4/8 ACL GL ガンバ大阪vsスリウィジャヤ 「余裕を持たされて」

万博で観戦。

インドネシア国籍の方を無料招待ということで、アウェイ席にも多くの方が入り、元気に応援。一人一人の声がでかい。

インドネシアから来られて、なかなか自分たちのナショナリズムを呼び起こす機会もないだろう。大阪でACLをやって、こういう機会を提供できることを誇らしげに感じた。

スリウィジャヤを相手にして、スタンドでは三年前のダナン(15-0)を思い出す人もいたし、昨年のチョンブリ(1-1)を思い出す人もいた。

僕は後者だ。スリウィジャヤの実力は未知数だが、確実に引いてくる。もちろん三年前は、すでに予選リーグ敗退の危機だったし、フェルナンジーニョマグノアウベスハットトリックが示すように速攻と攪乱が実力差のあるチーム相手にはよく効いた。今は状況が確実に違う。相手がどこであれ、怖いもの知らずのイケイケにはなれない。無理なく慎重にはいるだろう。それに今のガンバの遅攻スタイルはたとえ相手ピッチに人形が立っていたって90分で15点はとれなさそう。

とはいえ、これから続くであろう連戦の中では最も相手の実力が劣るのは間違いだろうから、勝点3を疑う訳ではない。メンバーと勝ち方が重要だ。

そのメンバー。

先発を見る限りターンオーバーはやはりまぼろしか、とガックリ。試合勘、連係、若手へのチャンス。4日前の広島戦からはGK(松代), CB(中澤), SB(下平), 二列目(佐々木)と4人も変更しているんだけどね

。前線をもっと試して欲しいのでもの足りない感じが残るけど、フォーメーションを試そうという意図は感じられる。中盤をボックスではなく、1トップ3シャドーで二列目を次々と飛び出させようと。もう一度見たいのは昨年終盤のゼロトップなんだけど、チョジェジンを生かすにはこれかもね。監督紹介にブーイングこそしないが拍手は出来ない。

メンバーは、GK松代に、懲りない橋本右SB、下平左SB。下平が若手枠なんだとしたら仕方ないけど、よくSBだけここまで我慢できるものだ。

CBは中澤と山口。高木をベンチに置き続ける意味は?しかもパクもベンチに入りこの日もCBが二人ベンチに。

中盤は遠藤と明神のボランチ。広島戦でも、遠藤を下がっている時間帯さっぱりだったの忘れたか?それに復帰したばかりの明神に休息を与えるならこの試合では?それとも今更明神の連係強化を優先ですか。

ルーカス、レアンドロ、佐々木を二列目に配置して、チョジェジン1トップ。ソウルで頂いたというチョジェジンの顔段幕、見えてますかー。

試合開始からポゼッションでは圧倒するが、相手は予想通りドン引きなので、安全圏でボールをウロウロ回しているだけ。相手をみながら慎重に相手陣内に攻め込む。いや、染みこむ、という方がいいかもしれない。じっくり行きすぎ。攻守の切り替えが怖いのか。

10分のCKが最初のチャンス。ショートコーナーからすぐに橋本が上げたクロスに、山口がドンピシャだった気がするが、密集でブロックされた。あとで記録を見たらこれがファーストシュート。何してんねん。

その後はレアンドロ、ルーカスがシュートするも、二列目を使って崩しきったというより、3トップが前で自由にプレーしているだけ。相手は密集はつくるがプレスは強くない。スペースがあるからって好き放題するのはいいけど、決定的なチャンスには持ち込めてないよ。規律を守る佐々木だけ浮いてしまっていた。

この日は左サイドで下平が非常に積極的だったことは特筆すべきだろう。

もちろん守備機会が少ないのでいつもより前がかりになれるし、ウロウロ感がないぶん、余計に印象が強かったのだろうけど。チョジェジンへのクロス、ミドルレンジからのシュートも、エリア付近での仕掛けも、とっても良かった。監督は下平の攻撃的なセンスに期待しているんだろうし、余裕をくれない相手にも臆病にならずチャレンジする姿勢を見せてほしい。

セットプレーで中澤のヘッドが運悪くポストに(ポスト前のDF?)にクリアされたり、レアンドロがゴール前でキープし続けて粘ってシュートとか、ゴールラインからレアンドロを経由して遠藤が走り込んでのシュートなど、ゴール前ではいつもより手数をかけないでシンプルにゴールへ向かっている。あるいは、少し余裕を持ちすぎなのか。その余裕の分だけいつもよりプレーに厳しさがないのは仕方のないところ。

