3/22 ガンバ大阪vs京都「プレイとジャッジと結果」

アウェイ西京極で観戦。

西京極のスタジアムは、サンガのホームであるとか、もちろん阪神タイガースの年一回の西京極開催であるとか、そんなことよりも、「高校駅伝」の聖地である。近隣に駐車場が少なく、他のスタジアムでは考えられないような遠くの駐車場から歩くことになるのも、西京極から国際会館までのコース上を選べばまったく気にならない。広いマラソンゲートの影響でいびつなゴール裏スタンド配置となり、狭いアウェイ側席を強いられるのも、他の方がどう思うかは知らないが、僕にはいとおしく感じる。

しかし、この日は、違った。

日本のサッカーの将来を悲観するに充分な、審判団が壊したゲームの帰り道。負けて悲しい気持ち以上に、なにかいやらしい、恥ずかしいものを見てしまった、極東の島国ではやはりまともな世界標準の「フットボール」など行われていないんだ、という絶望感が頭の中をグルグルとめぐった。分かってはいるはずのことでも、改めて目の前に突きつけられた現実。

試合開始から、とてもおかしかったことに、多くの観客は気づいていたようだった。

はじめは、普段いるはずのないところに、主審がいること。

村上という主審は、何度もパス交換に「参加」していたし、何人もの選手が審判とぶつかって倒れていた。それは、両方のチームに起こったことで、どちらかのチームに有利になるようなプレーにはつながらなかったし、はじめは観客席からは笑いが起きていた。それが徐々に笑いにならなくなるのは、とにかく審判の位置取りが悪いことと、すぐにプレーが止まるから。

もうひとつ気になったのは、「向き」をあまり変えないこと。前半は京都が北側(アウェイ席)に向かって攻めるのだが、主審がほとんどこちらを向かない。逆走を好むとかそういうスタイルなのかとも思ったが、じゃあガンバが攻める時はどうかというと、やはりこちらを向かない。つまり常に一方向(前半は南)を向いているわけだ。

確かにマラソンゲートから吹き込む北風は冷たいかもしれないが、それでは困る。(しかも後半は常に北向き)

京都の選手が受けたファイルは正面から確認できるが、ガンバの選手が受けたファイルは後ろからしか見えない。どちらに有利な笛を吹いたとかの以前に、片方のチームのファイルだけ良くみえている状態をキープしているんだもの。審判のポジショニングの上手下手は知らないけど、普段感じない違和感を感じたことは間違いなかった。

どちらもそれほど大きなファウルはなかったように思うが、前半だけでガンバに3枚のイエロー。

基準が両チームで違ったのは事実だけど、判断がぶれるとか、ジャッジが公平でないとか以前に、本当にこの人は技術的に下手なんだな、ということで理解するしかどうしようもない。頑張ってほしいというか、審判そんなに足りないの??

審判が気になったが、試合内容については、どちらも悪くはなかったと思う。ジャッジがどうだったとしても、1-2で敗戦した可能性はある。

ガンバは直前のソウル戦と同メンバーでのスタート。加地、二川に加えて明神を欠いており、さすがにやりくりは厳しい。

遠藤を下げて、ルーカスと山崎を左右の二列目において、レアンドロとチョジェジンの2トップ。

迫力はあるけど、ポゼッションが前線に配給されるところに少し断絶がある気がする。いわゆるアタッキングサードで丁寧にパスが回らず、割と早めにシュートが打たれる。チョジェジンがパス交換にあまり参加せず、ブラブラしてるのが気になる。このメンバーではスルーパスが出てこない。

この日右SBに配置された安田は、まあ無難。ただし、左サイドの時のような積極性がない。引き気味のプレーで相手を呼び込む格好になっていることもしばしばあった。大きなリスクではないけど、攻撃の選択肢が確実にひとつ少ない。

前半の攻撃は迫力にかけるけど、でもまあ、自由に回せてはいるし、続けていれば何点か入るだろう。村上君が遮断しなければ、ね。という印象だった。

しかし、前半終了間際に失点。失点につながるCKは、主審ではなく、副審が差し上げた。

バックサイド側の副審は、失点シーンの直前、三度の信じられないミスを一瞬で犯した。ひとつは、サイドラインを割ったボールをプレーオンとしたこと、ハンドを見逃したこと、そしてラインを割ったボールの判定を間違えたこと。すべてが、京都側に有利にはたらき失点とあいなった。

スタジアムでは、我々の目の前で起こったことだったし、おかしいと思ったが、副審はもっと近くで見ているし、そもそも判定は覆らない。家帰って録画を見てもやっぱり副審のミスなんだけどね。

