2009/3/10 ACL GL ガンバ大阪vs山東「ターンオーバーの本気度」

万博で観戦。今季初ホームとはいえ、Jリーグではないなじみのない相手、3月初旬の平日夜ということを考えれば、5000人前後でもおかしくなかったが、10000人もの観衆が詰めかけた。これはすごいことだ。

さて、注目の先発メンバーは、三日前のリーグ戦から大きく変更。まずGKが松代。大きなポカもなかった藤ヶ谷を代えるというのは相当の本気度。そしてCBは山口、中澤のコンビ。あれだけ安定感のあったパクを中澤に代えてきた。やはり複数のCBのコンディション維持の重要性に気づいたか。SBは左に下平、右に安田。下平も初先発だが、それより右の安田(正確には「安田の右」か)が怖い。中盤は尻が痛いという明神を外して遠藤と橋本がボランチ。遠藤のボランチは去年の開幕直後、まったく機能しなかったのを思い起こさせる。寺田とルーカスが左右に張って、FWはレアンドロと山崎のコンビ。験を担いだわけでもなかろうが、昨年のACLで多くのゴールを決めた山崎を、先発で使ってきた。去年もACL初戦はミネイロを先発させたりしたので、手探りということもあるのかもしれないが、ターンオーバーだと捉えれば、非常に今年は意欲的だ。

 試合は開始早々から、両チームともボールへの寄せが速く、展開がめまぐるしく変わる。しかし山東はゴールには迫れない一方で、ガンバは着実にシュートでプレーを締めている。徐々にポゼッションも取れるようになって、シュートを浴びせていく中で、これでゴールが奪えなかったら、雰囲気悪くなるなあ、という時間帯に、先制点。前半20分、遠藤が密集に放り込んだボールを混戦から中澤がシュート。ブロックされたボールをレアンドロが蹴りこんでゴール。

前半はその後も押し込む時間帯が長い。ブラジルコンビは当たり前だが、下平、寺田の積極性が光る。安田は右サイドだとどうしても中に寄せるように見えるが、今日は悪くない。

シュートは打ち続けるがゴールは生まれず。30分過ぎからは膠着状態。相手のプレスも比較的弱まり、スペースが多くなった分、橋本が攻め上がるケースが増えるが、そこを遠藤がカバーに入るので、全体が遠藤につられて下がってしまう傾向。橋本とFWだけの連係になってしまって、人数がかけられず、かつ間延びした状態になってしまっていた。とはいえ、そこを突かれるような危険なシーンはなかったので、状況判断は悪くなかったと思うのだが。前半は膠着した雰囲気のまま無理をせずに終了。

押しているし、リードしているのだが、やはり支配している割に点が入らない状態というのは、明るい感じではない。監督はハーフタイムで手を打ってきた。今日はお休みかと思われた明神が後半頭から寺田に代わって投入。また山崎がチョジェジンに替えられた。

相手がかなり大きくて、前線でのチョイスが少なかったので、チョジェジン投入は分かる。でも明神はなあ・・・休ませろよ。明神がボランチに入って、橋本と組むかと思ったら、相変わらず橋本は前へ前へ行って、遠藤とクルクルポジションを変えている。ゲーム中に遠藤システムからの脱却を計らせようとするサディスティックな監督の策略か。残念ながらこれは功を奏さず、しばしばボールを回されるはめになり、明神の仕事量が増えることになる。明神を挟むことでボール回しは落ち着いたけど。

遠藤の守備が悪いわけではないけど、前線からチェックに走ったりカバーに回ったりするのと、危険を察知してスペースを埋めるのとはやはり違う。

悶々と後半はすすむ。去年のACL開幕戦は先に失点して敗色濃厚な中、ルーカスのロスタイム弾で救われたことを思い出せば、ずっと胃の痛みは小さいが、とにかく大阪とはいえども三月の夜はまだ寒い。

辛いなあ・・・と思いはじめた25分。ルーカスのシュートを相手DFがハンドで止めてしまって、PKをいただく。遠藤が問題なく決めて2-0。

思わぬ形で、点が入りゲームが動きだす。相手は、勝つ気だったのでもなかろうが、勝ち点を拾う可能性を失いつつある状況でプランが明確ではなくなる。チーム内に気落ち・臆病と蛮勇の間で葛藤があり、ガンバのつけいる隙が多くなる。ボールの収まりがつかなくなった時間帯を好機と見たのか、後半30分に安田に代えて、さらに攻撃的な佐々木を投入。橋本を右SBに下げて佐々木を前へ。すると、佐々木はこのゲーム、いや今季ファーストタッチで、チョジェジンのシュートがクリアされたこぼれ球をミドルレンジでゴールへ突き刺す。