ピンチは一回だけ。パス一本で相手FWキースに抜け出されたシーン。松代が防いでことなきを得たが、リーグ戦ならあっさり先制されていた。スタンドでは「あの外人だけ別格やから気をつけろ」の声。

あきらかにインドネシア人とは違うのだが、セントクリストファー・ネイビス(カリブ海)の代表選手らしい。すごいところからインドネシア行ってるな。

そのうち、そのうち、と見守るスタンドがしびれを切らして、ざわめき始めたのも無理はない。シュートの本数は前半だけで20本。

40分の遠藤のシュートは、去年何度も見た、パス交換の果てに最後ノーマークでゆっくり走り込んできてゴールへけり込む姿がよみがえったが、それもブロックされる。しかしその直後のチャンスでついに先制。

上がりっぱなしの山口からパスを受けた佐々木が浮き球のパスをDFラインとGKの間へ送り、飛び込んだレアンドロがヘッドでゴールネットを揺らす。佐々木のループシュートかと思うくらい早いヘッドで、スタジアムでは一瞬何が起こったか分からなかった。ようやく、という安堵感で包まれる。

前半終了間際には、ルーカスが左から上げたクロスに、またレアンドロが今度はコースを狙ったヘッドで追加点。

これだけ試合を支配するのも珍しい。ポゼッションと決定的なチャンスを考えると、もっと取れるやろ、という気持ちもあるが、これだけ引いてくる相手に、大量点を狙って過剰なリスクをかけてもしかたがないよ、という現実的な気持ちもある。得失点差が影響するようなグループではないので、あえていつも通りのプレーで崩しの熟成か、メンバーを替えて試すか。実りのある後半にしてほしいものだ、と願う。

後半、故障明けの明神に休息を与えられ、山崎に交代。また、チョジェジンが播戸と交代。この日のチョジェジンは、攻めっぱなしの状況もあって、あまり運動量の少なさが目立つわけでもなく悪くはなかった。股関節に故障持ちなので大事に、というのと、まずは播戸に初ゴールをという親心か。

どういうポジションに入るのか確認できる前にいきなり追加点。

レアンドロ-山崎を経由して出たパスが相手DFのクリアミスでオウンゴールに。当たって角度が変わったというよりは、クリアできるボールだったように思うが、結果的にゴールに向かって蹴ってしまっていた。そのパス、播戸に通した方が確率は低かったかも・・・。3-0に。

結局3シャドーそのままに、播戸と山崎の2トップ。ただし、レアンドロと山崎はクルクルとポジションを変えて、相手守備陣をますます混乱させる。

播戸の動きは今日はシャープで素早く相手の裏に走ったり、下がってボールを受けたり、今シーズン一番良かったように思う。肩の力が入って相手には「リラックス」とか言われてたみたいだけど、ゴールには最も近づいた、と思う。逆に言うと、この日ゴールを決められなかったと言うことは・・・しばらく先かな。

FKから山口がヘッドで今季発ゴールで4点目。遠藤山口ラインがようやく開通。前半10分に止められたリベンジを果たした。

4点差の状況で、守りきる練習でもするかと思ったが、60分にルーカスに変えて投入されたのは悩める安田。気分転換か、それとも播戸との相性か。まあ、引いたって攻めてこなさそうな今日のスリウィジャヤだからね。

とはいえ、ますますCBをなぜ二人ベンチに入れたのか、監督のプランを知りたい。どんな状況だったらCBは投入されたの?1-0の後半35分にCB入れて3バックで守りきる?おおこわ。

それはともかくその後も、播戸は的確な仕事をし続けた。5点目は、播戸が右からDFラインの裏に通したクロス(シュートだったりして・・・)を、佐々木が流して左から安田が今季初ゴール。この時点でまだ後半20分。

後半も圧倒し支配し続けたが、チャンスの多さの分だけ余計にストレスがたまったのは、観客と播戸の共通した気持ちだろう。みんな山崎と播戸に優しい。ボールを二人に集めてシュートを打たせまくったが、実らず。5-0で試合終了。