もちろん副審にハンドが見えなかったのはやむを得ない。オフサイドのラインを見極めるために、サイドライン際での攻防を後ろからみる位置取りになっていたし。でも主審はなんで見える位置にいなかったのだろう。

後半開始から、西野監督は山崎を寺田に交えてきた。前半の山崎は、スペースがある分だけ、右の二列目としての仕事ができず、前すぎたり、逆に安田に引っ張られて後ろすぎたりした。スペースがなく苦しい試合だったソウル戦とは違って余裕があった分だけ、必要なところに顔を出せなかった。

本職の寺田への交代で前線に活気が増し、京都を押し込んだところ、今度は主審が活躍。藤ヶ谷の飛び出しにカードが出てPK献上。

スタンドからは反対側のエンドで起こったことなので、詳細は分からなかった。ただ審判への異議はほとんどないガンバの選手が、相当の抗議をしているところを見ると、普通ではない判断なんだろうな、という気持ちで見ていた。

あと、PKだという笛を吹くときに、あんなに離れたところから走っていくかね。あの距離なら、プレーの状況を副審に尋ねるべきだけど。

帰って見たら、ファイルになるようなプレーではなかっただけに、たぶん見えなかったって言うのがイヤだったんだろうなあ。技術が伴わない人ほど、柔軟性に欠けると言うことか。これは実社会にも生きる教訓ですが。

後半は前半とは逆で常に北を向いている村上主審。まあ後半はポゼッションも長かったし、しかたがない面もあるけど、後半も引き続き、よく見えている方向のプレーに対してだけ注目をしているようだった。後半もパス交換に顔を出したり、自分がぶつかって倒れたルーカスにノーファウル、というジェスチャーをしたり、ご本人もだいぶ混乱していたのかもしれない。

60分には、この日消え気味だった安田とチョジェジンを下げて、播戸と佐々木を投入。下平を残したあたり、安田のパフォーマンスには不満があったようだ。左なら別人になったと思うけど。

プレーを止めずに試合をコントロールするのが一流の審判だとすれば、プレーをひたすら寸断してかつ試合をコントロールできない今日の審判は、なんだろうか。とにかく細切れの試合の中、なんとか審判に謎判定をされる前にシュートを、という焦りもあったように思われたが、それでも30分には一点返した。下平のクロスが、いったん跳ね返されたルーズボールを、寺田がゴール。相手DFに当たってコースも変わったか。とりあえずシュートまで行けたのが幸いした。

その後も、ボールは支配するが、目立とう精神の主審が主役であることは変わらず。この試合のアクチュアルタイムが知りたいものだ。

惜しいシーンは何度もあったし、ガンバの選手の動きは総じて悪くなかった。特に後半は、ジャッジのストレスを取り除けば、内容的には楽しめた。

1-2でタイムアップしても、チームに大きな問題がなかった以上、いつものような勝負弱さというか不甲斐なさを恨むような気分にはならないし、複雑。もっとこうして、という注文はあるけど、プレイ内容には文句がつけられるほどひどくはない。

内容と結果が時に伴わないのがサッカー。

それに京都だってそれほど今日は悪かったわけではない。1-2というスコアが受け入れがたいわけではない。その過程に介在したジャッジが受け入れがたい、それだけだ。

結果として、京都相手に勝点3を失ったのは事実だけど、それ以上に、裁く側に真剣味がないようなレベルの低いリーグで、自分の応援するチームが戦っているという事実に、改めて気がつかされ、気の毒になってしまった。必死に戦っている選手達が渇望しているタイトルが、チャチな世界にされてしまっていないか。

今さら、と言う向きが多いだろうけど。

ただ、ガンバはようやくそこまで来たのかもしれない。鹿島がこれまでどれだけ判定で不利をみてきたか。主審の判官びいき的な色眼鏡なのか、それとも単に技術的な問題なのか、今までは正直関係ない世界の話だったので考えもしなかった。

今日の村上主審は後者なんだろう。今日、なぜか舞い上がってしまった彼の能力の無さを責めることは出来ない。そうした状況を改善する用意が、リーグにない。そのことこそ問題だなあ。

奇しくもこの日、鹿島も不可解な判定をされていたが、しっかりと勝点を拾っていた。審判の意図を超えて、能力を発揮できるチームこそが強者なのだとしたら、ガンバはまだまだ成長しなければいけない、そういうことだと思おう。

ゴール裏で京都サポがスタジアムで喜ぶ一方で、ガンバサポも選手に対して怒ったり悔しがったりはしていなかった。彼らのパフォーマンスに満足したからだろう。

西京極偽を向けて襲われた感情は、喜びでも、悔しさでもない。

Jリーグのスケジュールが発表された途端にカレンダーに予定を書き込むような、どちらのゴール裏でもなく、色々な休日の過ごし方がある中で今日サッカー観戦に来た人々の不思議そうな顔。

