集中力とモチベーションが運動量(体力)を補う:豪州戦を前に

アジアカップの準々決勝、日本の対戦相手がオーストラリアに決まった。今夜キックオフである。

ドイツW杯での初戦、怒濤の3失点は、思い出したくもない、苦い記憶だ。なぜ、これだけやりたいようにやられ出したのか、試合の途中には理解できない、我を忘れた自分のことも同時に思い出される。日本の選手がほとんど動いていないことに気づくのは、帰国後の再放送を見てからだ。まさかW杯の大舞台で、我が日本の選手たちが、すべからく足が止まり、ボールウオッチャーになってしまうなんて。まさか。

しかし、それは現実だった。いわゆる「やる気」がないようにも見えてしまったが、そんなはずはない。じゃあなぜ?気持ちが切れてしまったのだ、ということだろうか。

ピーキングに問題があったとか、コンディションの問題も指摘されているが、それにしても、体力は充分にあるはずのプロサッカー選手だ。運動量が、ガクンと落ちるなら、それをコントロールしなければならないのだが、現実はおそらく運動量が低下していることに、自分では気づいていなかったのだろう。

今日の試合は、ぜひ、相手の気持ちが切れるような、試合をして欲しい。

参加チーム・試合のクオリティと言う点で、気持ちが切れて動きが落ちるようなゲームの多い大会やリーグは、まだまだ発展の余地があると言うことだと思われる。たとえば、ワールドカップは、地域間の出場国のレベル差が大きいことを、「質」の面からは改善しなければいけないが、一方で普及促進という「量」の面からアジアは恩恵を受けている。

たとえば、このアジアカップの予選、韓国対バーレーン。韓国が無尽蔵なスタミナで攻めまくるのは、明らかな格上のチーム、日本や中国など特定の相手の時だけだと思っている(昔は、どの国相手でも闘争心を持っていたと年配の方は言う)のだが、この試合はさすがに驚いた。開始早々の韓国の得点のあと、特に後半あそこまで「動かなく」なったというのも珍しかろう。BSの中継では「いや、なめてかかってるわけではないんでしょうけど・・・」、・・・でもなめてるんだろう、と言いたいよね、さすがに。それで試合を終わらせられれば、南米あたりにありがちの、「ずるく強い」チームといえるんだろうが、きっちり失点してしまうあたり、ああこれがアジアクオリティ、とがっくり来てしまう。チームによってモチベーションが上げられる相手が異なるのはわかる。でも気持ちが乗らないと、体は動かない。

Jリーグだってそうだ。ナビスコ準々決勝のガンバ大阪-浦和の第二戦。折からの台風で「土砂降り」では雨脚の強さが表現できないほどの、雨の強さ。グラウンドには水は浮いておらず、ボールは芝で滑ってむしろ速い動きになる。また雨で視界も非常に悪く、雨音も強いため、試合中のコミュニケーションにも注意が必要。

前半15分までは浦和の時間帯だったが、その間両チームともにシュートわずか2本ずつで1-1に。雨によるスリップと連係不足で、ボールをお互いロスしてしまう展開が繰り返される中、浦和の方が先に足が動かなくなってしまった。純粋な体力を消耗したはずはないと思うのだが、判断力が落ちたというか、動きたくなくなったというか・・・。セカンドボールを取りに行く選手がおらず、小野のトリッキーなプレーに誰もあわせてくれず、相馬はことごとくサイドでボールをつぶす、そういったプレーの連続で、浦和イレブンはなんとなくしらけているようにさえ見えた。結果としてガンバは労せずしてゴールに向かうことができたのが、大勝(5-2)の要因といえそうだ。

しかし、今後の日程を考えると雨でもやりたかったのは浦和の方で、故障者のことも考えると延期したかったのはガンバの方だったのに・・・皮肉なものだ。これが「ナショナルダービー」だとは、とうてい思えない。やはり、鹿島-磐田ですかね。

アジアカップの日本の予選三試合目、対ベトナム戦は、違った意味での足の止まりかただったか。ベトナムのサッカーは非常に勇敢だが、試合開始から後先考えずにつっこんでいくので、タイあたりに軽くひねられる試合が実に多い。元気な時間帯の、プレス、速攻、クロスの精度、二列目からの飛び出し、などは非常に迫力があるので、ホームのハノイではさすがに日本も苦労するだろうと思われた。現に前半は、局所的には非常に押し込まれていた。むしろ失点シーンは日本に不運な面もあったが、それは試合の支配権のなせる技か。が、総合的な試合の支配力で高原・遠藤のゴールで日本が得点上逆転に成功した。しかし、試合はどちらに転ぶとも限らなかった。前半までは。

後半のベトナムは、はっきりと、飛ばしすぎました、消耗しました、という態度であった。あそこまでわかりやすく止まる必要はないのに。とにかく日本の最終ラインがボールを持っても、何もアクションを起こそうとはしない。別に攻めなくても良い日本が、気のないパス回しをしながら、ゴールに近づいていくだけ。負けているチームがこれでは、さすがに興ざめだった。点差以上の、実力差というか、真剣味の差というか。

 

今夜の試合、オーストラリア相手に、序盤からベトナムのように勇敢につっこんで欲しい、ガンバのように得点を重ねて欲しい、そして韓国が狙ったように相手をいなして、逃げ切って欲しい。それがベストなんだが、欲張り過ぎか。

しかし、この試合に負けてしまうと、色々尾を引きそうだなー。

北京とか、南アフリカ大会の予選とか。