これで3-0。信じられないことだが開幕から二試合、いずれも3-0ということで試合終了。

この二試合はすべてがウマいことはまった。とりあえず多くの選手がゲームに出すことができて(これが非常に重要)、三点取って、完封して、しかも選手交代も的確。代わって入った選手が結果を出した。

今の段階で注文つけられることは、ないです。やりたいようにやらせてもらえない相手になって、どんなメンバーで試合ができるか。それはまだ未知数ですが。

採点

松代:フィードでは藤ヶ谷に分があるが、なにをしてくるか分からない相手に対して、充分なコミュニケーションで落ち着いた守備のコントロールをしていた。藤ヶ谷の怪我がなくともたびたび見たいです(よくできました)

下平:クロス、シュートとも昨年より積極性が見られたのは、真剣に安田のポジションを奪いに来ている証でしょうか。守備面でもラインとポジションを気にするところは安心できますが、もう少しボールを持った相手と距離を詰めてほしい。今日の相手でもひとりフワフワと無重力空間を今日も生み出していた。(できました)

山口:今日は引き気味のでかい相手にあまりヘッドが炸裂しませんでした。守備面では昨年の相棒中澤でやりやすそうでしたが、その代わりケツぬぐいにも奮闘させられた。(よくできました)

中澤:気合いは入っていたけど、ちょっと空回りだったかな?頭でクリアしたボールがことごとく相手にダイレクトでわたっていたのは、不運だけではないと思う。とはいえパクが相手ではない。共存を図る西野監督の意図だろうし、数年後には中澤高木のコンビが形成されていないと困る。精進を!(できました)

安田:右サイドでの起用は本人も困惑気味なのかな?でも成長が滞っている間に下平との差は縮まってきてるよ。ポジションにこだわらずに、とはいっても今の状態なら右か左しかないんだから。今日はフレッシュ感が見られたので、辛抱します。(よくできました)

橋本:今日はボランチ・トップ下・SBとこなし、システム変更のない中ひとりポリヴァレントを発揮しました。頭が下がるが、決定力がなあ。今年は12月までは待てません。明神を見習ってゴール好きに戻って。(よくできました)

遠藤:ボランチでは生きないよねー。でも遠藤システムを標的に来るはずだった相手は面食らったかな?毎試合10kmは走れないからね、省エネで一年乗り切ってください。PKは相変わらずだったし、与えられた役割はこなしてくれた。(よくできました)

寺田:前半で代えられたのは、明神不在に監督が耐えられなくなったから。とはいえ、膠着状態を打破するために、他に交代選手のチョイスがなかったのも事実。スタートで出たときも、何となくそれなりのプレーにならず、今日のように積極的に。(よくできました)

ルーカス:キープ、配球にノビノビとプレー。90分ゴールに向かうようなガツガツ感は持ち合わせていないのね。ここにも自然体がひとり。とはいえたびたび良いシュートを放ち、強烈なシュートがハンドも誘った。(よくできました)

レアンドロ:二試合連続ゴール。ポジショニング、スピード、決定力がそろっている。素晴らしい選手だ。前線のチェックも厭わない様子です。(よくできました)

明神:監督の明神愛は尋常じゃないね。とはいえ、後半からは格段に落ち着いたのはさすが大明神様。弱小チームでなくとも、どのチームでもひとりは明神が必要ですよ、中澤君。(よくできました)

チョジェジン:ときどき消えているように感じるが、たぶん気配を消しているんだと信じたい。現に、佐々木のゴールシーンの直前には、いつのまにかゴール前で競っていた。ただ、気配を消すよりも、パス交換で存在アピールした方が、ガンバではボールがもらえやすいようです。決定力で勝負するFWだけに今日は控えめで(できました)

佐々木:ACL天皇杯二冠の立役者だとサポーターはみんな思っているはずだけど、怪我を経て今年はまた一からの出直しになっている。でも監督もまた思い出したのでは?それとも、またジョーカーに取っておきたいのかしら。(よくできました)