2009/3/15 エスパニョールvsマジョルカ「やっぱり同じこと、でもやっぱり違うこと」
現地観戦記。
バルセロナ滞在は二回目だったが、念願のバルサの試合はまたも組まれておらず、エスパニョールの試合を観戦することに。
オリンピックスタジアムは立派だけど、山の上という不便さと、スタンドとの距離感がやはり不満なようで、新スタジアムの建設予定があるらしい。
ホームのエスパニョールは、三週前にはダービーでバルサに勝っているとはいえ、勝ち点21でぶっちぎりの最下位とあって、当日券も余裕で買えたし、ガラガラかと思いきや意外にもスタンドは7割方埋まっており、観客はざっと3万人。
3月、17時、山の上、バルセロナ。非常に寒い。
エスパニョールで知っている選手は、タムードとか、ルイスガルシアとか(もちろん、「あの」ルイスガルシアではない)。マジョルカの方はなんといっても大久保、じゃなくてナバーロ。二年前に欧州CLでブルディッソを殴って骨折させて、すげー怒られてバレンシアから追い出されて・・・昨年からマジョルカでプレー。その他、ブラジルやアルゼンチン出身のプレーヤーが両チームとも数人ずついた。さすが。
あと両チームともGKがアフリカ系の蜘蛛男系。ものすごい身体能力だ。(あとで調べたらマジョルカのGKはイスラエル国籍だった)
試合はホームのエスパニョールがアグレッシブに試合を運び、マジョルカは引き気味。バルサとかレアルとか一部のチームを除けば、順位とかに関係なく、ホームとアウェイの関係がはっきり出るのが、さすがのスペインリーグだなあ。普段スカパーでもスペインは見れないので、コントラストが非常に面白い。
エスパニョールはたびたび決定的なシーンを迎え、ポストを直撃したり、さらに完全なオフサイドではあったがゴールネットを揺らしたり、かなり惜しいチャンスが続いた。逸機が続くと嫌な感じになるもの。イライラしてプレーが雑になったり、審判に詰め寄ったり、大げさなアピールがあったり、それもJリーグとは違うところだ。そんな中40分にマジョルカに与えたFKを決められて、0-1。
そのままホームの勝利を信じて後半へ。ところでこんだけ風が強くて寒いのに酒はビールだけか。どうか焼酎お湯割りの導入を。
後半は、FWを投入してフォーメーションを変えたエスパニョールがポゼッションをとりつづける。前半から、決して悪いプレーをしていたわけではないし、そのうち追いつくだろうと思っていたが、その投入した選手が55分に同点ゴールを決める。
ところがその直後、一気呵成にいくべきエスパニョールが選手交代している間に、マジョルカのスイッチが入って逆転ゴール。一気にマジョルカの時間帯になって、ファールが多くなる。
と、65分に二枚目のイエローで一人退場に。エスパニョールはまったく対応できず、マジョルカは完全にフリーでボールを回し始め、70分には追加点。1-3。
この15分は本当に天国から地獄だ。客はものすごい勢いでゾロゾロと帰りだした。どのくらいかというと、試合終了時にバスも車も全く混まないくらいみんなここで帰っちゃった。そらそうだ。まだ18時半。彼らにとって日曜の夜を再構築する時間は充分あるよね。
しかもたったの「1分」で。まあみんな帰る準備してたんだろうね。とんでもない数の人がいなくなった。
なぜ「1分」かというと、1分後に反撃のゴールが生まれたから。去年ガンバに途中加入したロニーのような小柄なブラジル人(・・・かと思ってたら帰って調べたらスペイン人だった)のゴールで2-3。
一人減った方はシンプルな戦い方に慣れてきて、マジョルカはもう大丈夫だろ的な雰囲気。
まさに八塚さんではないが「どちらが10人か分かりませんね」うーんステレオタイプだ。
その後、マジョルカにもチャンスはあったが、エスパニョールの勇敢な突進に手を焼き、人数のかけようがない。そして80分、ついに同点。PKスポットよりも前の位置からの間接FK。GKも動きようがないし、どうやって入ったのかも見えなかったけど、とにかくゴールの上に突き刺さった。3-3。
その後も勇敢な挑戦は続いたが、さすがに最後は疲弊。しかしマジョルカもアウェイの流儀か、最後は無理をせず、平和にドロー。大興奮で最後は寒さも忘れて街へ帰った。
翌日のニュース。
「あなたがエスパニョール・マジョルカ、どちらのファンでもなかったなら、この心奪われる激闘に心底酔いしれただろう」
まさに私だ。あのスタジアムにそんな人が何人いたのか知らないが、本当にサッカー観戦を楽しんだ。
それは、ミラノダービーでも、ハンブルクやミュンヘンでも、そして邪念の入る日本でも、感じることのできない、ニュートラルだからこそ感じる楽しさだ。
ただし、ニュートラルでは感じないような、脳が麻痺する感覚。やはりそれが恋しくなった。早くガンバの試合をみたい。せっかくのバルセロナだというのに、「ホーム」シックのようにACLの地、ソウルに飛んでいきたくなってしまった。