J1残り6節

残り6節になって勝点計算をしながら順位の推移を考えてみた。予想と言うほどでもないです。

まず、どこまでを残留争いとみるか、ですがなんとなく名古屋はもう大丈夫、と捉えていました。怪我人は相変わらず多いですが、チーム状況は改善してきており、勝点も36まで到達しています。マスコミ的にも、そこまで残留争いに含めてしまうとストーリーが描きづらいのかもしれませんが、名古屋は降格圏からは抜け出しているような報道が多いですよね。過去の降格チームの勝点を基準に「38」が安全圏と考えていたので、あと「2」と思うと、もう大丈夫という感じにもなります。

しかし、実は順位が下のチームがすべて勝ち点を重ねるような状況を考えた場合、残留ラインは42まで伸びてきます。さらにこの状況下に加えて、残念ながら18位に沈んでしまっている徳島が、このあとひとつも勝ち点を挙げられないような状況を想定した場合、残留ラインは45まで伸びるのです。

これはまさに「机上の空論」ですが、勝点41でさえ17位(降格)、という状況が発生する組み合わせ数は決して少なくありません。9位神戸(勝点41)、10位横浜FM(勝点40)は早く勝ち点を積んで安心したいところです。計算してみて、11位新潟(勝点38)までは、残留争いからまだ完全には抜けきれてない、という思いを持ちました。

一方で、結果に「引き分け」が含まれると、残留ラインは下がってきます。引き分けの場合、勝敗表自体に追加される勝点が、勝敗が決する場合に比べて少ないので、当然です。上と同じ条件で、11位以下の直接対決はすべて引き分けに終わる、と仮定すると、残留ラインは勝点41となります。

名古屋は、仙台・徳島・清水・大宮との対戦を残しており、残留を決めて悠々とキャスティングボートを握っているという状況に立てれば良かったのですが、現状ではC大阪と同じく残留争いの直接対決を勝ちきることでしか浮上の望みを保てない状況にあると言えます。

残留争いに大きな影響を与えそうなチームの一番手としては柏。仙台・大宮・清水・新潟との対戦を残しているだけでなく、ホームとアウェイできわめて偏りのある結果、というのも当該チームに悲喜劇を産み出しそうです。

二番手は広島。こちらも清水・大宮・甲府・仙台との対戦に加えて、ヤマザキナビスコカップの決勝を控えていることから、それなりのターンオーバーも想定されます。

この両チームが勝つことイコール、残留ラインが下がること、となりますし、残留を争うチームにとっては勝ち点を奪えればライバルに差をつけることにもなります。

昨シーズンも、上位に立ったチームが次々と勝点を落とす怪現象が起こりましたが、今年もそういった傾向がみられはじめています。すでに、独走していた勝点、選手層的にも、日程的にも、優勝に向かって万全の体制と思われた浦和をはじめ、上位チームが勝点を伸ばしきれない試合が続いています。

首位の浦和は、鹿島(勝点差7)、G大阪(勝点差4)、鳥栖(勝点差6)との対戦を残しており、この勝点9をどう取るかが重要で、すべて引き分けでも勝点3を確保できるし、相手との差を縮められずに残り試合を減らせる。つまり優勝に近づくことになります。

鹿島は浦和、川崎、鳥栖との対戦を、鳥栖は川崎、浦和、鹿島との対戦をそれぞれ残しており、この辺りで痛み分けとなる展開は、浦和にとっては充分許容できるし、逆に鹿島、鳥栖、川崎としては、直接対決を全部勝つことでようやく浦和との一騎打ちの様相に持ち込めます。

どのチームが生き残るのか。数字上の可能性ではなく、チーム状況で考えると、鹿島なのかなあ、と思います。鳥栖はシーズン途中でクラブスタイルの転換期を迎えてしまって、勝ち点を積み上げた頃の戦術は機能しなくなってしまったのが残念です。川崎は、結局守備の不安定さは年間を通して解消せずに、噛み合わない相手には抵抗なく敗れてしまう試合を繰り返してしまいました。シーズン終盤、中村の体調不良でチームの攻撃パターンも単調になってしまったのも不安です。

上位で、唯一様相が異なるのがG大阪。対戦相手として残っている上位チームは浦和のみとなっていて、上記のチームが直接対決で潰し合いをする間に、独自に勝ち点を積み上げていくことが可能である。それでも逆転優勝に向けては、浦和より4以上多い勝ち点を残り6節で獲得する必要があるので、要は直接対決を制することで、ようやく逆転優勝は現実味を帯びてくる。一方で、7連勝は立派とはいえ、リーグ戦に、ナビスコ天皇杯も戦っている状況で、選手の疲労はさすがに隠せず守備がルーズになっていることで、特定の選手に負担がかかる、という悪循環が心配です。

いずれにせよ、浦和以外のチームに自力優勝の目はなく、野球的な表現をすれば、浦和の勝点マジックは15で対象チームはG大阪、という状況。ただし、勝点1縮まれば、マジックは消滅します。

単なる産みの苦しみだったか、それともここ数年繰り返されたJ1上位陣の優勝争いの譲り合い現象か、終わってみなければわかりませんけどね。