決定的なシュートと言えるのは少なかった。ツェフとDFラインの連係も完璧でつけいる隙がなかった。35分のアンリのシュートが一番危なかったか。

逆にチェルシーは、マルケスのゴール前での不用意なボール扱いから、ドログバに決定的なシーンを献上してしまう。こちらは、やや連係に不安のあるバルデスがDFと交錯しながらもなんとか手を出して防いだ。

後半早々、アンリが傷んで、さらにマルケスの負傷交代で、プジョルが投入されてやや試合は膠着。

アンリが消えてしまって、メッシとイニエスタを封じ込められて、ややバルサも攻め手を失ってしまう時間帯が続いたが、シャビがしかけることで打開を試みる。

後半25分にようやくエトオがビックチャンスを得るがツェフの好セーブに合い、続くCKからもピケは枠を外してしまう。

直後にチェルシーランパードを下げて、ベレッチを投入し、いよいよ殻に閉じこもる。

ベレッチがピッチに入る際にはスタジアムに温かい拍手がわいた。

アーセナルの希望を打ち砕いた決勝ゴールから三年ですか・・・

後半30分プジョルがイエローをもらって次節出場停止が確定。ベップはそれを見越して温存したかったんだろうけど、マルケスに続いて痛い。

後半35分になって、ボージャンを投入(エトオout)。

アンリを残したのは解せないが、コンビ優先かな?と思ったら42分にフレブと交代する。

ロスタイム直前、ダニエルアウベスからの右サイドクロスに、ボージャンとメッシが飛び込むが、センターでボージャンが合わせたヘッドはゴール上空へ。メッシの方が体勢は良かったが。

ロスタイム、フレブの突破もゴールには結びつかず、第一戦は終わった。

この試合にハイスコアを求めるのはお門違いだし、ゴールなしで早朝に(眠らせずに)ここまで楽しめる試合を展開する両チームはさすがだ。

最後まで組織的で、プレスの精度が落ちず、バルサの選手に良い体勢で決定的なシュートを打たせなかったチェルシーの守備には、迫力があった。

バルサは悲観するほど悪い出来ではないが、ホームでのスコアレスドローは諸手を挙げて歓迎はできない。

バルサのシュートは20本、チェルシーは3本。一方ファウルはほぼ逆の数。

支配率はバルサが66%。

それをスコアレスで守りきったことは、アウェイゴールを取れなかったことを補ってあまりあるチェルシーのアドバンテージだ。

ただし来週、ロンドンではまったく違う試合になるだろう。チェルシーの攻撃性を、ホームで存分に披露するチャンスがやってきた。

だがそれは同時に、バルサにもゴールチャンスが高いということだ。

次節メンバーにやや不安は残るが、ロンドンでのバルサのゴールは、チェルシーにとって重くのしかかることになる。

明日のユナイテッドもそうだが、バルサはリーグ戦も大一番を迎えている。

クラシコを含めてこの時期に、今季のチャレンジの成否のすべてがかかっているといってもいいだろう。

第一戦ということもありアウェイゴールを半ば放棄してしまったチェルシーか、決めきれずにアウェイに乗り込むバルセロナか、シーンのこの時期本当に有利な結果を得たのはどちらだろうか。

次戦、鍵を握る、イニエスタとシャビが、どれだけ仕事をできるかに期待したい。

今日とは別人のバラックランパードと、攻守両面で対峙することになるだろうし、いかに攻撃機会を生み出せるか。

楽しみです。