「こんなもん・・・かな?」

日本で行われている「サッカー」というスポーツの特異さに、今日の試合で多くの人が気づくきっかけになったのかな、という悲しい気持ちだけを感じて街を歩いた。

次はサッカーなんかやめて買い物いこうね。そうだね。

でも人間というのは忘れるようにできている。

僕も車に乗る頃には、その悲しさは、きっと幸せな悲しさなんだろう、と理解した。人も死んでいない。お客さんは誰も怪我をしていない。

審判とリーグが、こんな試合にしてしまったことを反省さえすれば、仮に今日の試合で遠のいたお客さんも、いつか帰ってきてくれるさ。

以下、採点です。

藤ヶ谷:この日はいつものようにフラフラせずに、好判断で思い切った飛び出しが多かった。今日は不運、野良犬に噛まれたと思って、今後も続けて欲しい(よくできました)

山口:試合を通じて安定していたけど、失点につながるシーン(セットプレー、裏を抜かれたシーン)には悔いが残る。理由はどうあれ二失点には対応して欲しい(もう少し)

パク:守備の高さに心配がなくなったらセットプレーも色々と工夫されるということでしょうか。イチョンスに遠慮したわけでもあるまいが。攻撃時にあがっていきますが、まだ遠藤のボールを受けられる様な迫力が出てない。そちらも期待します(できました)

下平:いつもよりプレスに入っていたけど、競り合いでの遠慮気味なプレーで、サポーターの期待を早期に萎ませた。約束事はきっちり守ってくれるところが安田との違いのはず。FKは意表を突いていたし、遠藤には絶対蹴れない弾道で悪くなかった。成長過程だと信じよう(できました)

安田:悪くはないが良くもない。無難だが、右サイドでは生きないことは改めてはっきりとした。君以上にクロスの質が良い選手がいないだけの存在感では困る。監督の信頼感はどこから来るんだろう。橋本のようなポリヴァレントは持ち合わせていないと自分から申告したら?(できました)

橋本:中盤で仕事ができるうちに、得点したかった。右SBに回ると、得点の期待感が低減する。特に今日みたいに明神も橋本もいない状況にしちゃいけないよね・・・右SBとしては安田よりは上だ。(よくできました)

遠藤:今日はさっぱり、レベルの低い審判で嫌気が指すのも分かる。あと、西野監督のFW大量投入にはいつも呼応しないよね。監督にゼロトップの楽しさを思い出させて欲しい。(できました)

ルーカス:今日も中盤でのパス交換、キープ、プレス精力的だった。この試合ではゴールに向かう必要はなかったけど、そろそろゴールが見たい(よくできました)

山崎:ソウル戦で機能したのは、二列目ではなくトップ的に動けたからでは?この日のような位置では、能力的に欠ける。FW過剰供給の状態でこんな布陣を敷く監督が悪いのだが、誰もがルーカスになれるわけがない(もう少し)

レアンドロ:相手に封じらたというよりは、ガンバの中で自分の良さを失いつつある。突進力や裏へ抜けるなどの動きが減って、パス交換への参加が多すぎた。これまで結果も出ていたし楽しいのは分かるけど・・・。失速するにしても早すぎる(もう少し)

チョジェジン:消えすぎ。待つタイプだというのは分かるけど、もう少し関わっていこう。そんなチョジェジンを生かすような攻撃「も」できるのが望ましいんだけど。(もう少し)

寺田:スタメンを外れて奮起したか、積極的かつ献身的なプレーは、明神の不在を忘れさせてくれた。シュートも決まったが、勝ちに繋がらなかったのが残念。いつもこの気合いで(よくできました)

佐々木:この状況でできることはやったと思う。突破があまりなくて、戻してクロスが多かったので、相手はいつもほど脅威を感じなかったはず。期待は持たせてくれたけど(よくできました)

播戸:元日のことは良い思い出で終わりでしょうか。かき回してはいたけど、もっとゴールに向かって欲しい。播戸だけの確率ではなくて、譲ったり、謎のスルーをしたりすることで、より可能性の低いプレーを選択していることも自覚して欲しい。それを播戸らしさだと笑う余裕は今日はなかった(できました)

監督:この2トップを継続するのもそろそろ限界。山崎の2列目起用も無理です。右SBの安田も限界ですが、橋本を下げると、ポゼッションの安定性に欠けることも理解できます。ジャッジで劣勢に立ったのは仕方ないけど、スタメンに問題があったことで、その状況を招いたことを、自覚してください。劣勢の状況下で打った交代策は妥当でしょう。ただし、同時投入しなくてもポジションチェンジで混乱させることは出来ると思うけど。去年やったの忘れました?(できました)