引き気味の相手に、まずは慎重に入った上で、徐々に圧力をかけるつもりが、あまりにもスペースを与えられてプレスもない状況で、攻めあぐねた前半。ドン引きでも相手の足が止まって、さらに圧倒したけれども、決めきれなかった後半。

結果論から言えば、平井なり、武井なり、倉田なり、の飢餓感を生かすことができれば良かったのだが、現状はベンチにも入れないのだし、他にも未解決の問題(未ゴールFW)があるのでやむを得ない。

ポゼッション率と、決定機の数から言えば「もっと点は取れた」という遠藤の言葉はもっともだろう。スペースも時間も厳しいリーグ戦に向けた明るい展望にはつながらない。

だがACLはこれで勝点9、次戦にも突破の可能性が出てきた。

その次戦は、同じ相手とアウェイ。灼熱のアウェイで別チームになる可能性はあるけど、しっかり勝ってもらいたい。今日外したゴールチャンスは、次回に持ち越しと言うことで。

採点します

松代:ほとんどピンチのない試合。でもボーッとせずに唯一のピンチも防ぎきった。DFの集中を切らさなかったコーチングもグッド(よくできました)

橋本:相手が出てこない分だけピンチもなく、のびのびと上がってパス交換に参加していた。シュートを我慢してクロスの配給に徹していたのが唯一SBらしい仕事でした。悪くはなかったけど攻撃に専念した割には成果でず(できました)

山口:初ゴール。キースに置いて行かれそうになったときにはたまげたけど、中澤とのコンビはパクより安心できる気が(よくできました)

中澤:ドンピシャヘッドが実らず。しかし腐らずによく頑張っている。でも試合前日に先発宣言してもいいことはないと思うよ。広報~!しっかり。もしかして、エジミウソン陽動への布石だとしたら何も言わんが。(よくできました)

下平:これだけ自由にやらせてもらえたにもかかわらず、早々にイエローをもらうとは何事。その後の攻撃姿勢でかろうじて怒りは収まったけど、大事な試合を任せられるレベルでないことは明らか。とはいえ、ライバルが安田だからどっちも不安だよね。クロスも良かったし、FKも惜しかった。シュート精度は・・・橋本より上かな?(できました)

明神:ピンチもなかったけど、無理はせず。こぼれたパスに蓋をし続けた。他の選手に余裕があったので、気がつけば明神が決定的な位置に!ということもなかった。故障明けだし前半で交代(できました)

遠藤:今日の前半は献身的に水を運ぶ選手だった。余裕は遠藤の走りから生まれたものだと認識すべき。後半は一人ボランチ。まさかリーグ戦では採用しないと思うが、そんな戦術とってまで前線の選手に点を取らせたいか・・・と思った。(よくできました)

佐々木:ナイスなクロスは、現地ではループシュートかと思ったけど、クロスでした。橋本が加地ばりに上がっていたのでユニットが機能したけど、逆に言うなら通常は機能しないことが、より明らかになったような・・・いずれにせよ相手が一番手を焼いていた選手(よくできました)

ルーカス:相手にキーマン指名されていたようで、かなり封じられていた。動きも悪かったけど、少し軽く見ていた節もあったのではないだろうか。とはいえ、二点目をアシストしたのはさすが。2-0で後半に行けたのは大きかった。ハーフタイムでの交代がなかったところに、監督の信頼があらわれていた(よくできました)

チョジェジン:単なる飛び道具ではなく、なんでもできる選手だなあ、と改めて感心したけど、今日はチョジェジンほどの選手が必要のない相手だった。動きが悪いとかではなく、ターンオーバーの観点からも、休んだ方が良かったと思う。(できました)

レアンドロ:前の二試合、そしてこの試合も前半かなりストレスがたまったけど、2ゴールでうっぷんを晴らした。イライラがプレーに出ない点で、我慢強い大人。後半は、自分で行けるところでも播戸・山崎に譲るシーンもあった。(よくできました)

山崎:身体のキレはかなりいいみたい。監督が二列目でも使いたくなるのは分かるが、レアンドロを後ろに下げてでもFWの方が断然いい。遠藤やルーカスと近いところでもっとプレーさせてあげたかった。播戸とはしょっちゅう被っていた。(よくできました)

播戸:こねくり回してシュート、というよりは、スピードに乗ったプレーができるといいえけど、今日はそういう場面自体がなかった。みんなの優しさに感謝してください。(できました)