10/5 ガンバ大阪vs鹿島「明確な立場の差」

(レビューはいつもしているのですが、ここのところガンバの記事が全くないのでたまには)

 ガンバにとって連戦が続く中での、鹿島戦。相手は首位戦線の大事な最中、こちらはどんなに「トップグループが見えてきた」とか煽っても、八敗も喫した七位のチーム。

 ちなみに去年はガンバが夏に金沢で圧殺した後に、鹿島は脅威の連勝を続けてリーグ優勝を飾った。見方は色々あるが、強い時期の鹿島とはやってない、というのが妥当かな。

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 さて、ルーカス、安田はこの日もベンチに入らず。中澤・山口のCBにSBは下平、加地。中盤は明神が出場停止あけて復帰し、橋本とダブルボランチ。脚の状態が思わしくない二川と遠藤がともに先発。山崎・ロニーの2トップ。

ベンチには、松代、寺田、佐々木、倉田、武井、播戸、そして、DFのチョイスではなんとミネイロで、福元がはずれた。

さすが、サディステック四枚刃の西野監督。アクシデントのことなんぞ考えないその強気。

 アップを見る限り、試合の入りからトップギアで臨む風ではないと感じたが、実際、試合巧者の鹿島相手に、じっくりと中盤の凌ぎ合いにかける序盤。

 しかし、小笠原をケガで欠いている鹿島は、中盤を飛ばすケースが多く、マルキーニョスや興絽に当てて「アタッキングサード」で勝負に来る。いや、ガンバのウイークポイントということで突いてこられてる、という方が正しかろう。ダブルボランチの前、あるいは後ろどちらにも、スペースが空いていると見るや、ボールを入れてくるので神経を使う。ミスがあったらおしまいだ。

今日の線審オフサイドに甘い印象で、微妙なプレーは全て旗が上がっていた。まあ、ガンバの方は明らかなオフサイドばかりで、絶妙な飛び出しは鹿島側ばかりだったので、助かったと言って良い。主審もファウルをできるだけ流してコントロールしていたようで、プレーが継続して息がつけない試合。

 やはり鹿島は、ことごとくガンバの弱サイド、いや左サイドの下平の側から攻め込んでくる。幸いマッチアップする内田があまり調子が良くないようで助かったが、ダニーロ、本山と連動しての攻撃は迫力充分。左サイドは決して安心はできないが、スルーパスは全てオフサイドで対応できるのが、一応下平の良いところ。

 もっと怖いのは右サイドで新井場にスピード突破されることだったが、右サイドは、放り込みが多く、ほとんどは加地が残って対応。

さて10分には山口のうっかりパスを奪われてマルキーニョスが抜け出し決定的なシーン。興絽のシュートが決まらず事なきを得るが、その際の交錯で藤ヶ谷が脚を痛めたよう。

 攻撃面では、ロニーも山崎もウロウロするばかりで、展開からの見所はなし。

今日もセットプレー待ちですか・・・

このレベルで足下だけで崩そうとすれば、遠藤、二川に絡むルーカスが必要。クロスやミドルは、数も質も悪くなかったし、下平はめげずに攻撃参加していたので良かったが、やはり、上空は完全に制圧されていた。

前半唯一の見所は15分過ぎ、CKからファーで合わせたボールを中澤が足でシュート。も、バー内側を直撃。こぼれ球を明神がオーバーヘッドもバーのわずか上。まさかの明神にざわつく万博。それよりも中澤のポジションをチビッコ2トップで詰めて欲しかった。

 今日はシュートブロックが好調で(鹿島が強引?)、危ういシーンはあまりなかったが、こぼれ球が中後の目の前に転がったときは肝を冷やした。正面で藤ヶ谷がセーブしたが、その直後、我慢していた藤ヶ谷が限界の×サインで、松代の緊急出動。カシマでも途中交代でしたな。下平がゴール前珍しくボールカット三連発を見せてくれて感動したところで、前半終了。

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最近積極的な交代が監督の中で流行っているが、後半頭から、ロニーに変えて寺田の投入。

えーと、すでに交代二枚目ですけど、戦況見ませんか。

後半は、少し中盤でのボール回しに付き合ってもらえて一進一退の状態を作り出す。二川の劣化が激しく、消えている時間が多いため、右から加地が単独で奮闘しても、基本的に連動性がない。寺田との関係のみで、遠藤には蓋をされている。山崎は戻りすぎで大事なときにゴール前にいない。まあ、張っていても可能性は少なそうだったのだが、ゼロトップ、総二列目化しては、飛び出しがきかない。

ガンバは中盤回してもフィニッシュは単発ミドル。鹿島はパス交換で迫る。後半25分、するのもされるのも苦手なカウンターで寺田がドリブル突破するところ、内田がたまらず倒してイエロー。

このワンプレーと山崎を下げて播戸投入のタイミングをきっかけにガンバの時間帯となるが、いかんせんその辺の判断力の高い鹿島。

がっちりと守りに入られたらもはやシュートすら打てない。播戸の動きは確かに良かったが、播戸への一本は概ねオフサイド。厳しい態勢からもシュートは打つが、相手を慌てさせるには至らない。

可能性が高かったのは結局CK。またもファーで山口が頭で合わせたもののバーの上。さすがにそう何試合も同じ感動シーンは見れんわね。

寺田のカウンターからのミドルも、正面。40分過ぎまで一応支配はできたが、得点の匂いのしない万博。

40分過ぎには、中澤がボール扱いをミスった上に相手を倒してイエローをもらう。

普通に跳ね返せたはずの何でもないボール。一試合に一回は危ないプレーを自分に課しているのか?

ゴールまでは距離もあり、大事にはいたらなかったが、それを機に、前がかりになることもなく、淡々とロスタイムを消化して試合終了。

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万博で名古屋に惨殺されてから、3週間で7試合目。あの時のチーム状況から、しかもこのスケジュールで、持ち直したことを考えれば、ドローは悪い結果ではない。

明らかなのは、相手はこの混戦リーグの押しも押されもせぬ主役。ガンバは、脱落中の立場から、何とかはい上がるチャンスを「棚ぼた」でもらったにもかかわらず、逃したことになった。

数字上は、まだいろんな可能性があるが、勝ち点6差でも七位だ。ガンバだけが勝ち続けても、上位チームが全て負けることはあり得ない(直接対決がたくさんある)のだから、よほどの「棚ぼた」がもう一度起きないと、主役にはなれない。

選手が競技場一周する間、じっくりと、両者の置かれたその立場の差をかみしめて、結果的に一泡吹かせたことになったという、立派な勝点1に、拍手を送った。

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最後に各選手にコメントと三段階評価

藤ヶ谷:シーズン二度目の途中交代。DFとの連係も大事な仕事ですよ(もう少し)

加地:抜かせない守備、適切な攻撃参加。まさにダイナモ。新井場にブーイングする暇さえ与えず(よくできました)

中澤:二度しかないビッグチャンスに顔を出したが、それにも増して本職での最後のプレーは軽率すぎる。得意の密集ゴール前でのミスよりはましだが(もう少し)

山口:セットプレーしか得点が臨めない中、少ないCKで最後に合わせた。それにも増して本職での最初のプレーは軽率すぎる。CB二人に同じコメント出させるチームって(もう少し)

下平:君のコメント(前で持たれている分には怖くなかった)以上に、見ている方はずっと怖い。ラインキープきっちり、人任せのコンタクトもばっちり。マッチアップ相手がとまどう程のウロウロ・距離感は変わらないが、今日はブロックも何本か見せた。日々成長。(できました)

橋本:明日は昼のゲーム、といいつつ前日の23時半にブログを更新する君のプロ意識に敬服。ルーカスがいない中、「ガンバらしさ」維持の為のパス交換にも参加。シュートの精度だけは、あきらめています。今年はノーゴールかな(できました)

明神:さすが、いるといないとでは、中盤の落ち着き方が違う。大明神ぶりを発揮するだけでなく、ミドルもバイシクルも、万博に歓声を上げさせるには充分の積極性。精度を求めるのは酷ですよね(よくできました)

遠藤:守備に追われる一日も、高さで勝てないCKでファーにピンポイントを送るのはさすが。後半はトライアングルだったけど、守備にも汗をかいた。播戸の1トップよりも、君の1トップでしょうけど、守備力が落ちてしまうのでできないね(よくできました)

二川:脚の状態が良くない様子。まさか先発とは思わなかった。播戸にラストパスを送るだけが仕事のようだった。ミネイロを使いたかったのは、監督より君かもね(もう少し)

ロニー:相変わらずガンバのスタイルにフィットしてこない。いや、パス交換でフィットはしてるんだけど、FWの仕事をしていない。ポストプレーはOK、あとはゴールに向かって。(もう少し)

山崎:やはり途中参加で生きるのかな。頭からだと違いを作れない。かといって播戸とのチョイスだと君だわな・・・(もう少し)

松代:さすがの対応力。後半危険なシーンが減ったのは、やはりコミュニケーションによるリスク管理ですかね。水曜も期待(よくできました)

寺田:「積極的な攻撃参加」という印象だったけど、本当はトップ下のポジションで入ったんでしょ。徹底的に前で見たかった。シュートはほとんどGKにまで届かず、堅守を見せつけられた。カウンターは良かったけど、そもそもその位置にいたの?ということも。(できました)

播戸:ボックスでの動きは良いけど、このレベルだと、一瞬もたつくだけでコースが消える。水曜日も望み薄かな。少なくとも2トップで宜しく(もう少し)

監督:切りたいカードを切れなかった、っていうけど、二枚目を早々に切ったのはあなた。どこかでスピードが必要になることぐらい、だれでも分かる。プライオリティを考えて交代カードを切りなさい。「リズムを変えよう」て言うだけじゃ変わらんよ。攻撃的なベンチメンバー配置の割に臆病な選手交代(もう少し)